粘膜戦士 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001776

感想・レビュー・書評

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  • また買ってしまった粘膜シリーズ。
    もう飴村行はやめると決めたのに、「粘膜-」と聞くと
    体が反応してしまいます。

    今回は短編集で、「あれ、どっかでこの名前聞いたような、はて?」
    と過去の作品を読んでいるファンを楽しませてくれます。
    (ファンて・・・笑)

    いつまで粘膜するんだと思わせる反面、次は何だ!?と
    期待させられる今日この頃なのです。

  • 2012年3月21日、読了。

    粘膜人間、粘膜蜥蜴、粘膜兄弟に続く、粘膜シリーズの第四部作。

    今までの三作で築き上げた粘膜の世界は踏襲しつつ、短編集のスタイルを採用している。それぞれの短編の出来事が最後に繋がるのでは、という期待は脆くも崩れ去る。全く繋がりは無し。

    それぞれの短編の感想
    ・鉄血
    相変わらずのカオスな世界。多分、この作者の作風に対して何の情報もなく、何の免疫も持ち合わせていない読者は、「陰茎、茸の如し」だの「精力絶絶倫」だの、ヘルビノが何だのと、この作者はトチ狂った変態右翼だと思っても致し方ない内容だと思う。とにかく下品な粘膜ワールドが展開されている。オチは特になし。

    ・肉弾
    今回の作品の中で一番のお気に入り。兄が敵地で負傷しながらも、その奇跡的、驚異的な回復力を見込まれ、七階級特進の褒美を受けて少尉となり、日本へと帰ってくる。日本の英雄として、殆んど機械となった兄が帰ってくる様子や、周りの対応、そして変化の描写がドス黒くて、まさに人間のエゴが浮き彫りになってる感じ。ラストも秀逸。

    ・石榴
    この作品も、イヤという程人間のエゴが浮き彫り。まさか、自分の家の地下から、少女の子守唄が聞こえて、その子守唄を歌う少女に会いたいと願った少年に、ここまでむごい結末が待ってるとは・・・。

    ・極光
    今までの粘膜シリーズを読んでいた人間にとっては読む楽しさ5割増の作品。軍の機密書類を盗み出そうとした精悍な一人の少年と、一人の夢も希望も無さそうな老人を拷問にかけ、黒幕を誰か暴こうとする話。
    拷問をかけている側も、かけられている側も、今までの粘膜シリーズの登場人物であり、これを知るか知らないかで読み方が違ってきそうな話。最後に出てきた人間が次の粘膜シリーズに出てくると予想。

    ・凱旋
    はっきり言って、駄作なんじゃないかしら。。。今までの四つの短編が繋がるんじゃないかと思って期待してた部分も確かにあったけれど、それにしても・・・蛇足感が否めなかった。オチが強いわけでもなく。微妙。

    次作は長編に回帰して欲しいという願いを込めて、星3つ!

  • 粘膜シリーズ初の短編集。長編でないぶん変態要素も薄まるのかと思いきや、そんなことは全くなかった。例によってぐちょぐちょ。危険で超濃密な粘膜ワールドを満喫できる一冊。
    ただし、全て読むと5つのストーリーが繋がる、ということは全くなかった。あくまで短編集として読まないとがっかりします。

    ・鉄血
    戦地を舞台にした上司と部下の会話が続くのかと思いきや、20ページあたりから一気に飴村ワールドが炸裂します。10人読んだら9人がここで読むのをやめそうな馬鹿馬鹿しさ。「陰茎、茸の如し」「精力絶々倫」「男体股ぐら泉責め」とか読んでると、ひょっとして作者はただのアホなんじゃないかという気になってきます。褒め言葉ですけどね。

    ・肉弾
    肉体改造を施された異形の兄が戦地から帰還する場面から、虐殺の地獄絵図に至るまでをスピーディに読ませる。機斥兵なる新たなワードも登場し、今後の展開に期待させられる。結びの一文も秀逸。

    ・石榴
    個人的なベストであり、ミステリ的な要素が最も大きい一遍。地下から少女の唄い声が聴こえる…というロマンチックな物語が、これでもかというくらいえげつなく、かつ蠱惑的な結末へ収斂していく。

    ・極光
    「粘膜人間」の拷問コンビと、「粘膜兄弟」の変態老人・ヘモやんが再登場する一遍。新作拷問の「潜孔」がエグい。

    ・凱旋
    短編集の統一感を出すための一遍だろうが、他の作品と比べ濃度が薄い。もう一捻り欲しかった、というのが正直な感想。

  • 「粘膜」シリーズはこの本が初めて。最初はどうしようかと思ったが後半はまあこんなもんかという感じ。体中が痛くなりそうなシチュエーションばっかりだけど、最初が衝撃的だったので慣れた。前作もこんな感じならもうごちそうさまか。
    やはりホラーは肉体的な苦痛ではなく、精神的な苦痛がより恐怖感を感じます。

  • 粘膜シリーズ短編集。ぐちゃぐちゃどろどろのえげつないホラーです。「粘膜人間」「粘膜蜥蜴」「粘膜兄弟」との繋がりがいろいろ出てきたりしますが、こちらを読んでから他の作品を読んでみるのもいいかもしれません。
    お気に入りは「石榴」。一番グロテスクさは少ない作品だと思いますが。心理的なえげつなさは一番強い作品でもあります。とんでもないなあ。
    インパクトが一番大きかったのは「極光」。あの作品のあの人がこんなところにー!って驚きもありましたが。なんといっても凄まじいのは「潜孔」。恐ろしすぎます。こんな目に遭うくらいなら死んだほうがマシだ。

  •  帯に「猛毒ミステリ・ホラー」と書かれているが、猛毒さを描くためにミステリやホラーの手法を使用しているような印象であります。
     過去の粘膜シリーズと同じ世界観ですが、しかし全く飽きない圧倒的な気持ち悪さ。人体破壊なグロい描写も然ることながら、肉食のムカデを鼻に入れる拷問とか、もうたまらない気持ち悪さにゾクゾクきます。

  • 待ってました粘膜シリーズ新刊。やはり面白い。

  • 「粘膜シリーズ」の4作目で、5つの短編が収められています。
    1話目の『鉄血』から、「あ!」と驚かされます。
    この人は…あの人ですよね?
    他にも、いかにも粘膜!な話が続き、4話目の『極光』では、『粘膜人間』のアノ二人が登場します。
    そして更に、アノ老人までもが現れ、不思議な対決?が。
    やはりこの人、最強ですね。
    5話目の『凱旋』は、1話目の後日譚で、『粘膜人間』の少し前、の設定のようです。

    どの話も、凄く面白くて、一気に読み終えてしまいました。
    でも、一番好きなのは、『石榴』かな…。

  • 2012/2/25 Amazonより届く。
    2017/2/6〜2/8

    4年ぶりの飴村作品。粘膜シリーズ4作目。本作は「鉄血」、「肉弾」、「石榴」、「極光」、「凱旋」の5つの短編からなる連作短編集。「石榴」が一番よかった(えぐかった?)かな。これまでの粘膜シリーズとの関わりなどもあり、大きな粘膜ワールドを展開。続編に期待したい。

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著者プロフィール

飴村行 1969年、福島県生まれ。東京歯科大学中退。2008年『粘膜人間』で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞。デビュー第2作『粘膜蜥蜴』で第63回日本推理作家協会賞を受賞。特異な作品世界で注目を集める。著書に『粘膜兄弟』『粘膜戦士』『路地裏のヒミコ』『粘膜黙示録』『ジムグリ』など。

「2018年 『粘膜探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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