ラスト・ワルツ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041040232

感想・レビュー・書評

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  • 待望の4作目ですね。
    短編が4作入っておりまして、表題はうち1作のお話から連想したものと思います。

    「ワルキューレ」
    4作のうちいちばんの長編です。
    ずっと雪村がD機関の人間だと思っていましたが、陸軍のスパイだったのですね。「伊号潜水艦での欧州航路開拓」をヒントに調べてみると遣独潜水艦作戦というのが出てきましたがこれでしょうか?ドイツと日本で物資や人材のやり取りをしようという作戦のようです。
    陸軍内で別のスパイ機関ができたことはありましたが、海軍のスパイが出てきたのは初めてですね。
    逸見のとぼけ具合と悪運の強さ、、、南米にいってもうまいことやってそうです。

    「舞踏会の夜」
    ラスト・ワルツの意味はこのお話を読むとわかります。
    表面上はシリーズ1素敵なお話かもしれません。4作の中で一番気に入っています。
    まさかの登場人物で、顕子が男性の手を取ったときの描写、「まるで作り物の手のような硬さだー。」にどきっとしました。
    このお話と「アジア・エクスプレス」での描写で結城中佐の株が爆上げです。

    「パンドラ」
    D機関まさかの登場なし(笑)
    こういう第三者の視点から描かれたお話も面白くて好きです。最後のネタバレ(パブにいたあの男か!という部分)はフリがなさすぎて取ってつけたような感じを少し受けました。

    「アジア・エクスプレス」
    「羽を広げて減速した鳩は、そのまま結城中佐の指にとまった。まるで―。」まるで何でしょうか!
    仲間か恋人か、もっと他の何かか。
    さて、海外での諜報活動はうまくいっている半面、「ワルキューレ」でもあったように、国内で不穏な動きがあるようです。次作(があれば)は日本を舞台に海外のスパイとの騙し合いでしょうか。楽しみです。

  • 「ジョーカー・ゲーム」シリーズの4作目。
    第二次世界大戦前夜での日欧におけるスパイの暗躍ぶりを描く。
    今回は戦いとは少し離れ、ドイツの映画撮影現場、日本の仮面舞踏会会場、イギリスの殺人事件捜査、満鉄の特急車内を舞台に繰り広げられる緻密な心理戦。
    苛酷なまでに精神をすり減らし肉体を酷使するミッションに対し、鍛えられた面々はいつも通りにこれらを軽々と超えていく。
    相手の裏をかきながら、読んでるこちらの裏までかいていく、巧みな展開。
    ナチスが台頭し国家間でも互いに疑心暗鬼が広がるキナ臭い時局の雰囲気がいつもの通り良く表されており、何より苦労して手に入れた情報が活かされることなく戦争へと転げ落ちた歴史の前に個の優秀さと無力感が際立つ。

  • いつも少し物足りなさを感じながら、購入して読んでいるシリーズだ。
    物語の設定は面白くストーリー展開も良いが、最後のオチが中途半端で又無理やりな感じがしてしまう。
    そして情緒的な文章で逃げられてしまう。
    とは言っても読みやすさで次の作品も購入してしまうと思う
    (苦笑)

  • シリーズ第4弾。期待していたのだが、前作までの緊張感が感じられず、全体としてイマイチの作品だった。あの悪魔のような結城中佐が殆ど登場しないことが一因だろうか

    『ワルキューレ』、『舞踏会の夜』、『パンドラ』、『アジア・エクスプレス』の4編の短編を収録。『パンドラ』は書き下ろし。

  • 柳広司得意のスパイ組織D機関のシリーズ4冊目。

    D機関のスパイが諜報戦で活躍する。

    日本のみならず、ドイツの映画撮影所、ロンドン、満州など時代背景も含めて面白い。

    少し飽きてきた自分を認識しているが面白いのは間違いないです。

  • ハマり始めて読んだが、ジョーカーシリーズでラストワルツが一番好きかもしれない。
    割と登場人物が死んでしまったり、戦時中の話なので暗い雰囲気がどうしても出てしまうが、恋愛チックな要素が入ると少し救われる気持ちになる。
    新書版を読んだ後にアニメ表紙の小説版を借りたら、パンドラが収録されていてラッキーだった。
    あまりD機関の影が見えない話だったけど…

  • 今までのジョーカーシリーズと少し雰囲気の違う作品で、なんだかなあと。
    最後のどんでん返しと予想外の結末は今まで通りで良かったんだけど、今までのD機関より生易しさを感じて、求めてるモノとなんか違うなあと。
    時代のあれこれを一緒に知る事が出来るし
    当時の不穏で不自由な雰囲気が作品に良い影響を与えてる気がする。

  • 「ジョーカーゲーム」シリーズ4作目。
    過去作品とダブらない設定で楽しませてくれました。
    けど、強いて言えば、過去作品より緊張感はいくぶん緩んだかも。

  • 80年も前の第二次世界大戦頃の世界を暗躍するスパイ組織の話しではあるのに、なぜか今まさに現代の話であるかのように感じる。歴史は繰り返すのか?! 
    もちろんフィクションではあるけれど、『今』を切り取る鋭いストーリーに引き込まれた。どうか世界が平和に向かいますように…3.2

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著者プロフィール

一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で第十二回朝日新人文学賞受賞。〇八年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。他の著書に『象は忘れない』『風神雷神』『二度読んだ本を三度読む』『太平洋食堂』『アンブレイカブル』などがある。

「2022年 『はじまりの島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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