病院坂の首縊りの家(下) 金田一耕助ファイル20 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.59
  • (38)
  • (67)
  • (114)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 817
感想 : 50
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304624

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読み終わって、ああと溜め息。推理小説としての部分は面白い。あ、同じトリックと思いきや「日本の小説で」なんて自作の題名を出す所もお茶目。そして、人間の心理への観察も表現も繊細だ。ただ、その目は主人公、金田一耕助にも向けられている。だから金田一耕助は超人的な名探偵になれなかった。金田一耕助を愛して心配する人は沢山いるのに、ついに彼の隣に居続けられる人間は現れなかった。それが悲しい。アメリカでも日本に帰ってでも、愛情でも友情でも、彼の隣に誰かがいる様に願う。

  •  角川文庫、金田一耕助ファイルシリーズのラスト(だと思われ)。
     金田一耕助が手がけた事件では時系列的にもラストみたい。途中作品をすっ飛ばしてるのでところどころ読んでない作品名や、知らない人が出てきたりもしたが。
     上下巻になっているだけあって、話が壮大。上巻と下巻の間に二十年経ってるんだ。二十年前の事件の時に大きな役割を果たした男が死んで、また事件が動き出す、と。
     ところどころただ家系図を説明するだけになっていたり、省けるんじゃないかと思える箇所があったりしたので、ちょっと冗長だなぁと思ったりもしたが。
     事件の中心となった法眼家について詳しく書いてあったのはあれかな、犯人側の動機を読者に納得させるためか。
     話が大きすぎて、結局金田一がどこの謎を解いたのかいまいちよく分からん。昭和二十八年の事件は結局何も解いてないわけ? 解く必要がなかったのかな。(一応犯人はわかってたわけだし。)
     昭和四十八年の事件の犯人の指摘だってそんなに論理性があるようには見えなかったなぁ。
     まあ面白かったし、納得できないわけじゃないからどうでもいいか。

    04.10.28

  • 金田一耕助、最後の事件!
    上巻の昭和20年代の事件から舞台は高度経済成長中の昭和40年代へ
    等々力警部も退職してるし金田一も20歳年をとり…
    そんな中、近頃身の危険を感じるという本條写真館の倅・直吉が金田一の前に現れ、20年前の事件の続きが始まる

    新たに出てくる由佳里と滋の息子・鉄也の出生、法眼弥生と本條写真館の関係など下巻も謎がたくさん出てきますが、最後にはスッキリ~
    手を焼いていた元チンピラのシュウちゃんと手を組まされたり、自分がちょっと目を離したすきに直吉が殺されて自分を責め続けたりと等々力警部が大変そうw

    2012/11/27-12-4

  • いやぁ。面白い。個人的には大好き。長かったけど。最後も結構よめる展開だったけど、それでも面白い。ひとえに文章力ではないかと。こういう推理小説って今はないよなぁ。。。

  • 下巻を読んで印象が変わるかなーと思ってたけど、変わらんかった。金田一シリーズの幕引きとして、著者が強い思い入れの中で書いたであろうことは理解できたけど、釈然としない感じは拭えない。

    「細かいところに拘るな」と言われるかもしれないことを承知で書くと、この著者の作品では、往々にして犯罪のコアの部分を丸々すっ飛ばすという、個人的に言わせてもらえば推理小説としては致命的な処理の仕方をすることがある。そこが好きになれない。
    例えば、ネタバレしない程度にこの作品について言うなら、死体の一部をどうやって隠したか、どこに隠したかということ。他の作品でも、犯人の独白の中で「あの殺人については、ここでは触れないことにしましょう」などといって、それで終わらせてしまうことがある。

    物語全体としては些細なことであり、触れることで余分な雑味が出るのかもしれないけど、たとえ昭和20年代や30年代であったとしてもそれなりの組織力を持っていたはずの警察機構というものを、ド素人の殺人者が綺麗に欺くことができた、ということにしてしまう無茶さには、推理小説としての美しさを感じない。そういう、読者が最後まで疑問に思っていたところについて、「実はそんな複雑なトリックがあったんだ!」という鮮やかさを見せ、読者を魅了するぐらいのことはしてほしい。古今東西、名作と呼ばれる推理小説は、そのあたりも丁寧に描いているんだから。

    とか何とか書きつつ、横溝作品はあと3作ぐらいを残して読破しているので、残りも追々読んでいくと思います。横溝作品らしい、肝心要の部分を有耶無耶にされたエンディングで幕が引かれ、たいてい犯人は最後には死んでいき、そして登場人物の半分近くが入り乱れた恥ずべき血縁に結ばれているんだろう、という予測を持ちながら。

  • 金田一探偵はいろいろと映像化されてもいるし、「ジッちゃんの名にかけて・・・」の彼とは旧知の中なので(笑)なじみは少なくないんだけど、やはりもっと早くに出会えればよかった。なにしろ表紙が怖いもので・・・。

    さて、この下巻ですが、上から20年以上の月日がたってしまっているという設定。文字通り壮大なミステリーですね。
    泣かせる内容だし、人間臭さがまたいい。

  • 表紙が怖すぎる。

  • 金田一耕助ファイル以前の版

  • 市川崑の映画を観た後に読んだ。やはり上下巻2冊分を2時間にまとめたということで、内容も人物設定も違う部分が多い。映画では写真館の助手(というより金田一耕助の助手的役割)の草刈正雄が、原作ではまったく違うキャラだったことに愕然。映画でにはない淫びでドロドロな横溝ワールドがちゃんとここでは楽しめた。

  • 角川書店の金田一耕介シリーズ完結。

    読みきった感動が一番大きい。

    小説の中でも金田一耕介の最後の事件という書き方がされていたが、最後の死人は金田一さんのせいでは?

    小説の中では、等々力元警部が自責の念にかられていたけど…

全50件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横溝正史の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
横溝 正史
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×