病院坂の首縊りの家(下) 金田一耕助ファイル20 (角川文庫)
- KADOKAWA (1978年12月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041304624
感想・レビュー・書評
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読み終わって、ああと溜め息。推理小説としての部分は面白い。あ、同じトリックと思いきや「日本の小説で」なんて自作の題名を出す所もお茶目。そして、人間の心理への観察も表現も繊細だ。ただ、その目は主人公、金田一耕助にも向けられている。だから金田一耕助は超人的な名探偵になれなかった。金田一耕助を愛して心配する人は沢山いるのに、ついに彼の隣に居続けられる人間は現れなかった。それが悲しい。アメリカでも日本に帰ってでも、愛情でも友情でも、彼の隣に誰かがいる様に願う。
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角川文庫、金田一耕助ファイルシリーズのラスト(だと思われ)。
金田一耕助が手がけた事件では時系列的にもラストみたい。途中作品をすっ飛ばしてるのでところどころ読んでない作品名や、知らない人が出てきたりもしたが。
上下巻になっているだけあって、話が壮大。上巻と下巻の間に二十年経ってるんだ。二十年前の事件の時に大きな役割を果たした男が死んで、また事件が動き出す、と。
ところどころただ家系図を説明するだけになっていたり、省けるんじゃないかと思える箇所があったりしたので、ちょっと冗長だなぁと思ったりもしたが。
事件の中心となった法眼家について詳しく書いてあったのはあれかな、犯人側の動機を読者に納得させるためか。
話が大きすぎて、結局金田一がどこの謎を解いたのかいまいちよく分からん。昭和二十八年の事件は結局何も解いてないわけ? 解く必要がなかったのかな。(一応犯人はわかってたわけだし。)
昭和四十八年の事件の犯人の指摘だってそんなに論理性があるようには見えなかったなぁ。
まあ面白かったし、納得できないわけじゃないからどうでもいいか。
04.10.28 -
いやぁ。面白い。個人的には大好き。長かったけど。最後も結構よめる展開だったけど、それでも面白い。ひとえに文章力ではないかと。こういう推理小説って今はないよなぁ。。。
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下巻を読んで印象が変わるかなーと思ってたけど、変わらんかった。金田一シリーズの幕引きとして、著者が強い思い入れの中で書いたであろうことは理解できたけど、釈然としない感じは拭えない。
「細かいところに拘るな」と言われるかもしれないことを承知で書くと、この著者の作品では、往々にして犯罪のコアの部分を丸々すっ飛ばすという、個人的に言わせてもらえば推理小説としては致命的な処理の仕方をすることがある。そこが好きになれない。
例えば、ネタバレしない程度にこの作品について言うなら、死体の一部をどうやって隠したか、どこに隠したかということ。他の作品でも、犯人の独白の中で「あの殺人については、ここでは触れないことにしましょう」などといって、それで終わらせてしまうことがある。
物語全体としては些細なことであり、触れることで余分な雑味が出るのかもしれないけど、たとえ昭和20年代や30年代であったとしてもそれなりの組織力を持っていたはずの警察機構というものを、ド素人の殺人者が綺麗に欺くことができた、ということにしてしまう無茶さには、推理小説としての美しさを感じない。そういう、読者が最後まで疑問に思っていたところについて、「実はそんな複雑なトリックがあったんだ!」という鮮やかさを見せ、読者を魅了するぐらいのことはしてほしい。古今東西、名作と呼ばれる推理小説は、そのあたりも丁寧に描いているんだから。
とか何とか書きつつ、横溝作品はあと3作ぐらいを残して読破しているので、残りも追々読んでいくと思います。横溝作品らしい、肝心要の部分を有耶無耶にされたエンディングで幕が引かれ、たいてい犯人は最後には死んでいき、そして登場人物の半分近くが入り乱れた恥ずべき血縁に結ばれているんだろう、という予測を持ちながら。 -
金田一探偵はいろいろと映像化されてもいるし、「ジッちゃんの名にかけて・・・」の彼とは旧知の中なので(笑)なじみは少なくないんだけど、やはりもっと早くに出会えればよかった。なにしろ表紙が怖いもので・・・。
さて、この下巻ですが、上から20年以上の月日がたってしまっているという設定。文字通り壮大なミステリーですね。
泣かせる内容だし、人間臭さがまたいい。 -
表紙が怖すぎる。
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金田一耕助ファイル以前の版
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角川書店の金田一耕介シリーズ完結。
読みきった感動が一番大きい。
小説の中でも金田一耕介の最後の事件という書き方がされていたが、最後の死人は金田一さんのせいでは?
小説の中では、等々力元警部が自責の念にかられていたけど…