疾走 下 (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043646036

感想・レビュー・書評

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  • ラストが素晴らしい。疾走するごとく一気読みしました

  • ホテルのシーンは、たった15歳の男の子にあそこまでするかと胸糞悪くなりました。
    新田の狂いっぷりが怖すぎた。
    ドクズの徳さん、弱い者の足元を見て詐取する所長、シュウジの両親、エリの叔父叔母、ろくな大人しか出てこず本当に辛い人生だったシュウジ。
    神父さんとエリが唯一の救かな。
    あかねのせいで新田に酷い仕打ちを受けたので、あかねのことは最後まで好きになれなかった。

  • 上巻から、矢も盾もたまらず読み進めてしまい、たったいま読了。
    明日というか、正確には今日も(ただいま、‘25 or 6 to 4’なので)休みで良かった。
    んー、上巻に比べると下巻はよくあるタイプ、といってはなんだけれどもの逃避行物語。
    この世のダークサイドの髄を集積したかのような上巻ほどのインパクトには欠けるとはいえ、ビザールな描写や性にまつわるダーティな表現はこちらの方が多い。
    読んでいる間、しきりに反芻したのは園子温の『ヒミズ』。
    あっけなさと刹那&切なさが重なったクライマックスはアメリカンニューシネマ風。それぞれのシーンが目に浮かんで来るよう。
    重松清の作品としては異色でありながら集大成でもある。
    聖書からの引用の多さと神父の配置に、そこはかとない違和感を感じる。重松って、そうなんだったっけ?

  • 古谷実の「ヒミズ」より“どうしようもない感”というか、人生や将来に対する絶望感が大きい
    読んでて辛すぎる
    いかに自分が恵まれた環境にいるのか、自分が抱えている悩みなんて、自分の力で“どうにかなる”ことを考えると、もっと強く生きなければと思う。

  • 現代版フランダースの犬?
    田舎だからこその不幸の連鎖なのか、一番酷いのは牧師じゃね?と思ったり…。

    借りた本でなぜジャケットがないのかなと思ったら、まあ外したくなるデザインだった。

  • 上巻と比べると、性的描写がやや過剰になり、人によっては辛いシーンが続くかもしれない。
    1たす1で2とならない二人が、1と1のまま寄り添い合い、生きていこうとする描写には少なからず共感すすら覚える。
    余談だが、ヒロイン(?)のエリは進撃の巨人のミカサで脳内再生される。

  • うーん……やっぱりあたしには救いのある話に思えなかったかな。わりとラストは神父さんが明るめな方向にまとめた気もするけど、シュウジにもエリにもアカネにも、与えられた傷が多すぎて、たとえ希望のある未来があるからといって過去のアレコレを流すことは出来ないと思うんです。その過去を土台に生きていくことはとても重い。
    あたしもすごく重たい気分です。
    ぐいぐい読ませる感じはさすが重松作品と思ったけど、走り続けたシュウジにゴールのテープを切らせてあげたかったです。シュウジは一人じゃない。誰かと一緒に笑う人生を送ることはいくらだって出来たはずです。そんな人生を過ごして欲しかったです。

  • 読んでも読んでも嫌になってくの分かるのに、読んでしまう。

    ラストに泣いた。

    どうしたら救われたのか、救われない運命だというのか。

    下巻は読んでいて、目を背けたくなるような描写が多かった。


    重たい。。

  • 読了後、上巻冒頭の兄弟のやりとりを読み返すと、涙が止まらなかった。

  • 一気読みだった。全く清々しい話ではなく、凄く暗くて重苦しい。主人公を救ってあげたい気持ちでいっぱいになった。

  • 残念ながら自分には合わず、読み続けられなかった本。
    購入した本なのに、そのまま処分。

    追記:「未設定」があまりに増えてきてしまったので、読み終わってないけど「読み終わった」に登録変更。
    2020/12/20

  • 読み終わりました。どんよりとした雰囲気で進んでいく文章。15歳にして全てを背負った少年がいろいろな人に出会う度に、私は「どうか、シュウジを救って!」と思いながら読み進めていました。希望が見えては裏切られて、の繰り返し。「未来に光を見つけられないのが、絶望。」最後の最後は重松さんらしい、少しだけあたたかい終わり方だったと思います。
    2014.3.22

  • なんという物語なんだろう、
    まだ、15歳なのに。
    こんなにたくさんのものを背負って。
    なんで、なんでもっとはやくどうにかならなかったんだろう。

  • 読み終わったとき胸が空っぽになりました。こんなショッキングな小説なかなかないと思います。

  • 兄が犯罪者になり家族が崩壊、父親が家を出て、母は酒とギャンブルに浸る。自分は殺人を犯し最後は自ら撃たれて死んでしまう。決してハッピーエンドではないとは思います。でも、シュウジは懸命に生き、彼なりの幸せを見つけることができたはずです。ぼくは、形は人それぞれではあれ、人は誰しも幸せになるために生きているのだと思います。他の誰でもない、自分の幸福のために生きるのだと思います。不幸の上に不幸が重なっていて、普通にみれば幸せな人生を送れたとはいえない中でも、どこか希望があり、光があって、救いがありました。お金がたくさんあることだけが幸せではないし、お腹いっぱいご飯が食べられることだけが幸せでもない。地位や名誉やなんてなくてもいい。シュウジのような人生でも、幸福な人生と呼べるのではないでしょうか。

  • 心がざわつく、そんな感想を与えてくれる作品がこの「疾走」でした。
    当時、中学生だった私がこの本と出合えたことは本当に良いことであったと今では思えます。
    内容は正直、かなりハードでハッキリとハッピーエンドとは言えないような話ではありますが、生々しく、重松清の作品の魅力である思春期の心情や欲望といったものを鮮明に描いており、非常に読み応えのある話です。

    何回読んでも辛い気持ちになりますが、何回も読んでしまう本です。

  • 主人公のシュウジが何故いつもおまえと表現されているのかラストに明かされる。現在進行形の話しかと思っていたら本人ではなく他社による回想録だったらしい。
    些細なことで転落していった家族の最悪な形の結末。もともと罪はなかったはずだが、状況がシュウジを追い込んでしまった。
    唯一の救いはシュウジができる限りエリを守ったことかもしれない。

  • もう少し早く読んでたら自分にとっての聖書になっていたかもしれない。
    とでも言っておきましょう。
    読み終えてから二、三分が経ちますが、まだ体が痺れています。

  • そして、下巻へ。

    ここからはもうまさに疾走、という勢いで読んだ。
    映画は観たので結末は知っていた。
    シュウジが誰を殺し、どうやって死ぬのか。知っていた。
    けれどのめり込むように読み、胸が熱くなっていた。
    映画では伝わってこなかった温かさも、小説にはしっかりあった。
    これは戦うための小説だ。下巻を読んでいるとそう思える。

    シュウジの最期は幸せだったんだと、そう思いたい。
    宮原雄二のようにからからからっぽで死んだのではないと、誰かと繋がれたのだと、「ひとり」で死んだわけではないのだと。

    シュウジがしたことは、箇条書きにすると極悪非道なことに思える。
    けれどちゃんと知っていくと、ひとつひとつ、シュウジの感情を、葛藤を追っていくと、本当に、シュウジは優しい子だったのだと、ハッキリ分かるのだ。

    彼のような人間が、この世界にどれほどいるだろう。
    そういう人たちを見捨てないでいきたい。そういう人に出会ったら、優しくしてあげたい。
    優しい人には、優しくしてあげるべきなのだと、そう思う。

  • トワイライトが最高傑作だと思ってたけど、遥かに凌駕した
    いつもどおり、最後の最後に一筋の光はあったけど、それまでが重すぎる
    ここまで苦しくなる本も久しぶり
    それでも出会えてよかった本

    みんながみんな「弱いにんげん」なのだけど、
    それこそが本当の姿なのだろうか

  • 泣いた

  • 泣いた。アカネとエリが生きてることだけが救いだ。

  • ずっと気になっていて、やっと読めた。それほど沢山の本を読んできたわけではないけど、ずば抜けて衝撃的だった。
    もっと悲惨な話なら、他にも沢山あるだろうけれど、何よりも衝撃的だった。
    逃げ場が無いような状況の中にもちらつく希望のようなものが余計に残酷に思えたけれど、相応しいラストにホッとして読み終えることができた。
    あたかも目の前で繰り広げられているような、リアルな描写が素晴らしい。
    タイトルや本文のとおり、息つく暇も許さない疾走感で、時間を忘れて読み進めてしまった。とても有意義な時間の過ごし方ができた気がする。

  • 傷つく。
    読まなきゃよかった。
    でも
    読んで良かった。

  • ばらばらになる家庭で、シュウジは口を閉ざす。でも、言葉は滝のように耳に入ってくる。

    「ひとり」と「ふたり」と「ひとつ」。
    誰かとつながりたい、一緒に生きたい、その思いだけで地元を飛び出し、大阪での地獄のような一夜を経て東京に向かう。
    そして、エリと再会して―。

    「誰か一緒に生きてください」
    この言葉にすべてこめられている。そのために、シュウジは最後まで走りぬけた。

    誰の視点で書かれているのだろうとずっと気になっていたけど、最後になって神父だとわかり、なるほどと思った。
    運命はすごろくのように決められていて、神父はずっと見守っていたのだと思う。
    あまりに短く、苦しい、彼の人生を。

  • 本棚に☆5を増やそう企画

    19歳で読んで衝撃を受けた
    友人を見る目が変わった
    人生を考えるきっかけになった

    この本ほど一人称じゃなくてよかったと思う本はない
    人生に迷ったり、進路に迷ったり、そんな高校生や大学生に読んでほしい傑作

  • 田舎に住む少年”シュウジ”が、兄の放火事件、父の失踪、母の借金など、様々な苦難に会いながら生きて、そして死ぬ話。


    重かった。
    他人の悪意が、ひたすらに重かった。
    それでも、どこか納得感というか…一筋の明かりが見える気がする。
    読んで良かった。
    なんか、何が得られたか分からないけれど、何かを受け取ったような気がする。

    衝撃作、とかいう煽り方、好きじゃないんだけど久しぶりに作品にのめり込んだ。
    読み返すことはないかもしれないけど、このタイトルを見るたびに、表紙を見るたびに、何かずしりと重い、暗いけれど希望のある現実を生きているんだと、思い出すことになるだろう。

  • 久々に本読んで涙が出てしまった。良いですね。

  • 上巻を上回る、本当に凄惨なストーリーが続く。ただ、最後の最後にはシュウジが「ひとり」から「ふたり」になれたことが唯一の救い。
    淡々とした語り口なんだけど、とても迫るものがある小説でした。

  • ひとりだっていうけど、ひとりじゃないじゃん。あんたのこと考えてくれる人いるじゃん。その人達のためにも、自分の利益や幸せや未来を考えてもっと頭使って要領よく生きろよ!!と腹立たしいくらいに思いながら読んだ。
    でも年齢的にも、抱えたものが重すぎたのかな。
    疲れすぎると、心が壊れると、こういう発想や行動になってしまうのは仕方ないのかな?人ってそういうもの?

    物語的にはああいうエンドになるだろうなあと予感していた通りというか。
    子供は希望だね。大変だろうけどアカネはもっと強く生きて幸せになってほしい。きっとなってくれそう。
    それが神父の幸せにもなってくれそう。
    とりあえず今後のエリが心配。後悔の念が押し寄せそう。


    安っぽくなっても、シュウジとエリとアカネとその子供が神父さんのもとで出直す物語が読んでみたかったなあと。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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