里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041105122

感想・レビュー・書評

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  • あまり面白く感じなかった。途中退出してしまったので誤っている点はあるかと思うが。

    それは以下の3点によるものだと思う。
    ①里山に日本の人口1億3千万を養うだけの能力があるように思えない。現に過去の大国だった国の周辺は木々が刈り取られ砂漠が広がっている。
    ②医療など最先端の医療を受けるにはやはり最先端の技術が必要で、それには多額の費用が必要だ。里山主義では医療は行わない?
    ③現代資本主義のアンチテーゼとして掲げたのかも知れないが、いくらなんでもノスタルジックに里山を考え過ぎ。

  • 2014.3記。

    「里山資本主義」とはナイスネーミングだと思うが、その中身は結構多義的と感じた。
    一つには、「エコ循環社会」みたいな要素。
    薪でご飯を炊く、とかバイオマス発電とか。
    二つには、過疎の村に広い意味での「自給自足」を部分的にでも持ち込むことによって、新たな「生きがい」「助け合い」を呼び起こすこと(お年寄りが作った野菜を地域通貨に交換して、コミュニティが回復する、とか)。
    そして、三つには新しい産業が地域で生まれうる(木造建築の技術革新によって、林業は十分に競争力のある作業になりうる、とか)といった要素。

    著者は、こういったこと「だけ」で今の高度資本主義社会を代替できるなどとは言っていない。あくまで、現在の枠組みの「バックアップ」だと言っている。でもまあ、こうした里山ライクな取り組みは、「マネー資本主義の先頭集団にだけ許されたぜいたく」ではないのか、という疑念も消えないのだった。

  • 報徳思想の至誠、推譲に通ずる考え方・実践に共感。昨年、本に出てくる方に直接お会いする機会を得て感動しました。

  • 資本主義に代表される、どんどん働き収入を増やすことで「豊か」になるマッチョな経済。
    これに疑問を投げかけているのが、筆者が主張する里山資本主義である。

    真庭市の林業モデルに代表するような、支出を収入に変えるアイデア。
    世界のエネルギー価格相場に影響を受けない、持続可能で安定な経済の形成。

    資本主義によるマッチョな経済だけでなく、里山資本主義によるしたたかな経済も形成することによって、「豊かな」暮らしが形成されるのではないだろうか。

  • "大量消費を推奨する成長を核とした経済で、この国は続けていくべきなのでしょうか?
    エネルギーを大量に消費する生活に浸っているけど、一端立ち止まって生活スタイルも考えてみよう。
    という問いかけをしている本。
    もう一度、日本国内の全ての地域で、きちんと経済が循環する仕組みを考えてみよう。
    都市だけではなく、地方でも、現有の自然資産、自然資源を定義しなおして、アイデア出せば、地域の経済は循環していくという事例を紹介し、国家経済についても論考している。
    考えてみれば日本の国土の70%は山。荒廃した森林もきちんと人が手を入れていくことで、循環型の環境を作れるし、木材は燃料、建材など様々な用途に活用できる。
    都市に暮らすことしかしらない私には目からうろこの、わくわくする話が多く、心が揺れた。"

  • 個々の話はおもしろいのだが、「マネー資本主義」との対比で、「里山資本主義」という言葉を用いている。
    ちょっとな~という感じ。

  • 豊かさって何なんだっけか?という根源的な問いを考えさせられた一冊。本書を読むことで、知らず知らずのうちに「資本主義・マネー経済」を前提とした豊かさに毒されていたことに気が付けたのが、とても良かったな。
    未曾有の人口減少社会に突入する中でも、人間が人間らしく自然体で豊かに暮らすためのヒントとして「里山資本主義」という考え方は知っておいて損は無いと思います。

    ・木材の成形家庭の途中で出来る端材をペレットに加工し、ペレットを燃料としたエネルギーを生み出す。裏山にある枯れ木を燃料にして調理をする。遠くの石油に頼らず、身近にある森林を活用することで半永久的にエネルギーを自給自足し、域内でお金を循環させるという革命。地域経済の活性化だけでなく、エネルギーの自給は安全保障にも直結。

    ・里山を食い物にする、エコストーブ

    ・過疎を逆手にとる会

    ・高齢者ではなく、光齢者。人生を一杯経験したからこそ輝ける歳になれる。

    ・林業の哲学は利子で生活すること。成長する分を資源として使う。元本は手をつけないから、半永久的に資源を活用できる。

    ・CLT(クロス・ラミネイティッド・テインバー)。木造高層ビル建築の可能性。鉄筋コンクリートの代替。

    ・GDPには表れない、お金に換算できない幸せを増やす。

    ・じーちゃんばーちゃんの自家菜園の規格外貧や食べきれない野菜を、福祉法人が買取、入居者の料理を作る。じーちゃんばーちゃんも喜んで貰えて張りが出るし、福祉法人も新鮮な野菜が格安で手に入る。

    ・里山資本主義は都会でも気楽に始められる。

    ・周防大島のジャム屋さん

    ・妄想から革命は起きる

    ・焼きジャム

    ・懐かしい未来

    ・シェアとい言葉は、市場占有率よりも分かち合う意味で使われるようになってきた。

    ・放牧牛乳。味のバラツキを売りにする。

    ・無縁社会の解決策はお役立ちクロス、手間返し。

  • 中央集権的な時代の中、地方は劣等感を抱えながら貧しさに耐えていく、
    という発想から、地方にある物を活かし、地方でしかできないことをやっていこう、
    と自発的に動くことを推奨している。
    そこで成功している人々の話を織り交ぜながら構成されている。

  •  本書では木材等の例を取り上げていたが、地域によっては、その土地に見合ったもので同じような発想ができるかも知れないと感じさせてくれる本であった。

  • マネーに依存しないサブシステムの再構築
    ・森や人間関係といったお金で買えない資産に、最新テクノロジーを加味して活用する
    ・地元産食材にこだわった料理・・・生産に使用した燃料も地元産、調理に使った燃料も地元産

    貨幣換算できない物々交換
    食料と燃料はできるだけ自己調達&地元調達
    一社多役(分業しない、得意不得意はあってもみんなができる)

    毎日牛乳の味が変わることがブランド

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著者プロフィール

1964年、山口県生まれ。㈱日本総合研究所調査部主席研究員。1988年東京大学法学部卒、同年日本開発銀行 (現、㈱日本政策投資銀行)入行。米国コロンビア大学ビジネススクール留学、日本経済研究所出向などを経ながら、2000年頃より地域振興の各分野で精力的に研究・著作・講演を行う。2012年度より現職。政府関係の公職多数。主な著書に『実測!ニッポンの地域力』(日本経済新聞出版社)、『デフレの正体』(角川oneテーマ21)。

「2012年 『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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