ナミヤ雑貨店の奇蹟

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著者 : 東野圭吾
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年3月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101360

ナミヤ雑貨店の奇蹟の感想・レビュー・書評

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  • 店じまいした古い雑貨屋に、コソ泥3人組が忍び込んだ夜。
    どういうわけか店のポストに悩み相談の手紙が届き、過去と未来が繋がって。。。
    奇蹟のような一夜を、心から祝福したくなります。

    奇蹟の発端となったのが、ナミヤ雑貨店の「ナミヤ」を「ナヤミ」と
    読み違えた小学生からの可愛らしい悩み相談を
    店主の浪屋さんが受け流さず、親身になって答えてあげたこと。
    その一件をきっかけに、彼は数えきれないほどの悩み相談を受けることとなるのですが
    他愛のない相談から生死にかかわるような深刻な相談まで
    ひたすら丁寧に返事を書く、この浪屋さんが素晴らしい。
    生協の白石さんに、昭和の恥じらいと勤勉さをさらに加えたような。

    浪屋さんが、なんの見返りもないのに、時には夜を徹して返事をしたため
    相談者がその後、不幸になっていないか気を揉み
    自分の死後のことまで事細かに気を配ってくれたおかげで
    繋がるはずのなかった縁が繋がり、ある女性は未来に救われ
    自暴自棄になっていたコソ泥たちは、自分たちが変えた過去に救われるのです。

    平凡な日々の中で、その時その時、自分ができることに骨身を惜しまず
    丁寧に生きた、ただの雑貨屋の主が起こした美しい奇跡。
    素敵です。

  • お店が閉まった後シャッターのポストに相談事を書いた手紙を入れると、翌朝店の裏の牛乳箱に返事の手紙が入っている。
    ナミヤ雑貨店の店主(ナミヤさん)が一所懸命考えて回答を書いてくれるのだ。

    1人では決意出来ないこと。
    とにかく誰かに聞いてほしいこと。
    自分の考えが間違っていないと確かめたいこと。

    身近な人には話せないことが、通りすがりの人には話せたりするけど、近所の雑貨店の人という距離も同じだろうと思う。
    しかも匿名で手紙を書いて、その手紙に真剣に答えてくれる人なんて滅多にいない。
    うらやましいなと思った。
    変なことを言ってはいけないとプレッシャーを感じながら出してくれた回答を受け取れること。
    そしてその後どうしただろう?と心配しつづけてもらっていること。
    そのどちらもとてもうらやましい。

    この物語の中にはナミヤさん以外にも回答者が登場していて、彼らの回答はナミヤさんとはかなり趣が違う。
    彼ら自身も自分の未来が見えない場所にいるから、相談者の境遇が恵まれた者の甘えに見えたりもする。
    苛立ちを表現してしまう場面もある。
    でも、ナミヤさんの回答の方が相談者にとって有益で、彼らの回答は役に立たないということではない。
    むしろ聞くのは誰でもいいんじゃないかとも思う。
    もちろん騙してやろうとか利用してやろうとか、悪意を持っている人に相談したらダメだけど。

    自分が悩んでいることを話して、人に意見も求める過程で自分がどこに引っかかっているかが見えてくる。
    もちろん相手にもそれは伝わる。
    それを踏まえて語られる相手の意見をはその引っかかりの結び目を別の視点で見せてくれる。
    きっとその視点が自分の凝り固まった視点とかけ離れていればいるだけよく見える。
    最初は反発してもいつか気付ける。
    自分が選んだ道も選ばなかった道もどちらも同じ道だったということに。

    物語の中では相談者が選んだ道が正解だったかのような書かれ方をされている箇所もあって、その道を選べたのはナミヤ雑貨店の回答のおかげと相談者は信じている。
    でも本当はナミヤさんが語っている通りで、大事なのは回答ではなくて本人の心がけなんだと思う。
    誰かの意見を聞いてその通りにしたとしても、それを行うのは自分。その道をどんなペースで歩くか、誰と歩くかを決めるのは自分なのだから。

    後悔しないために必要なことは、この道しか選べなかったと思うことなんじゃないかと思う。
    他の道もあったかもしれない、いや実際にあった。だから悩んだ。
    だけど私は徹底的に向き合って、結果としてこの道を選んだ。
    だからやっぱり私にはこの道しかなかったのだと。

    人が人に相談するのは正解が知りたいからじゃない。
    自分の気持ちが知りたいからなんだ。
    誰かにNOと言われても曲げられない気持ちを知りたいからなんだ。
    そう思った。

  • とてもいい感じでした!
    どなたにも、オススメできます~。
    この作者にしては珍しい?画期的ほのぼの系(変な表現ですが)
    といっても‥

    どんな悩みの相談にも乗るナミヤ雑貨店。
    その仕組みとは‥?
    ナミヤ雑貨店の主人・浪矢老人が、店名との洒落で始めた事だった。
    子供からの無邪気で調子のいい相談が多かったのだが。

    ある夜、金を盗んで逃走中の若者3人組が、廃屋に逃げ込む。
    雑貨店だったらしい建物の中には、40年も前の雑誌などがあった。
    郵便受けに「初めて相談します」という手紙が投げ込まれ、面白半分に返事を書いて牛乳箱に入れる。
    すぐに返事があり、それもとても真摯に受け止められていた‥
    不思議に思いつつも、また返事を書きたくなる彼ら。

    オリンピック出場を目指している選手だが、恋人が重い病気のため、看病に専念するかどうか悩んでいるという女性。
    歌手を目指したが目が出ず、家業を継ぐかどうか、迷っている青年。
    妻子持ちの男性の子を妊娠してしまったという女性。
    親が借金を抱えて夜逃げしようとしている男の子。
    養い親を助けるため、水商売を続けようかと考える若い娘。

    ナミヤ雑貨店の主の息子は、老いた父親にある頼み事をされる。
    三十三回忌のときに、一度だけ、悩み相談を復活してほしいというのだ。
    そして、昭和から平成へと、年月は進み、日本の様子も変わっていく‥

    不思議な連鎖が起きるエピソードのたたみかけ方が上手く、現実味のある相談と、ちょっとしたユーモアで、飽きさせません。
    すべてがハッピーエンドというわけではなく、切なさや思いがけない展開もありますが。
    読後感は良いですよ。
    人の関わり方はけっこうややこしいので、再読にも耐える内容。
    いつかまた読むのが楽しみです。

  • また東野さんのマジックにやられてしまった。
    いやいや、これは浪矢さんと皆月さんのマジックだったんだ。

    人は人生の選択をどう選べばいいのか悩む生き物だと思う。
    どっちが正解だなんて誰もわからないのに、誰かに聞いてみたくなる。

    浪矢さんの返事もありがたいけど、ここにあるほぼほぼは悪者になりきれない若者達が書いてるんだよね。
    それこそ奇蹟だわ。

  • 内側からは決して開かない扉の様だ。
    四方は壁に囲まれていて、窓ひとつない。
    行き場も、逃げ場も無い、空間に閉じ込められて、
    ただ、
    空回りするドアノブを必死でまわす。

    誰か、誰か、この扉を開けてください。
    外側から誰か、この扉を開けて、私をここから出してください…。

    ナミヤ雑貨店に救いを求めて訪れる人達の手紙からは、
    皆一様に、暗い部屋に監禁され、身動きひとつとれなくなっているような、そんな痛みが伝わってきた。

    そして、こんな雑貨屋が、
    この地のどこかに本当にあればいいな、と心から思った。

    見知らぬ他人の迷いやナヤミに、
    本気で耳を傾けてくれる人がいる雑貨店。

    残念ながら、その恩人とは会えないし、
    ナヤミの実体も見えない。
    助言を信じてみたところで、その後の未来もわからないし、
    私達にわかることなんて、なにひとつないのかも知れない。

    でも、ナヤミを投じると、
    その返事が必ず牛乳箱には帰ってくる。

    「みな、繋がっている」
    と、いうピンとはこない言葉を巷では良く、耳にするが、
    もしかしたら、こういう事なのかな・・・

    と、ナミヤ雑貨店の物語に触れ、ようやく
    その言葉にほんのすこし納得がいった私であった。

  • 図書館で随分長いあいだ予約待ちしていたけれど、待っていて良かった。本当におもしろかったから!

    強盗を働いて逃げ場を求めた敦也、幸平、翔太の三人。
    逃走用の車が壊れ、たまたま近くに廃屋があったことを知っていた。
    朝になるまでそこで身を潜めていよう。そう決めた三人だったけど、そこで不思議な手紙と出会う。
    時空を超えた悩み相談。最後に待っている答えとは──。

    読んでいるあいだじゅう、バラバラだったパズルのピースが徐々に繋がってひとつの絵になるような静かな高揚感が私の中に広がっていた。
    家族の絆、人と人との繋がり。
    とてもあったかくて、読後は明るい希望に満ちた、ほんわりとした気持になる優しい物語だった。

  •  奇蹟とタイトルにつくからにはあたたかいストーリーであってほしい
    と思っていた、のかもしれない。
    見方によってはあたたかいとも思うのだけど・・・・・・

     多くのことが起きて、多くの人がでてきて
    それはもちろんとてもうまくまとめられている。
    あれがこうつながるのか、と驚きもする。

     けれど、なかなか気持ちがもりあがらない。
    結局最後まで目一杯もりあがることはなかった。

     こんな雑貨店(というかポスト?牛乳箱?)があったらいいと思う。
    こんなふうに悩みを聞いてもらえ、アドバイスをもらえるなんて
    ドキドキする。
    それでも読了後に残った気持ちは誰かに伝えたいものではなかった。

  • 東野圭吾、奧が深かった───心に優しい小説でした。

    単なるミステリーではない。推理小説でもない。謎解きでもない。
    『ガリレオ』シリーズから入った私は、彼はてっきり、科学系のミステリーが得意なのだと思っていた。
    もちろん、人物描写、心理描写、世界観など、単なるミステリーとしては片付けられない側面を持っているのは薄々感じていたが。
    それにしてもこの作品は、帯に『一か八かの賭けだった』とあるように、誰も死なない、謎解きでもない東野圭吾作品ということで、彼自身どんなものかと半信半疑だったのではなかろうか。

    でも、東野先生。心に響いてきましたよ、この作品。
    貴方が本当に書きたいのはこういった作風の小説なのではないかと思いました。

    優しさ、愛情、希望など、人の心底にある本当のモノについて、時空を超え、牛乳箱での手紙のやり取りを通しながら、何が正しいのかを懸命に模索する。
    正解などどこにもないのだが、その助言を与えてくれるナミヤ雑貨店。

    浪矢さんは、回答を送った後、みんなに訊ねる。
    「その回答は、貴方の人生にとってどうでしたか。役に立ったでしょうか。」と。
    私なら浪矢さんにこう答える。
    「みんな、あなたの誠実な回答のおかげで、幸せな人生を送ることができました。ありがとう浪矢さん。いつまでも天国で見守っていてください。暁子さんと一緒に」と。

    東野圭吾氏の小説でこれほど泣かされるとは思っていなかった。
    あらためて、東野氏の懐の深さに驚くとともに、こんな素晴らしい小説を送り出してくれた氏に感謝。
    これからもご活躍をお祈りいたします。

    あ、そうそう。最後三人が真っ当に生きていこうとする姿は『流星の絆』のラストを思い出しました

    :発売開始後二週間で図書館から借りられた私は幸せ者だ。今日、書店で平積みになっていた本の奥付を見たら、4月7日再販となっていた。いやはや、東野圭吾人気はすごい。
    彼には、出版不況など“どこ吹く風”といったところでしょうか。

    (追記)一点だけ、気になることがあった。
    というのは、この作品の著者が東野氏ではなく、名の知られていない若い作家だったら、みなさん、どんな感想をお持ちになったのだろうか、ということ。
    私自身も、読み始める前から『東野圭吾』という名前が常に脳裏にあるので、「こんな作品も書けるんだなあ」と思いながら読み進めたが、著者が誰か知らずに読んでいたら、やや思いは違うのかもしれないな、と。
    本来、小説は独立した一作品として語るべきで、著者と関連付けて語るべきではないのだけれど……。

  • またもや睡眠時間を削ってしまった。
    東野圭吾氏はどうしてこんなに色んなタイプの面白い話を書けるんだろう。
    あ〜面白かった!

    (今のところ私にとって図書館の待ち時間が一番長かった本。ジャスト丸一年。それをゆっくり味わいつつもあっという間に読んでしまったことがちょっと悔しい。でもすぐに返却して早く次の人に回してあげなくっちゃ)

  • 不思議なお店、ナミヤ雑貨店を舞台にした奇跡の物語。人を助けたい、人の役に立ちたいという思いが詰まっていると感じました。短編集ですが、全部繋がっています。そして、あちこちに泣かせる場面や考えさせられる場面が散りばめられていて本当に面白い。伏線がいっぱい張ってあって、最後になだれ込むテンポもすごくいい。やっぱり東野圭吾は天才です。

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ナミヤ雑貨店の奇蹟の作品紹介

あらゆる悩みの相談に乗る、不思議な雑貨店。しかしその正体は……。
物語が完結するとき、人知を超えた真実が明らかになる。
すべての人に捧げる、心ふるわす物語。

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