ナモナキラクエン

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 510
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102664

感想・レビュー・書評

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  • 楽園だったよ。突然旅立った父親に伝えたい。楽園は今もこれからも楽園で、嵐が来ても大丈夫。支える人が沢山居るから。空の上から見ていてよ。楽園だね〜って言わせるから。

  • ■ 1662.
    <読破期間>
    2016/8/18~2016/8/20

  • 母親の違う4人の兄弟が、父の死をきっかけに生みの母を訪ねる話。
    母親が自分たちを捨てた理由を探すミステリーなのか家族愛な主眼を置いた感動ものなのか、ちょっと軸がブレているように感じた。
    小路さんの作品はいつも穏やかで柳のようにしなやかな男性と、芯の強い神秘的で美しい女性しか出てこなくて、綺麗なお話なんだけどあんまり心に残らない。
    読後感は良いしさらっと読めるのでぱぱっと読むにはいいかな。

  • 母違いの4人兄妹。
    適当だけど楽しい父が死に、それぞれの母に父の死去を知らせに会いにいく。
    そして長男に明らかにされる、父が築きたかった楽園の真実。

    それぞれの登場人物の個性がでていて楽しめた。

  • すてき、だけれどもう一度読みたいとは思わないだろうな。
    小路幸也氏のものがたりはやさしくてうつくしくて、人間の良くないところを直視するには耐えないのだ。

  • これはいい。小路作品では久々のヒット作かもしれない。山紫水明の名を持つそれぞれ母親が違う4きょうだいが父の死をきっかけにそれぞれの生母に会いに行くお話。新機軸の家族ものかな。父の作りたかった楽園の正体と4きょうだいの出生の秘密に迫るラストが良い。2012/635

  • 母親の違う4人の兄弟が父親が亡くなったことをきっかけに、それぞれの母親に会いに行く。
    登場人物がみな良い人で、いい意味でぽわーんとしているので読後感が良い。

  • 最後まで母親の謎かひっぱられていて、つい一気に読んでしまった。複雑な家庭環境だけど、それでもある意味幸せに育ったのはやはりお父さんの力なんだろう。楽園は確かにそこにあったと思う。

  • ★2014年10月19日読了『ナモナキラクエン』小路幸也著 評価A+
    あまり期待せずに読み始めたのだが、これが私には大当たり。最近読んでいる東京バンドワゴンシリーズのように、寅さんっぽくなく、舞台が湘南海岸沿いということもあるのか、さらりとして爽やかな感じのふわっとした物語。東京バンドワゴンがごま油なら、これは、オリーブオイルって感じかな。

    海辺に住むもう引退生活を送っているような向井志郎(50代父)。ほわっとした男子、工学部2年生の山(サン)。女子高校生でめちゃしっかりした美人の紫(ユカリ)。男子中学生で芸術的才能に恵まれた水(スイ)。まだ小学生の明(メイ)。5人家族と日々通いで家の食事をはじめ家事全般を担ってくれる朝美さん。
    サンの彼女、桜井はるか は最近知り合ったサンと同じ大学の経済学部の1年生。

    ある日突然、父は台所で倒れ、脳卒中で他界する。
    実は、4人の山紫水明はそれぞれ母が異なる異母兄弟。長男のサンは、4人の母が次々と家を出て行くつらい体験を持っており、自分の大切な人が去って行ってしまうことに恐れを抱いていた。しかし、今回は泣き言は言っていられない。父は、自分の死後の準備は万端にしており、遺言状を残していた。その中には、生き別れている母4人と皆が望むなら、会いに行っても良いそれは自分たちで決めよと書いていた。
    そして、それぞれが、自分の母に、向井志郎が死んだことを伝えに行き、対面してくる。

    その後に分かる驚きの事実。父がいつも言っていた楽園を作りたいと言っていたその意味とは、、、

    この物語のお父さんがめちゃかっこいい生き方を教えている。とても足下にも及ばないが、でも見習いたい。

    この作品には心に響くいくつもの台詞があった。こんなに気の利いたセリフ、感情を表現する文章、久しぶりに読後にその余韻を楽しめた作品でした。それほど、他の読者の評価はめちゃ高いわけではないから、私の心の琴線にたまたま響いたのでしょう。読んでよかった。幸せな若い時代をもう一つ過ごせたような気がする。

    以下、気に入ったセリフを書き留めておく。
    P19 何かを目指すのならそれは自分の力で目指さなきゃ成らない。他人の助けをあてにする時点それはダメになっていく。でももし、自分の傍らに理解してくれる人がいたなら、それは自分で張った帆に力を与えてくれるだろう。

    P28 大切な人を傍に置きたくない。いなくなってしまうときの苦い思いを僕は十二分に味わってきたから、分かっているから。

    P35迷って誰かに相談するのなら、朝美ちゃんかハマに相談してもいい。ただし、結論だけは自分たちだけで出せ。意見が分かれたのなら、それぞれが思うとおりにしろ。それが一番後悔しない方法だ。

    P42生き物は皆この海から生まれてきたんだ。こんな大きなお母さんが近くにいて良かったな。

    P50 この手紙を読んでいるということは、俺はもうこの世にいないということだろう。先に逝っちまって済まない。最後までお前たちの面倒を見たいという気持ちもあるんだが、それはまあ無理だろう。だから、この手紙を書いておく。

    P239 背伸びをする必要はない。そして世の中に、世間のいろんなものに無理に合わせようとする必要もない。それが必要だと思えばすればいいし、自分たちに必要ないと思ったのなら、しなくてもいい。いつも父さんが言っていたことだ。<ただし、それには責任というものが、覚悟というものがついてまわる>

    P244涙じゃない。人の止めようのない感情を身体全体で受け止めると言うことは、そういうことなんだなって初めてわかった。

    P248背中を、後ろを見て、時には皆に背中を向けられる人間にならなきゃいけないと思うんだ。僕が。

  • ☆☆☆3つ

    なんだかふんわりふわふわとした小説やね。いい感じだよ。
    でもね、小路くんのほとんどの作品って、家族 と 音楽 と コーヒー で出来上がってるね。
    時々云ってみるのだけれど、少し新しいジャンルに挑戦してはどうかな。SFとかミステリー、果ては時代モンとか。あ、いや別に果てなくてもいいのだけれどね。頑張れ!すまぬ(^_^;)

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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