氷点(上) (角川文庫)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003404

感想・レビュー・書評

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  • ずっと大好きな本。人間の心情やその変化が些細な部分まで描かれていることが好きな理由だと思う。
    いつか氷点を持って旭川に行って、美瑛川が見たい。

    この本が好きな人になかなか出会えず悲しい。。

  • 高校生の時課題図書で読んでから何十年もの間、何回も読み返している本。
    なんで飽きないんだろ。
    私の中ではベスト3に入る一冊。

  • あるサイトの無料キャンペーン中だったので、読んでみました。有名な作品だったので、やはり期待通りです。心理描写が素晴らしく内容も良いです、早く後編が読みたいです。

  • 越谷支店 井芹さんお勧め本

    あらすじ
    自分が辻口家を不幸にした殺人犯の子であるとして、自殺をはかった陽子。一命をとりとめ、父・啓造や母・夏枝からすべてを謝罪されたが、自分が不倫の末の子であったという事実は潔癖な陽子を苦しめた。陽子は実母・恵子への憎しみを募らせていく。一方、兄・徹はその恵子に会い、彼女なりの苦しみを知ることになる―。大ベストセラー『氷点』のその後、“真実”を前に苦悩する人々を描いた珠玉のドラマ。
    感想
    続編も最高、旭川に行った時には三浦綾子記念文学館へ寄る事。

  • 医師で院長の辻口啓造と妻の夏枝には徹とルリ子の
    2人の子供がいた。
    ある日、敬造の留守中に啓造の病院で働く眼科医の
    村井と夏枝が不倫をした。
    さらに、その間に娘のルリ子が殺害された。
    啓造は2人のことを知り、恨みを抱く。

    死んだルリ子の代わりに娘を育てたいと申し出た夏枝に、
    啓造はルリ子を殺害した犯人の娘をもらって
    内緒で夏枝に育てさせようと企てる。
    ----------------------------------------------

    50年前の小説が今もこうやって読み継がれるとは。
    文章は昔の文学小説っぽい書きぶり。
    でも、淡々としていて個人的には読みやすかった。
    (読者が裏を読まなくてもいいというか)

    続きが気になる!

  • 思うことがあるのなら言えば良いし気になることがあれば聞けば良いのに自分の妄想で相手を悪者にしている2人を見るとイライラして仕方ない、自分の気持ちを言わない奴の気持ちを推察するには与えられたものでするしかないんだぞとお互いに言いたい。「人間の原罪」をテーマにしているとあったが、人間の傲慢さがテーマなのかな、私はそう解釈する。

  • ほんの些細なことで、こうも人間関係が壊れていくのかと。登場人物それぞれの心情がきめ細やかに描写されていて、引き込まれるようにして読んだ。夏枝の身勝手さは自分と重ねる部分が多くて、読んでいてとてもつらい。みんなこだわりを捨てて思いを口に出せたのなら、きっともう少しマシな未来になったんだろうと思った

  • どうしてそんな事を…
    どうして聞かない…
    どうして話さない…

    どうしてどうしてどうして と 考えながら、これから待っているであろう家族の崩壊をどうにか止められないかと切に願いながら読み進めた。
    下巻を早く読みたい。けど、読むのが恐い。

  • 半歩遅れの読書術中島岳志 高校時代、心に沈殿した「原罪」 「保守」のあり方考える契機に
    2018/6/2付日本経済新聞 朝刊
     保守思想について研究してきた。タイトルに「保守」がつく本も何冊か書いた。近年は、「リベラル保守」という立場の重要性を論じている。
     保守思想の根本には懐疑主義的人間観がある。近代の人間は、理性に対する過信を抱いてきた。人間の能力によって進歩した理想社会をつくることができるという合理主義が共有されてきた。
     これに対して、保守思想は冷水をかける。人間はどうしても間違いやすい。どれほど頭のいい人でも、世界を完全に掌握することはできず、誤認も生じる。どれほどの人格者でも、嫉妬やエゴイズムなどから自由にはなれない。だから、不完全な人間によって構成される社会は、永遠に不完全なまま推移せざるを得ない。世界は完成しない。
     では、どうすれば安定的な秩序を保つことができるのか。保守は歴史的に蓄積されてきた集合的経験値や良識、伝統などを重視し、時代の変化に応じた漸進的改革をすすめる。そんな保守思想に、20歳の私は深く納得し、これまで保守のあり方を考えて来たのだが、背景には、高校生の時に読んだ三浦綾子『氷点』(上・下、角川文庫)がかかわっている。
     『氷点』が追求したテーマは、キリスト教の「原罪」。全人類が生まれながらに負っている罪のことだ。病院長の夫・辻口啓造と妻・夏枝の間には3歳の娘・ルリ子がいたが、ある日、夏枝は夫が経営する病院の男性医師と密会し、ルリ子に一人で外に行って遊ぶように言う。ルリ子は誘拐され、殺されてしまう。密会に気づいていた啓造は、妻への復(ふく)讐(しゅう)心から犯人の娘とされる子供(陽子)を引き取り、それとは知らせずに夏枝に育てさせる。
     陽子は素直で明るい子供に育つが、夏枝は夫のたくらみを知り、陽子に冷たく当たるようになる。それでも懸命に生きた陽子だったが、ある時、自殺を試みる。陽子が直面したのは、母への失望を超えた「原罪」だった。
     人間には、存在自体に含まれる罪がある。それは陽子のような境遇に限られない。人はいのちを奪わなければ、生きることができない。一切の欲望を断ち切ることなどできない。
     この「原罪」という観念は、私の心の深い所に沈殿した。保守思想の祖とされるエドマンド・バークは、思想の根本に「原罪」の観念を据えている。そのことを知ったとき、私の保守思想への信頼は確立した。
     『氷点』の舞台・旭川を訪れた時、私は人生の原点と直面した思いにとらわれ、しばらく立ち尽くした。
    (政治学者)

  • やり場のない喪失感や悲しみの原因を客観的に見れば不当な形で他の人間に帰して復讐を図る行いと,それが新たな不和を生み出す様というのが,作中人物の言動を通して描かれている.表面的には豊かで良い家庭に見えているものが,実際にはドロドロしているというのが恐ろしい.上巻ではまだ子供たちが幼いこともあって,夫婦とそれを取り巻く人々(主には夫の職場関係)との関わりが中心.目先の,あるいは表面的な事柄に感情を左右されて一喜一憂する人物の姿がリアルに感じる.

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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