天地明察(上) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003183

作品紹介・あらすじ

四代将軍家綱の治世、ある事業が立ちあがる。それは日本独自の暦を作ること。当時使われていた暦は正確さを失いずれが生じ始めていた--。日本文化を変えた大計画を個の成長物語として瑞々しく重厚に描く時代小説

第7回本屋大賞受賞作、待望の文庫化!
監督:滝田洋二郎、主演:岡田准一で映画化も決定!2012年9月公開

感想・レビュー・書評

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  • つまるところ暦とは、絶対的な必需品であると同時に、それ以上のものとして、毎年決まった季節に、人々の間に広まる「何か」なのであろう。
     それはまず単純にいって娯楽だった。(略)さらにそれは教養でもあった。信仰の結晶でもあった。吉凶の列挙であり、様々な日取りの選択基準だった。それは万人の生活を写す鏡であり、尺度であり、天体の運行という巨大な事象がもたらしてくれる、「昨日が今日へ、今日が明日へ、ずっと続いてゆく」という、人間にとってはなくてはならない確信の賜物だった。そしてそれゆえに、頒暦は発行する者にとっての権威だった。(第三章「北極出地」より)

    ‥‥という難しい学問を説明した小説ではありません。
    冒頭は、神社の絵馬に現れたる「算額奉納」(公開算数問題)を軽々と明察(正解)とした御仁は誰かというお話。面白い。なかなか良い掴みでした。

    安井算哲。あ、いや渋川春海はお抱え囲碁打ちの世界に飽きがきていた。そういう時、彼の周りには様々な「才能」が集まってゆく。どうやらそれは一つの大プロジェクトの序章のようだ。そのプロジェクトとは暦作りである。でも、それは下巻で展開されるみたい。

    渋川春海、関孝和、山崎闇斎、水戸光圀、保科正之などの歴史教科書上の人物が生き生きと動き、語っているのを見るのは楽しい。「カムイ伝」では憎々しい敵役だった大老・酒井雅楽頭忠清でさえも、好人物のように描かれる。それは作者・冲方丁の性格なのかもしれない。春海は当然好人物である。

    時は寛文年間、17世紀後半である。コペルニクス前夜(15世紀)のように、地動説(科学的真実)のために多くの血が流れた(cf.マンガ「チ。ー地球の運動についてー」)のは、今は昔になりつつある、らしい。それでも、おそらく後進国・日本ではそれなりの「知」への戦いが展開された筈だ。

    本屋大賞コンプリートプロジェクトの一環。10年前の映画「天地明察」は映画館で観た。推し女優の宮崎あおい(後に春海の妻になる役)が可愛かったなぁ。あおいちゃんが岡田准一を見る目が、なんか真剣だったんで、嫌な予感がしたんだよね。‥‥それはともかく、本文冒頭で引用したように暦作りは「権威」なわけだから、
    何事も
    科学VS宗教
    新興VS権威
    革新VS保守
    の対立はあるわけで、飄々とした青年春海が宗教、権威、保守と戦います。

    因みに、
    あくまで「娯楽」として捉えて欲しいのですが、
    暦で2023年を占えばwebでは、

    2023年は大きな変革が起こる年
    “改革の星”水瓶座と、“破壊と再構築の星”五黄土星の影響が増す

    と何処かに書いていました(^^;)。
    今年も宜しくお願いします。



  • 人は情熱を注ぐ対象があることで、幸せを感じ、挫折を味わい、感動するのだろう。

    良い小説。描写の細やかさが、私の好みにぴったり。
    主人公の若さゆえ、どこか青臭さを感じさせる部分も、すごく上手に表現されている。馴染みの無い言葉も出てくるが、漢字から意味を汲み取って読んでおけば特に差し支えない。

    江戸時代。碁打ちの名家に生まれた春海。
    お偉方の相手をし、碁を教え、どこか退屈な日々を送っている。
    奇しくも碁への精通が、彼を思いもよらぬ、出会いや機会へといざなってゆく。
    自分の生き方への疑問を抱いた春海。
    そして敷かれたレールから外れ、自らの情熱に従い、算術いわゆる数学に傾倒して行く。
    関孝和という男の影が、春海を生涯、算術の坩堝へと、引き摺り込む。

    江戸時代に行われた星の測量事業に参加したこときっかけに、優秀で老齢な技術者の野心に触れた春海。
    意思を受け継ぎ、いつか日本の暦の改革を誓う。

    活力溢れる若き青年が、偉大な功績を残すであろう物語や如何に。ワクワク。

    上巻読了。下巻へ。

  • 江戸時代、神社の絵馬に出題者が作成した算術問題に対して、興味ある者がそれを解き、正解だったら「ご明察(はっきりと真相や事態を見抜く)」と出題者が記載。このような古き良き日本の姿が誇らしく思う。江戸城内でお偉方に囲碁を教える主人公・渋川春海。あまりにも平凡でつまらない日々に飽き、算術問題に熱中する。さらに、お偉方から日本中を訪れ、北極星の位置を基に、日本独自の暦(こよみ)を作る壮大なプロジェクトを拝命する。同道する老人2人の熱い想いに触れ、新知見を得たいという欲求を追い求める姿に感銘した。下巻も楽しみ。

  • 冲方丁を読むのは「十二人の死にたい子どもたち」に続き、これで二冊目。

    天地明察については、名前を知っていた程度。なんとなく、タイトルとあらすじから難解な印象を持っていた。

    実際には、やはり角川文庫だけあって読みやすい。全年齢向けと言った印象。語り口はポップで、感情移入も容易い。キャラクターも分かりやすいものが多い。少年マンガ誌で漫画化されてもおかしくない感じ。

    上巻では、江戸城の碁打ちである主人公が、算術士として北極星の測量の旅に出るところまでを描く。

    個人的には、日本史に明るくないので、江戸の社会感というか雰囲気を改めて学べた想い。家柄や職業が今よりも固定化されていた時代。江戸城でどうやって生き残っていくか、という観点には池井戸潤のような、会社小説・立身出世小説のテイストを感じた。

    それから、碁打ちであり算術士である主人公の、好きなものに没入する感じも良い。三浦しをんの「舟を編む」のような、独特の世界にのめり込んでいく様が読んでいて気分がいい。囲碁と算術に関して、その道のライバルや大先輩が登場するのも良い。才能や好奇心を扱う小説は、やはり自分の好みのジャンルだと再確認。

    SF小説好きとしては、暦がズレていることによって「今日があさってになっている」という現象に、SF的要素を感じてしまった。暦が正確であることが当たり前の現代だからこそ、それがズレているという可能性は新鮮に読めた。

    文量は多くなく非常に読みやすいので、1日もあれば読めてしまうと思う。娯楽小説としては、文句ない仕上がり。

    大きな思惑に巻き込まれた主人公がどうなっていくのか。暦改変プロジェクトがどうなっていくのか。下巻を読むのが楽しみ。

    (より詳細な感想などは、書評ブログの方を宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E3%81%AE%E7%AE%97%E8%A1%93%E5%A3%AB%E3%82%92%E6%8F%8F%E3%81%8F_%E5%A4%A9%E5%9C%B0%E6%98%8E%E5%AF%9F%E4%B8%8A_%E5%86%B2%E6%96%B9%E4%B8%81

  • 上巻を読み終えた段階で「これは良い小説だなあ」と感じ入る小説でした。それだけ登場人物たちの魅力が溢れ返っている。

    碁打ちの名門の家に生まれ、上覧碁という過去の棋譜を暗記したものを将軍の前で披露し、それを将軍に解説する、そんな御城碁を打つことを勤めとする渋川春海。

    そうした決まり切った碁を打つことに退屈を覚えていた春海が熱中するのは、算術と暦術。
    春海はある日、江戸には算額という算術の問題が記された絵馬が多数奉納されている神社があることを知り、早速見に行くのだがそこで衝撃的な出会いをする。

    鳥居に刀をぶつけたり、絵馬の下に刀を忘れてきたりと、ドジというか、算術のことになると周りがみえなくなる春海。そんな春海の性格や物腰、言葉遣いはどこかユーモラスで穏やか。
    そのため親しみやすいキャラクターなのですが、彼の内に秘めたる葛藤が明らかになるにつれ、その葛藤の熾烈さにまた驚きます。

    退屈な城での勤め、義兄や名門の家との関係性。渋川春海というのも本名ではなく、春海自身が勝手に名乗っているのですが、そこに秘めた思い。そして算術や暦術に熱中する理由も、そんな退屈さや窮屈さから逃れたいため。

    穏やかでユーモラスなのに、満たされない忸怩たる思いを抱えている。そのギャップが春海をより魅力的に映し、読者を引き込みます。

    算額を見に訪れた神社で、衝撃を受けた春海は幻の算術の名人を求め、江戸を歩き回り遂に一つの塾へたどり着く。そこにいたのは、神社でも出会った、ハキハキした性格と言葉遣いの娘のえんと、塾の師範である村瀬。

    えんの性格やはっきりと物事を言う性分であったり、村瀬の気さくに、そして真摯に春海と向き合ってくれる感じであったりと、脇を彩る登場人物たちもそれぞれに魅力が光る。
    そして村瀬は春海にある算術書を貸し出し、春海はそこでもまた衝撃を受けて……

    春海に絵馬のことを教えた安藤は、渋川と名乗る春海の思いをおもんばかり、律儀と筋を通しつつ、共に算術を楽しみ、上巻中盤では春海に重大なことを気づかせてくれる。そして春海と同じく御城碁を打つ道作は、若い才能を持て余し上覧碁に退屈を覚え、春海をライバル視し、真剣勝負の場を望む。その青さと熱さ、そして春海との対比もまた読ませる。

    春海の元に訪れた転機。日本各地で北極星の位置を観測する“北極出地”の命が春海に下されます。旅立ちの直前春海は大きな挫折を抱え、この北極出地の旅に出るのですが、そこで、共に旅する二人の老人、建部と伊藤がこれまた魅力的。

    二人とももはや隠居してもおかしくない年でありながら、全国をめぐり星を観測し、そして見果てぬ夢を、どれだけ手を伸ばしても届かないように思える天と星へ挑み続ける。

    その飽くなき探究心や、好奇心も読んでいて清々しく、この旅と、二人との出会いも春海に大きな影響を与えます。そして春海が二人と結んだ約束。上巻の一つのピークともいうべき感動的な場面です。

    まだ上巻ながら、印象的な登場人物、そして場面が数多くあり、下巻が楽しみなのはもちろんなのだけれど、読み終えるのが既に勿体なくも感じ始めています。

    第31回吉川英治文学新人賞
    第7回本屋大賞1位

  • 登場人物全員が素敵な人たち!
    主人公の春海を筆頭に、真っ直ぐに生きる人達がキラキラして眩しいくらい。
    好きなことに没頭する春海たちが爽やかで優しい気持ちにさせてくれる。
    上巻は改暦の前段階のお話だけど、春海の想いが強く印象づけられた。
    下巻ではいよいよ改暦の事業を拝命されるのかと思うと、続きが楽しみでしょうがない!

  • 若かりし春海の真っ直ぐなところや、それを見守る建部と伊藤の大きさが読んでいて心地よかったです。下巻も楽しみです。

  • 誰からも愛される性分の春海なので、とても応援したくなります。理系男子とでもいいましょうか、春海と安藤の2人が算術についてキラキラと嬉しそうに話している姿は好感が持てました。
    観測隊の建部、伊藤両名にあっても若い春海にさまざまな良い影響を与えてくれる大人たちでした。建部とは永遠の別れになってしまいましたが、きっと腕に天を抱きながらこれから天と壮絶な勝負が始まるであろう春海を見守っていることでしょう。
    えんも春海のもとから去ってしまったのが心残りになってしまいました。再度挑んだ関孝和への設問は命が宿っているようでした。
    ここまで読んで清々しい気持ちになりました。下巻も楽しみです。

  • 記録用

  • 下巻へ

  • 映画を見ようか本を読もうかと思ってスルーしてた作品。

    私は天文学も数学も結構好きなので面白かったですね。
    ちょっと文章はさらさらしているので
    マンガか映画の方がより良いのかな。ということで
    ★一つ減らして4つ。

    そういえば岡田准一と宮崎あおいって
    この映画で夫婦役なんですねえ。しみじみ。

  • 舞台は江戸時代ですが、読みやすい文章で、内容も理解しやすいように工夫されています。当時からの日本人の持つ謙虚さや美意識、勤勉さというのを感じられました。北極星を観測して全国を巡る旅は、やや駆け足気味でしたがとても素敵ですね。2010年6月に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」が、地球を離れて60億kmを巡る宇宙の旅の雄大さや、他天体の物質を持ち帰り、日本中を賑わしたのもついこの間のこと。宇宙という広い世界に思いを馳せ、憧れる気持ちは、江戸時代の人も今の時代の私たちも、きっと変わらない。下巻も楽しみです。

  • 江戸時代の囲碁や測量の世界を垣間見させてくれて教養としても面白い。主人公のキャラクターが漫画のようでリアリティがないようにも感じた。

  • H29.3.26 読了。

  • 算術の世界がこんなにも楽しく感じるのは、正直意外過ぎました。塾で、神社で…いろんなところで問題を出し合い、解き合う。「失敗を恐れてはいけない」この言葉が胸に響く。だからこそ、解けたときの「明察」って気持ち良いのだろうな。学生時代に、この本に出会えていたら、数学に対しての意識が少しは変わっていたかもしれないと思うと惜しい。この算術が、これからどう関わってくるのか…楽しみです。

  • 江戸幕府の初代の天文方になった渋川春海、その生涯を描いた小説です。
    そもそも碁方として囲碁を打つ役割を担っていた中で、暦という全く別の分野に進んでいった主人公。確かに小説の題材としては申し分なしです。
    ※非常に読みやすい文章だなぁと思ったら、著者はラノベ出身なのですね。あと5年くらいズレてたらラノベ時代から読んでたはずだったのですが、良いのか悪いのか、本著で初めて著者の作品に触れました。

    何より素敵だったのは本著のキャラ立ちの良さで、主人公から脇を固める登場人物まで、色彩豊かで面白いのです。
    特に、自信を無くして遠慮している主人公に対し、「それは良い。全霊を尽くして誤答を出すがいい」と言い切ってしまう上役の建部氏と伊藤氏。いやぁ、もし人の上司になるコトがあったらこういうセリフ一回言ってみたいと思うくらい(笑
    他にも、妙にクセがあるもののそれぞれに矜持がありそうなキャラが並んでいて、人間としての職業倫理、生き様といったものについても考えさせられる一冊です。

    ちなみに、上巻を読了した感想としては、上下巻に割っちゃダメだなコレは…という印象です。プロローグで書かれた内容は、上巻においてはほぼ触れられないので、上巻だけを読むと、アレ何だったの?という感じ。
    元々は一冊だったようで(その前は連載小説?)、早く下巻を読みきりたいところです。

  • ー鳥肌がとまらない。

    まだ上巻までしか読めていませんが、ページをめくる手が止まりませんでした。
    幕府からの命令で、日本各地をまわり、北極星や天体を観測し、そして日本独自の暦をつくる。そんな大事業に選ばれた春海。

    日時計を使う時代、徒歩で日本中を歩き、北極星を観測。それだけでも想像するだけで目眩が起きそうなのに。わたしたちのカレンダーってこうやって作られてきたのか……。
    大体、北極星って、自転の軸上にあって、ずっと北にあるものじゃなかったっけ?どこから見ても北にあるんじゃないの?そしてそれを観測して地図を作るのではなく、暦……。
    凄すぎて、こんなことを江戸時代にしていたなんて信じられません。
    当たり前に使っているカレンダーですが、これがない生活を想像すると、「いつまで明日があるんだろう」と思ってしまいます。
    暦って、わたしたちに明日や未来をくれているんだ……。
    本当にこんな茫洋なことに飛び込む昔の人ってすごい。
    そしてそれをこんなにも、胸が高鳴るお話として届けてくれる冲方丁さんもすごい。
    上下巻合わせて感想を書こうと思いましたが、あまりにも興奮して(笑)思わず感想を述べてしまいました。
    上巻の終わりでも、ああ、これからなんだ。まだこれは始まりなんだ。そう思わせてくれるのがまたしても鳥肌でした。

  • 実に清々しい小説。読み終わって気持ちいいい。内容は、徳川4代将軍の時代に新たな日本オリジナルの暦作りに奔走する若者の奮闘記。同年代の数学の天才である関孝和に刺激を受けながら、保科正之や水戸光圀などの庇護を受け、20年の歳月を掛けて暦を完成させる。測量技術も地図も時計もない時代に、星や太陽、月の動きだけで正確な暦を作る大事業。必ずしも順調ではなく失敗も多いが、なぜ次に期待してしまうし、応援したくなるのは、主人公が若く一途だからか。また人間の力だけで天を相手にしようとする無謀さにも共感するからか。新しい暦の完成を確認したころには40代半ばとなっていて、若者の頃にはなかったしたたかさと知略を用いる場面がある。こういうところも、共感できて、とても良い本。

  • 主人公の渋川春海が自分と同い年で、絶妙なタイミングでした。若さゆえの浅はかさ、恥、情熱、バイタリティが爽やかに詰め込まれていてよかったです。
    文中の、「からん、ころん」、拍手(かしわで)の音、「明察」が効果的に繰り返されて心地良いです。
    中盤の、無邪気なおじいちゃんたちが出てきた時、心底元気になりました。いいなあ。
    終盤の、ある別れは切なく悲しくて、思わずほろりとしてしまいました。
    時代小説だけど、いきいきと映像が浮かんでくるようなドラマチックな展開が、とても読みやすいです。チャンバラシーンもないのにわくわくしました。
    下巻もなかなかに楽しみ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「チャンバラシーンもないのにわくわくしました」
      確かに、、、まぁ、そんな話(チャンバラ)が出てくるとは全然思わずに読み始めましたが。。。
      「チャンバラシーンもないのにわくわくしました」
      確かに、、、まぁ、そんな話(チャンバラ)が出てくるとは全然思わずに読み始めましたが。。。
      2012/08/20
  • 待望の文庫化!さっそく買って読んだ。震えた。泣いた。
    この本に出会えてよかった!思わず本を撫でたくなるくらい。
    一つのこと全身全霊で心血を注ぐ人の姿、
    いくつになっても向上心があり、大きな夢を描いて邁進する姿、
    そして世代を超えて同志たちがお互いを尊敬し合う姿が感動的すぎて震える。
    それにしても算術、暦が江戸時代の人たちの一種の娯楽やったとは!

  • 文庫化バンザイ

    • 及川さん
      お、文庫でたのか。映画の公開が9月だったけど、その前に出すのね。
      お、文庫でたのか。映画の公開が9月だったけど、その前に出すのね。
      2012/05/19
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      > 及川さん
      「その前に出すのね」
      読んだ人は映画を観たくなる!って思ってますヨ。きっと!
      > 及川さん
      「その前に出すのね」
      読んだ人は映画を観たくなる!って思ってますヨ。きっと!
      2012/05/21
  • 2010年度本屋大賞受賞作。徳川四・五代将軍の時代に日本独自の改暦事業に奮闘した異色の算術家の物語。
    時代小説ながらテンポが良く非常に読みやすい。語り口が現代的で堅苦しさがなく専門知識がなくても内容がすんなり入ってくる。
    碁打ちの名門に生まれながらも算術に魅了され事業に身を投じる主人公・渋川春海の人柄、若者らしさが惹かれる。不器用で真っ直ぐ、失敗や挫折を糧に次の一歩を踏み出し成長していく姿がなんとも応援したくなる。続けて下巻も読み進めたい。

  • ずーっと気になっていてようやく読めた!のですが、時代物が苦手なせいで、読んでも読んでも内容が全然入ってこない。いつもより読むのに時間がかかってしまいました。後半、暦づくりのフェーズに入ってようやく面白くなってきたので、内容を忘れないうちに下巻を読みたいと思います。

  • ただ一つの夢を追いかけ続ける人の姿はやはり美しい。己の限界に挑み続けることへの圧倒的なロマンが描かれた作品。

  • この時代の人たちは、何故短い人生でかくも多くのことを成し遂げられたのだろう。現代に生きる我々の成すべきことの少なさを思い知らされた。

  • もう、この後が気になりまくる算数大好き武士のヒューマンストーリー。

    真面目で朴訥で、ひたすら数学に明け暮れる男をめぐる、ヒューマンストーリー

    有名な歴史上人物もちらほら

    そして、なんか、つ、つ、ツーーーと、泣ける。

    下に続く。気になる。今日の帰り借りて帰る。

    この作家の本初めて読んだけど。ハマりそうです。

  • 江戸時代の改暦の一大事業を描いた歴史小説です。主人公の渋川春海は碁打ちの名門に生まれますが、碁ではなく算術にその生涯をささげます。その中で改暦という一大事業を任され悪戦苦闘していきます。渋川春海の不器用ながらも算術と改暦に入れ込んでいく純粋さに読者は皆引き込まれたと思います。
    江戸時代5代将軍綱吉の時代ですが、この時代の日本の数学が非常に高度である事を初めて知りました。関孝和や和算は知識では知っていましたが、これ程とまでは知らず目から鱗でした。
    改暦事業に携わる人々は皆、非常に職人気質な方達です。江戸時代の日本人は基本的なこのような方が非常に多かった、もしくは基本的な在り様としてデフォルトされていたのか?そんな想像を巡らせました。今に繋がる日本人の性格の一つを垣間見た気がします。

  • 読了2019.4.16
    上★★★☆☆
    下★★★★☆

    1日は約23時間56分4.06秒。1年365日、4年に一度の閏年。私が生まれた時から数えて、正しい(と信じられる)カレンダーが35周している。それがもし、ズレていたら?この世の中にどのような影響があるかなんて考えたことがなかった。

    まだまだ信仰の熱い江戸時代。縁起がいいか不吉かで公を決めることも多い中で、空を読めたら?税金(年貢)納めの日取り決め、ズレていけばどうなる?
    正しい暦法とは私が想像する以上に宗教、政治、文化、経済、つまりは天下に影響する物だった。

    戦国時代が過去になりつつある泰平の江戸時代前期。江戸城に雇われた囲碁棋士且つ天文暦学者であった渋川春海の生涯を綴る。貞享暦作成に携わる様々なドラマが描かれる。文字通り、命を懸けてたくさんの人の想いと政治と算術と暦法に生きる姿がサラサラと綴られている中で、内なる熱い想いと等身大な春海の人柄に気持ち良さを感じた。公式に当てはめれば答えが出る数学ではなく、まさにその公式作りにあたるわけで、そう簡単にはうまく行かないストーリーに「え?!どうして?!」としっかり感情移入して最後まで読み進むことができた。そして人柄あふれる最期に、読後感は気持ちのいいものだった。

    暦法作成には算術が土台なのでよくよく出てくる。
    ご多分に漏れず、私は数学の様々な公式をぐぬぬと覚えた学生時代だったけど、それを生み出した人が必ずいるんだよなぁと不思議な感覚だった。ひとつの公式ができたときは大騒ぎだっただろうなぁ。

    ちなみに、登場人物として出てくる会津藩藩主・保科正之を自担としたい。めっちゃステキ。具体的に行った政策を扱った小説があったら読みたいなぁ。

    時代物は苦手だったけど、平成から令和に変わるこのタイミングで、改暦という天下を変えるテーマの話を読めて良かった。実際の歴史上の人物なのでwikiで検索しながら、人物の背景や人柄をチェックしながら読みました(笑)
    ----
    天地明察 上◆内容(BOOK データベースより)
    徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く―。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。第7回本屋大賞受賞作。

    天地明察 下◆内容(BOOK データベースより)
    「この国の老いた暦を斬ってくれぬか」会津藩藩主にして将軍家綱の後見人、保科正之から春海に告げられた重き言葉。武家と公家、士と農、そして天と地を強靱な絆で結ぶこの改暦事業は、文治国家として日本が変革を遂げる象徴でもあった。改暦の「総大将」に任じられた春海だが、ここから想像を絶する苦闘の道が始まることになる―。碁打ちにして暦法家・渋川春海の20年に亘る奮闘・挫折・喜び、そして恋。

  • 中学生の時に読もうとして、わずか数ページでリタイアしてしまった本。今回は最後まで読めて、なぜこの本の面白さがわからなかったのか不思議。
    囲碁、算術、暦学…色々な学問で戦う江戸時代の人々が熱くて惹かれる。特に、春海は性格的に好きになれる主人公だと思う。えんと春海が今後どうなるのか楽しみ。

  • 現代で言う数学・天文学を、碁打ち衆で算術に長けた春海を通して、実にドラマティックに書き上げられている。伝記というより時代小説なのだが、当時の江戸城内での人間関係の描写も面白い。老中に命じられて北極出地に旅立つが、北極星の高度を歩測と計算で解くというのは、生半可な数学の知識ではないことに驚かされる。本書の前半で引用されていた直角三角形に内接する2つの円の直径を求める問題なんて、錆びついた自分の数学力では解けなくて、なんとも悔しい!

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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