里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041105122

感想・レビュー・書評

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  • GDPのような経済指標を豊かさの尺度にせず、豊かさを考え直してみませんか?という本。といっても、資本主義の否定みたいな極端なイデオロギーに走っているわけではない。
    「お金で解決できる問題はお金に頼りつつ、なるべく地域の自力で生活を組み立てましょう、だって、それが可能なんだから」、
    ということを主張している。日本の田舎を豊かな生活のモデルにしているので、本書ではこの考え方を、「里山資本主義」と称している。

    たとえば、老人デイケアセンターで食べる野菜を外から調達すると、GDPに反映されるがお金は外に流れていく。一方で老人が自宅の畑で作った野菜を使えば、GDPは減るが、お金は使わずに済むし、何よりやりがいが出る。ここではGDPは豊かさの指標になっていない。こんな感じ。

    著者は、何年か前に、「デフレの正体」を書いた人。本書は、その続編みたいなもの。この著者のいいところは、悲観したり、煽ったりするわけではなく、必ず提言なり、実際の解決事例を挙げているところだと思う。

    ところで、僕のような横浜のサラリーマンでも、わずかではあるが食べ物が自給できている。そうすると、田舎のポテンシャルはものすごく高いのかもしれない。

  • 率直に、理想論すぎると感じた。田舎の良いところだけに目を向ける田舎礼賛のきらいを感じた。マネー資本主義のサブシステムとしての里山資本主義を掲げながら、途中でマネー資本主義の上での日本の未来を語り、主題がよくわからなかった。経済換算できない価値を大事にするという意味では賛同できる考えであったが、マネー資本主義を知らないとこのシステムの妥当性は判断できないと感じた。これはタンザニアの彼がいうシステムからの脱却とほぼ同義だと思う。結局のところ個々人が何に幸せを感じるかであり、里山資本主義が正しいというのは、お金で物を買うことに幸せを感じる人の主義を否定し、彼らの生きるところを奪うことになると感じた。マネー資本主義で発展してきた以上、里山資本主義はサブシステムでしかないと感じた。

  • 日々、企業人としてマネー資本主義の中に生きているわけだが、環境問題に少子高齢化、最近は海外できな臭い話題も多く、それとあまりに遠い自身の活動に果たしてこれでいいのか、マネー資本主義のままじゃダメなんじゃないかと思う中で購読。
    木屑によるバイオマス発電で地域に必要な分の電力を賄う、若者が移り住んで(都会と比べて)スローライフで自身を取り戻す…どれも素晴らしいし憧れる気持ちもある。が、独りならともかく家族、特に子どもがいて教育を考えるとなかなか手が届かない世界のように感じる。日本の処方箋としては弱い気がした。

  • マネー資本主義に対して、域内で通貨換算できない価値を生み出し自給自足や見逃されてきた新規雇用を生む里山資本主義の可能性を語ってた。けど、マネー資本主義にどっぷり浸かった社会を里山資本主義にシフトさせるのは難しそうと思った。

  • 資本主義とか政治とか年金とか
    日頃なんとなく感じている「将来への不安」
    そういったものに対して
    新たな考え方「里山資本主義」
    =コストや環境負荷を抑えた経済(物理的に持続的)
    =手触りのある経済(精神的に持続的)
    が必要ではないかと投げかけていると受け取った。

    ここ数年でSDGsがCSRの枠組みを越えて、SDGs達成に貢献しなければ企業として傾くという水準までになっている。
    そのようななか、個人的にはきっと本書のような生き方、経済がスタンダードとなる時代が来るのだろうと思うし、自分もそのような考え方にキャッチアップしていきたい。

    確かに筆者は要するに「自然の中でで人との繋がりのある金銭消費の少ない経済を拡大せよ」と言っており、読者としては
    はいはい地方で農業林業やれって言うんでしょ
    となりがちだ。
    だが、実際にコロナで都市で働く意味を問われるなかで、果たして本当にどれだけ都市にいる意味があるのかは経験した人しかわからないのでは…と思う。

  • エコストーブで暮らしたい。
    さー続編読むぞ!

  • オーストリアのエネルギー自給やあえて国内の田舎暮らしを好んで充実した日々を送る若者…
    自然の資源日目を向ければどこでも充実した日々を送れるという具体例を書いている
    とても良い考え

  •  藻谷浩介氏の書いた「デフレの正体」も素晴らしい本だったけれど、この本はもっと凄い本だと思う。多くの識者がいろんな本を書いているけれど、この人こそ時代の問題に対して正面から向き合って、何にも迎合せずに書いていると言えるのじゃないかな。特に多くの経済学者が金融緩和政策やらMMTやら、怪しい理論で時代に迎合していますが、彼の視点は本当の幸福や日本の将来についてまっすぐ考えています。
     里山資本主義とは、お金の循環が全てを決するという前提で組み立てられた「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりと、お金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという考え方です。
     里海資本論を読んだら再読したくなって再読しましたが、少しも古くなっていない。むしろ日本の直面する問題がより深刻になっている現在、ますます里山資本主義は重要になってきていると思いました。

  • 「お金がないから物々交換をするのではない。楽しいからするのだ」52p

  • マネー資本主義に冒され、生きるために消費し続けて結局なにも残らない、なんのために生きてるんだっけ?という生き方はしたくない!よね!

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著者プロフィール

1964年、山口県生まれ。㈱日本総合研究所調査部主席研究員。1988年東京大学法学部卒、同年日本開発銀行 (現、㈱日本政策投資銀行)入行。米国コロンビア大学ビジネススクール留学、日本経済研究所出向などを経ながら、2000年頃より地域振興の各分野で精力的に研究・著作・講演を行う。2012年度より現職。政府関係の公職多数。主な著書に『実測!ニッポンの地域力』(日本経済新聞出版社)、『デフレの正体』(角川oneテーマ21)。

「2012年 『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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