アラビアの夜の種族 III (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1074
感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043636051

感想・レビュー・書評

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  • ナポレオンともっと結びつくかと思った。ファラーはもっと森がからむかと思った。「物語」の各人物のストーリーの集まりは素晴らしいが、もっとナポレオンとカイロの現実と絡んで展開が広がるかと期待してたからちょっと肩すかし。

  • むずかしいかと思いきや、案外読みやすく楽しめました(^^)

  • 訳者あとがきにて、作者不明の原本の歴史的背景と、それがいかに補筆と改訂を重ねられ各国で翻訳されてきたかという経緯が興味深く書かれている。そして翻訳によって物語を拡散させていく意味も。是非最後まで読んでみてほしい。そして作者が仕掛けた大嘘を楽しんで欲しい。

  • 古川日出男、初読み。
    ファンタジー、というか、おとぎ話というか、なんというか。
    そういう分類とか分析とかが無意味な気がする、不思議な本です。

    舞台はナポレオンが攻め来ようとしているエジプト。
    近代的軍隊でイスラム世界を蹂躙しようとしているナポレオンに対し、その実態も知らず、豪奢で誇りだけは十分の騎馬と駱駝の軍隊で対抗しようとするイスラムの人々。
    支配階級奴隷(アムルーク)の若者、アイユーブが、主人である知事(ベイ)にナポレオンからエジプトを守る秘策を授ける。
    それは読む者を破滅に導く「災厄(わざわい)の書」をナポレオンに献上する、というものだった。
    その内容とは――、というお話。

    迫り来るフランス軍に怯えるエジプトの町の様子が昼の情景として語られ、夜になると、夜の種族(Nightbreeds)である語り部が、「災厄(わざわい)の書」の物語を紡いで行く、という構成。
    「災厄(わざわい)の書」の災厄、とは、読み始めてしまうとその世界の虜になってしまう、というもの。
    語られるのは、それぞれの運命を背負った3人の主人公による、波乱と破壊と恐怖と混沌と、魔術的で呪術的な彩りに満ちた物語。
    そして、それが、夜、エジプトの片隅で語られていく、という不思議。

    正義は脇役、邪悪が主役、という印象が、なんとも新鮮。
    結構滅茶苦茶なんだけど、原初のパワーというか、そういうものが溢れていて、刺激的で面白い。
    イスラムの宗教とか風習とかについて「へえ、なるほど」と思ったりするところもあったりして。
    ただ、時々ちょっとつらくなるかな。
    独特の色彩にくらくらしてしまう。

    ありきたりなフィクションに飽きた方に変化球としてオススメ。

  • 栄光の都に迫る敵軍に、エジプト部隊は恐慌を来し遁走した。『災厄の書』の譚りおろしはまにあうのか。奴隷アイユーブは毎夜、語り部の許に通い続ける。記憶と異界を交差しながら譚りつむがれる年代記。「暴虐の魔王が征伐される。だが地下阿房宮の夢はとどまらない―」。闇から生まれた物語は呪詛を胎み、術計は独走し、尋常ならざる事態が出来する!書物はナポレオンの野望を打ち砕くのか??怒涛の物語、第三部完結篇。

  • 間に別の本をはさみつつも、ようやく『アラビアの夜の種族』読了

    う~ん(´ー`)
    読む時期が悪かったのか、文体が合わなかったのか
    さほどワクワクもせず、機械的に読んでしまったなぁ・・・っていうのがまず感想


    ボナパルトに攻められるエジプト、その首都カイロでは夜毎ある物語が語られる
    それは魔王アーダムの物語であり、
    白い魔法使いファラーの物語であり、
    尊い血をもつ詐欺師のサフィアーンの物語である
    語るズームルッド
    語られるアイユーブ
    物語が重なりあった時、解かれる謎
    そして結末
    そこから新たなる物語が生まれる


    その物語よりも、作者とこの『アラビアの夜の種族』の無記名の英語版との出会いが気になった~

    てわけで、☆2つ

    後日談~~~~~~~~~~~~~~~

    >その物語よりも、作者とこの『アラビアの夜の種
    >族』の無記名の英語版との出会いが気になった~

    って書いたけど、実はこの本原作も何も古川さんが正真正銘書いてる本
    もちろん原作なんて無い
    つまり、"原作があって~"というのは、既に物語の一部だということがマイミクさんからのメッセで判明(笑)
    騙されてた~(爆)

    てことで、創造者としての作者さんい敬意を表して
    ☆3つに変更

  • 「災厄の書」の物語もさることながら、現実の世界とのつながりも深い。

  • ミステリーだった…

  • 地上と地下、現在と過去、アーダムとジンニーア、ファラーとサフィアーン、アイユーブとズームルッド・・・様々な物語が「共振」し集束していく最終巻。
    意外と結末はシンプル。だが、あとがきにあたる筆者のパートを読むと、この物語の主題、つまり”物語を語ることが物語の一部になる”というメタ的なテーマにハッとさせられる。フィクションとノン・フィクションが混じりあう体験はなかなか味わえるものではない。お香でも焚いて一気に読んでほしい。
    細かなことだが、全体のトーンが重厚なのに比べて、サフィアーンの口調が軽めなのがやや残念。

  • 20100217
    2週間

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著者プロフィール

1966年生まれ。著作に『13』『沈黙』『アビシニアン』『アラビアの夜の種族』『中国行きのスロウ・ボートRMX』『サウンドトラック』『ボディ・アンド・ソウル』『gift』『ベルカ、吠えないのか?』『LOVE』『ロックンロール七部作』『ルート350』『僕たちは歩かない』『サマーバケーションEP』『ハル、ハル、ハル』『ゴッドスター』『聖家族』『MUSIC』『4444』『ノン+フィクション』『TYOゴシック』。対談集に『フルカワヒデオスピークス!』。CD作品にフルカワヒデオプラス『MUSIC:無謀の季節』the coffee group『ワンコインからワンドリップ』がある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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