テーラー伊三郎

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 563
感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056172

作品紹介・あらすじ

死にかけた田舎町の商店街、老舗テーラーのウィンドウに突然現われた美しいコルセット“コール・バレネ”。それは、ある仕立て職人と貧困家庭に育つ高校生・海色の人生を変える、色鮮やかな“革命”の始まりだった。

感想・レビュー・書評

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  • 海色と書いてアクアマリン
    母親はエロ漫画家
    父親は蒸発
    俺の人生終わったな…
    と日々鬱々と暮らす高校生・アクアマリン

    ある朝彼が寂れた商店街でこれまた寂れたテーラーに飾られた「コール・バネレ」と衝撃の出会いをする。
    コール・バネレは昔のヨーロッパで貴婦人が着けてたコルセットのことです。
    テーラーの主人・伊三郎、スチームパンクっ娘の同級生、近所の婆さん達を巻き込んで商店街に革命を起こす‼︎
    面白かった〜♪
    狭いコミュニティでの汚い大人達との闘いでアクアは成長し、老人達は輝きを取り戻す。
    読後感最高のハッピーエンドでした\(//∇//)


    • ゆーき本さん
      泡姫と書いてアリエル
      を思い出しました
      泡姫と書いてアリエル
      を思い出しました
      2023/05/24
    • ゆーき本さん
      川瀬さん色んな本書いてるんですね!
      「よろずのことに」借りてきましたよ´▽`)ノ
      川瀬さん色んな本書いてるんですね!
      「よろずのことに」借りてきましたよ´▽`)ノ
      2023/05/24
    • みんみんさん
      呪い‼︎Σ('◉⌓◉’)

      キラキラネームもある意味呪い笑
      呪い‼︎Σ('◉⌓◉’)

      キラキラネームもある意味呪い笑
      2023/05/24
  • この作者の法医昆虫捜査官シリーズは、どれも面白かった。さてこれはというと、期待した以上に堪能した。どの登場人物も、滅茶苦茶個性的ではないか。そして、前向きである。ポルノ漫画家の主人公の母親など、なんて魅力的なんだろう。敵役の真鍋女史も印象は強烈だ。80歳を超えた伊三郎が、紳士服専門だったのに、いきなり19世紀フランスのコルセットのコール・パレネを展示したことから始まる大革命!主人公の母親がポルノ漫画家ということも上手くいかされているし、スチームパンク女子の明日香もズーズー弁が最高だ。

    • goya626さん
      megmilk999さん
      川瀬七緒さんはお勧めですよ。どの小説も、水準以上の面白さがあります。法医昆虫捜査官シリーズも最高ですよ。捜査官が...
      megmilk999さん
      川瀬七緒さんはお勧めですよ。どの小説も、水準以上の面白さがあります。法医昆虫捜査官シリーズも最高ですよ。捜査官が個性的!
      2022/02/17
    • megmilk999さん
      ありがとうございます。ヴィンテージガールも面白かったので、そちらのシリーズも読んでみます。
      ありがとうございます。ヴィンテージガールも面白かったので、そちらのシリーズも読んでみます。
      2022/02/17
    • goya626さん
      megmilk999さん
      ぜひ。いろんな作家がいるので、読書には限りがありませんよね。ブクログのみなさんのブログ読むこと自体も楽しいです。
      megmilk999さん
      ぜひ。いろんな作家がいるので、読書には限りがありませんよね。ブクログのみなさんのブログ読むこと自体も楽しいです。
      2022/02/18
  • 革命の話し。
    小説に出てくる、話しを進める主人公にとって(そして物語りにとって)都合の良い役回りを演じる人物をマジカル◯◯と言う、と、柚木麻子さんのマジカルグランマで読んだ。老人が出てくると、マジカルグランマ、マジカルグランパになりがちで好きではないのだが、伊三郎さんは違う。火炎瓶(実際は改造ミシン)を持ち自分の人生を歩み続ける。
    出てくる人が全員、力強く、自分の正義を生きている。志が違う人でも、作者が敬意を持って全員を描いているのだろう、立体感があって、実際、読み終わった晩に、全員で夢に出てきた。
    私も心を燃やそう。

  • 潰れたはずの仕立て屋のショーウィンドウに、ある朝、一体のボディが飾られる。
    それは、18世紀ロココ調の白いコルセットを着せられていた。

    退屈な田舎町に、凄腕の仕立て屋の老人と、服飾文化にやたら詳しい男子高校生が革命を起こす!
    独特の世界観を持った、ズーズー弁のスチームパンクJKと、まだまだ自分の可能性を広げたい、もう一花咲かせたい三人の個性的な老女たちも同志となった。

    「前例」と戦時中の隣り組みたいな「相互監視」にまみれて生きる田舎町。
    それを牛耳るのは、元副校長の、なんでも「教育的指導」をしなくては気が済まない真鍋女史。
    本作最大の敵だ。
    地元権力と癒着した商工会の相馬とタッグを組んで伊三郎の店舗再生を邪魔してくる。
    時代が変わったことをただ嘆いている死に体の商店街の代表が相馬だが…果たして商店街の人たちは相馬が代表だと思っているのかな?

    それに対して、コール・バレネ(コルセットです)に見出された者たちは楽しい!
    抑圧に必死になる奴等は、もしかして羨ましいの?それで気に食わないの?

    なぜ、この作品の中心となるアイテムは『コルセット』なのだろう。
    ファッションアイテムでもあり、医療用でもあるそれは、
    【締め付けること】と【支え、補助する事】が紙一重であり、裏表であることを示している気がする。
    真鍋女史は嫌いだが、彼女が「女性を守るため」という大義名分のもとで行きすぎた監視や抑圧を行うのも、その裏表と考えれば納得もいく。

    漫画家の母親の背景アシスタントする男子高校生、カッコいい親子関係!と思っていたところが、まさかの事態に。
    世間的にはそういうことなのか…

    伊三郎の妻の話は切ない。

    コルセットのさまざまな着こなしが披露される撮影の場面は、カラーイラストもしくは映像で見たいもの。

    瀕死の商店街は、実は凄腕アルチザンの宝庫でもあった。
    老人舐めんなよ、ってことです。
    楽しくスカッと胸のすく話だった!
    蒼穹に翔び立つハトとともに!

  • 第158回(2017年下半期)直木賞候補作品。
    高校2年生の津田は、ある日寂れた仕立て屋「テーラー伊三郎」に飾られた、女性の下着である美しいコルセットに惹きつけられる。母親が官能漫画家であり、その手伝いをしていた津田は、その時代の服装・文化に興味があり詳しかった。福島の中途半端な田舎町生まれ、海色(アクアマリン)と名づけられ将来を諦めかけていたが、仕立て職人の伊三郎、周囲の老人などと共に、コルセットで革命を起こす!
    変人というかマニアックというか、個性の強いキャラクターが登場するところは川瀬さん。全く馴染みのないものなので、表紙の絵を何度も見直してしまった。楽しいエンターテイメント小説。

  • また豪快でハチャメチャな女性達が登場。川瀬さんらしい。
    コルセットを中心とした西洋服飾の歴史やら、スチームパンク、平行世界…
    マニアック満載の物語の渦に、よく分からないまま身をゆだねて、それなりに楽しく読み切りました。

    ただ最後の、母と真鍋女史の対話は、ちょっと物足りない気がしました。

  • 初めてこの作家さんを読みましたが、この話の展開の意外さと、キャラクターの濃さにはびっくりでした。他の本は昆虫とか、血なまぐさいのとか、推理とかの話が多いので、こちらの方が異色なのでしょうか。あっ、作者は文化服装学院ご出身なのですね。服装や文化の歴史がリアルです。話が、世界観が、どんどん想像つかない世界へ連れていかれるのですが、決してファンタジーな世界ではない。瓦町商店街は、現実とちゃんと繋がっています。寂れた商店街、頑固な爺さん、個性的な婆さん、職人気質、昭和ノスタルジー、権力を盾に正義感を振るう人、世間体を気にする役場の息子、官能漫画家の母、それらは「実在」しています。コール・バレネを巡って、これが全部結びつくんです。テンションダダ下がりの津田海色(アクアマリン)くんのモノローグから始まるこの物語が、怒涛の勢いでラストに向かって。
    明日香ちゃんの夢と行動が希望をくれました。頑張れ、津田海色。猛烈にビジュアルが見たくなった。とんでもない話だけど、だれか映像化して欲しい。

  • 「人の顔色を見るな。人とくらべるな。意見を飲み込むな。自分の人生は、自分以外のだれにもゆだねるな」
    82歳の仕立て職人が17歳の男子高校生へ向けて放った本気の言葉は、少年の心を一瞬で撃ち抜いた。
    福島の田舎町で起こした老人と高校生のコルセットによる「革命」は、町を変え少年の生き方をも変える。
    「人生は終盤戦からが本番だ。年寄りは可能性が狭まったぶん、経験値だけは腐るほどある」
    老人達のイキイキとした生きざまや職人魂はスカッとする位に爽快。
    老人達のアツい情熱を見せつけられ、少年の中に潜んでいた可能性の欠片が開花する。
    そして読み終えた私も、人生の終盤戦に向けて力強いエールを貰えた。

  • ワクワクした。映像で観たい。

  • 思った以上に傑作。いやーオモロかった。
    川瀬七緒さんは初読だが、追いかけてみたい要チェックリストに登録!

    ストーリーは正直凡百だが、キャラクター設定とウンチクが最高に上手い、おそらくストーリーを工夫したら、キャラクターとウンチクが雑味になるから単純にしたんだろうな。メリハリとバランスをそっちに持って行くことで成功している。

    登場人物の個性と、服飾やスチームパンクや作図の薀蓄を徹底的に楽しめた。特に薀蓄は自分では全然疎い方面のことがほとんどなのに、読んでて実に楽しい。女性のファッションになど全く興味がないはずなのに、読んでてウキウキしてくる。

    知らない人にいかに分かりやすく説明するか…これがいかに難しいか。その部分を実に上手くこなしているからこそ、この小説は良作になっている。生きていれば魅力的な事はあちこちに溢れるほどあるんだなぁ~

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著者プロフィール

1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。’21年に『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(本書)で第4回細谷正充賞を受賞し、’22年に同作が第75回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門の候補となった。また’23年に同シリーズの『クローゼットファイル』所収の「美しさの定義」が第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。ロングセラーで大人気の「法医昆虫学捜査官」シリーズには、『147ヘルツの警鐘』(文庫化にあたり『法医昆虫学捜査官』に改題)から最新の『スワロウテイルの消失点』までの7作がある。ほかに『女學生奇譚』『賞金稼ぎスリーサム! 二重拘束のアリア』『うらんぼんの夜』『四日間家族』など。

「2023年 『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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