スワンソング (角川文庫 お 49-6)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 461
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043740062

感想・レビュー・書評

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  • この先、何度も読む。

  • とても重い話ではありますが、深い愛情を感じました。考えさせられましたし、涙してしまいました。私の中のベストセラーです。

  • 別れと出会い。

    別れの描写は本当につらいです、身を切り刻まれるような思いでやっと読みました。私自身が上向き始めてるから読み切れたんだと思います、それほどにつらい。

    でも、由布子を好きになる瞬間の描写、その想いを伝えるための言葉。
    この数ページは本当に素晴らしい、何でこんな表現をできるんだろう。

    大崎さんファンじゃないとちゃんと楽しめないかもしれません、冗長な部分が多いです。でもそんな冗長な文章の中に2、3行の短い文章、アクセントが挟まれてます。
    大崎さんのこのリズム感が好き。

    タイトルの選択も憎いです。

  • やっぱ大崎善生は間違いない。

    出版社で働く主人公には職場が同じ彼女がいたが、アルバイトで入った女性に惹かれてしまう。彼女との別れを決意し危うい三角関係にケリをつけることは、果して誰を幸せにするのか。

    「別れる」ということにあまり感情を抱けない僕にとって、この本は意味がありすぎた。身近なところで付き合ったり別れたりすることも、すごく危険なことだとわかった。

    僕は今まで大切な人をどれだけ傷つけてきたんだろうか。

  • 「パイロットフィッシュ」の心地よい切なさがとても気に入ったから
    本作もそういう感じなのかなと気軽に手にとったのだけど、全くそんなことはなかった。
    あの心地よいさわやかな痛みじゃなくて、心臓をえぐられるような、息がつまる痛み。

    たくさんのどうしようもない想いが自分の過去や現在の痛みとリンクして、
    涙をこらえ、吐き気をこらえながら読んだ。

    「二股かけてうだうだしてはっきりしなくて結局はどっちも守りきれなかった最低なろくでもない男」の話。
    途中で読むのをやめてしまおうかも思ったけど、なんとかよみきった。

    ストーリー全体としてどうこうという話ではないけれど、
    ところどころに大切なフレーズが眠っている。気がする。

    強く見える由香の必死さと健気さと脆さが愛おしい。
    由布子の苦しみと闇に思いを馳せ、立ち上がった彼女の大きな勇気を想う。




    「私を愛してくれていたんでしょう。それは事実でしょう。事実は覆らないのよね」
    「幸せだったときがあったんだもの。だから、私は幸せ。」

    そう思えるのは素敵で幸せなことだと思ったけど、逆もありうると思った。
    今は幸せなはずなのに、不幸だった時のことを思い出していろんなことを疑ってしまうのは悪い癖だなあ。
    私はそんな風には思えない。

  • 『スワンソング』を読んだ。辛くて、苦しくて、何度も読むのをやめては、いてもたってもいられずに再び読み始めるということを繰り返した。生きること、死ぬこと、人を愛すこと、苦しいこと、幸せなこと、それでも生きていく、ということ。私は愛する人のためにどれだけのことをしてあげられるだろう。

  • ある意味完璧

  • おれの大好きな大崎善生さんの作品。
    身を切られるような切ない恋愛が描かれていました。
    三年付き合った恋人を失った元彼女の気持ちも、大好きな人の生活を壊してしまったと病んでいく彼女の気持ちも、そのどちらも満足に救ってやれないことに苦しむ主人公の気持ちも、どこかしら自分の中に共通する気持ちを見つけてしまい、読むのが苦しかった。
    主人公のただひたすら献身的な愛。それに応えてあげられない彼女。静かに退場していく元彼女。
    大崎さんの綺麗で透明な言葉で紡がれる物語は心に響きます。
    電車の中で読んでいて、危うく泣きそうになりました。
    これから先も、何度も読み返したい名作です。

  • 同僚の恋人との三年越しの恋愛にけりをつけた僕は、アルバイトの由布子と付き合うことに。しかし愛の歯車はそのときから少しずつ狂い始める・・・。蝕まれる心と身体、公私にわたって逼迫する生活。心を閉ざし壊れていく恋人を見守り、献身的に尽くす僕の日々に突然の別れが押し寄せたとき、脳裏には美しい白鳥の歌声がこだましていた・・・。狂おしいまでの情熱に駆けられラスト1ページまで突き抜ける、哀しみのラブストーリー。(背表紙より)

    泣きました・・。電車の中で、最後、どうしようかと思っちゃいました・・。泣いたら恥ずかしいぞ~と。笑。でもでも、本当に、切ないお話でした。普通の恋愛小説じゃない・・と読み始めて、これがどうして。大崎さんの物語はそうしていつもこうなのでしょう・・。とてもきれいな、切なさいっぱいの透明なものがたり。続きが読みたくて、仕事中にも思い出してしまうような、こんな本です。

  • 落ちたー。大好きな大崎さん、またノンストップで
    読めました。

    これは、好きとか愛するとかそういうレベルじゃない。
    ソウルレベルの話な気がする。

    あそこまで、誰かのことを想えて、例え不幸な結果に
    終わったとしても、それはすっごい尊いことだと思う。

著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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