- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041006191
作品紹介・あらすじ
幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう-。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。
感想・レビュー・書評
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オススメ!
グイグイ読ませる、真相が知りたくてページを捲る手が止まらなかった。道尾先生、さすがです!
嘘は悪いのか? 誤魔化す嘘、保身の嘘、策略の嘘、相手を想いやる嘘。
家庭事情で中学〜高校時代を隣人宅で暮らすことになったトモ。トモの回想から始まる話は、隣人宅の姉妹、サヨとナオ、父親の乙太郎一家を襲った悲劇が根幹。
「人は自分だけの物語を生きている」これは『向日葵の咲かない夏』でも感じた作者からのメッセージ。
不気味なスノードームの球体、『星の王子様』のアイテムもスパイスとして効いている。読了感はなぜか良い(^^) -
なんとも、かなしい。もう何もしんどいもの出てこないでと思いながら読みました。最後は少しほっとしました。
それにしても床下のたくさんのカマドウマ…無理です。。 -
読後、球体の蛇というタイトルに納得した。
主人公が見聞きしたものが嘘なのか、主人公が考えたことが嘘なのか、何もかもが信じられない。
曖昧なものが思いの繰り返しによって本当のようになっていく。
想像や思いの中で物語が動いていくので(回想ってことじゃない)、まさに球体に閉じ込められたようだった。
静かに進む出来事を不思議に眺めている、そんな気持ちで読み進めた。
その感覚もまた、球体を見つめているようだ。
最後の一行がとても印象的。
そもそも終盤も印象的。
奇妙な作品だったと思った。 -
ひたすら「え?」の連続。誰のために口を閉ざしたのか。誰もが真実を見ていたような気もするし何も知らない気もする。最後、二人は本当に幸せなのか?それすらよくわからない。
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さすが道尾先生というか、このもどかしさとやりきれなさから更にずぷりと沈め込まれるような痛み、心グサグサやられてしまう。毎回しんどさのメーター振り切れるんじゃないかってくらいなんだけど、これがクセになるんだっ。やめられない重痛の魅力。
主人公の床下の行動は乱歩作品みたいな変質っぷりだなぁと引いてしまいましたが(笑)
タイトルへの繋がりが出てくるたびにいつも成程、と息が漏れます。こんな自分が嫌なのに、嫌だから更に上塗りしてまた嫌だなと嘆く。誤魔化しながら、言い訳しながら、欲に手を伸ばして。主人公のみならず、自分までグサグサ刺される。
重なる嘘は、どれがどこから何が嘘で真実だったのか。その明確な答えはないまま、曇天の心にずっと小さな痛みの塊を感じながらの終幕は重い余韻。
妊婦からゾウ、蛇、球体と表す流れが好き。主人公が球体の内部に感じたものに、ずっと包まれていたいか否か。やはりはっきりと答え難い。 -
幼なじみの死の秘密を抱えた17歳の「私」はある女性に出会い惹かれる。その時言えなかった些細な真実が誰かを傷つけるなんて考えもせずに…。
狭い世界でのたうち回る蛇のように、互いの嘘で傷つき傷つけあってしまう。最後の展開が救いだったのかはちょっと考えてしまうな。
終始釈然としない主人公に苛立ちながら、妙に人間臭さも感じてしまった。 -
暗くて切ない物語
テーマは「嘘」
幼いウソと過ちの連鎖が人生を変えていく。
本作も、文芸作品的な文体なのですが、この文体って嫌いなんだよなぁ(笑)
ストーリとしては、うまく語ることができない(笑)
主人公は、両親の離婚により、サヨの妹のナオと父親乙太郎と同居しているトモ。
サヨは幼いころから、残酷ないたずらをする性格。
ある時、サヨとナオと乙太郎と妻逸子とトモでキャンプに行ったときに悲劇が起こります。
サヨとナオをテントに残して夜のドライブに行ったときにテントが火災。
子供を助けようとして全身やけどを負った逸子は死亡。
ケロイドの傷跡を負ったサヨはその後自殺
その責任を感じる父親乙太郎
その自殺の原因を造ったと思っているトモ
そんな設定の中、
サヨに似ている智子にトモは惹かれ、智子が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込みます。
智子はその家で先生といわれる男といやいや関係を持たされている。
そして、ある時、床下に潜り込んでいたときに、その家が火事に。
それを機に二人は付き合うようになります。
そして、ある時、智子がいやいや関係を持たされている原因をトモは知ることになります。
ここから話は急展開!
トモと智子の関係は?
トモとナオとの関係は?
そして、テントの火事の真相は?
最後の最後はちょっと救われた気分