- Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041753613
作品紹介・あらすじ
東北の寒村で起きた戦慄の虐殺事件。街じゅうが一族の支配下におかれ、警察も新聞社も占有されてしまった街に、一人の男が流れてきた。彼が野性を爆発させ、証明しようとしたものとは!? 傑作「証明」シリーズ。
感想・レビュー・書評
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ストーリーの奥深さに魅せられ、一気に最後まで読み進めてしまった。正直内容には支離滅裂な点も多く、正統派のミステリーとしては邪道である感は否めない。しかし、ショッキングな大量殺人の発生から始まり、市民から信頼されるべき警察をも巻き込んだ地方名士による市政の私物化、そして衝撃的かつダイナミックな結末に至るまでの過程が強烈なインパクトを読者に投げかける。奥深いミステリーの世界に心行くまで耽溺したいのであれば、文句なしに最適な一冊である。
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読みやすい。
男臭い。
救われない。
長い。 -
小学校から高校までの間に二桁は余裕で読んできて、何がそんなに面白かったのかな?と読み直した。
羽代市で保険の営業を行っている味沢は、村中の住民が惨殺された柿の木村の生き残りの、長井頼子を引き取ってほそぼそと暮らしている。しかし羽代市は、ヤクザと、その取り巻きが警察までを取り込んだ、腐敗した街だった…。
うん、面白い。というか、森村誠一文学(というものが有るのなら)の、集大成とも言える作品である。
森村作品でよく出てくる、ヤクザに牛耳られて自由のない街、住民が蹂躙されるのを見て見ぬ振りをする市民、残存する証拠、悪の組織自衛隊から来た殺人者、超能力、心理テストなど、登山以外のありとあらゆる要素が全て詰め込まれた作品である。面白くないわけがない。
映画で知っている人もいるかも知れないが、一章一章に何らかの新しい内容と仕掛けを取り入れ、かといって狙いのわからない部分(頼子を引き取った理由など)はぼかして引っ張るなど、非常にバランスの良いストーリー配分であろう。
内容は、ヤクザが起こしたちょっとした不祥事を暴くところから、どんどん大きな事件に向かっていくなど、冒険小説やハードボイルド要素が大きく、あまりミステリという感じはしない。
最後に呼んだのが中高生時代ということも有るが、誰がどうするのかということは覚えていたが、細かい要素は忘れていたので、それなりに楽しく読めた。
終盤で、北野がやたらと味沢を捕らえようとすることや、その後の説明などが、ちょっとくどいと思えたこと、そもそも厚くなっていることから、過去に読んだものに加筆されているのかもしれない。
森村誠一を1冊選べと言われれれば、これです。 -
いつの間にか40年以上も経ってるんだ、この作品。なぜか証明3部作で、これだけ読んだことがなかった。映画も、若かりし日の薬師丸ひろ子の出てたCMは覚えてるけど、作品は見てないので、こんな話だったとも知らなかった。今さらだけど、見なくて良かったと思ってしまった。まあ、本としては先が読めず、読み進んでしまうのは森村さんの筆力かな
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おもしろかった
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「お父さん、怖いよ。何か来るよ。大勢でお父さんを殺しに来るよ」
これは映画でだけの台詞だったのだね。原作にはなかった。という
訳で、「映画は観たけど原作は読んでなかった」シリーズで久し振り
に小説である。
東北の寒村で起きた村民虐殺事件。唯一生き残った少女・頼子は目の
前で両親が惨殺されたショックで記憶を失った。
その頼子を養女とし、彼女を伴って福島県羽代市で保険の外交員として
生活する味沢だったが、地元の有力者・大場遺族が警察までをも牛耳る
街で新たな事件に遭遇する。
味沢の過去、東北の事件で味沢を有力容疑者として追う刑事、唯一頼子
が覚えている「青い服の男の人」、大場一族が次々と味沢に仕掛ける
罠が複雑に絡み合う。
映画で味沢を演じたのは高倉健でかなりストイックな印象だったが、
原作では味沢の内面が描き込まれていた。味沢の過去についても
原作では後半にならないと明らかにならない。
映画のストーリーが頭にあったので、「あれ、こんな話だったけ」
と感じる部分も多々あったが、原作は原作で面白くぐんぐんと
引き込まれた。
映画のラストは味沢と自衛隊のドンパチとなってる。原作でも味沢の
大立ち回りはあるがそこまで派手ではなく、「あ、これで終わり?」
と些かあっけなかったが、読後には越なさが残る。
やっぱり上手いな、森村誠一は。さぁ、原作とは別物として、もう一度、
映画を観よう。 -
ええと、これはもしや森村名人の若気の至りというヤツですか?
面白かったですし、若さゆえの勢いはすがすがしいですが、破綻箇所が数々見受けられるような……ミステリとして読まなければ許容されるのだろーか。
デビュー作の『高層の死角』とかの方が緻密だったよーな。 -
2013年8月24日読了。人里離れた寒村で発生した村民の大量殺人事件。唯一の生き残りである少女を引き取った男・味沢。地方を牛耳る一族との暗部に近づいていく中、岩手県警の粘りの捜査は続く・・・。「証明シリーズ」の2作目のサスペンス作品、私ははじめて読んだ。映画もヒットしたらしい。オープニングは最近起きた事件を思い起こさせられるが、物語の本筋には実はあまり関係がなかったという驚きのオチ。「寒村に潜む謎の病原体」「戦う保険屋」などの設定は後の作品にも大きな影響を与えたのだろうか?全体のストーリーとしてはまとまりがなく作者の興味が向くままに突っ走っている印象だが、それが漂う「熱気」のようなものになって現れている気もする。この頃の日本って、若い女性が夜に一人ではとても歩けないような殺伐とした時代だったのだな。
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そりゃ無いよな結末。編集者が「でもなんか欲しいっすねえ」とでも言ったかのような、本当にとってつけた感じ。いいのかそれで?