万能鑑定士Qの事件簿IV (角川文庫 ま 26-313)

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  • / ISBN・EAN: 9784043836451

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  • 読書録「万能鑑定士Qの事件簿4」3

    著者 松岡圭祐
    出版 角川文庫

    p59より引用
    “ いつも思うことだが、この種の総合病院
    は体力を必要とする。あちこち動きまわって、
    長時間待たされ、自力で帰らねばならない。
    健康が前提条件の病院というのは、どこかお
    かしい。”

    目次から抜粋引用
    “リサイクル記者
     映画マニア
     同床異夢
     原作本
     魂の抜け殻”

     多方面に対する膨大な知識を駆使する美人
    鑑定家を主人公とした、長編ミステリ小説。
     都心でありながら都市ガスが通っていない
    古い一軒家、希少な映画グッズを愛する家主
    が帰宅した時、彼の宝はすでにその姿を変え
    つつあった…。

     上記の引用は、カウンセラーを訪ねた病院
    についての一節。
    病院内を自分で動き回れなくなった時が、介
    護医療を必要とする時である、という判断を
    下すための体力測定の場になっているので
    しょうか?大した事がない時に病院に行くと、
    気持ちから病気になってしまいそうです。
     映画やそこにまつわるうんちくが多く出て
    くるので、その手の話が好きな方なら、より
    一層楽しめる話でしょう。
     同著者のデビュー作の主人公が出演するの
    で、著者のファンも一段と喜べる内容ではな
    いでしょうか。

    ーーーーー

  • 連続する放火事件。
    狙われたのはいずれも貴重な映画グッズだった。
    犯人はなぜ燃やすのか? その目的は?
    臨床心理士の嵯峨敏也と共に凜田莉子は知略をつくして犯人を追う。

  • 〇 総合評価
     シリーズ3作目は倒叙モノっぽいつくりでサプライズがなかったが,シリーズ4作目は,サプライズを狙った作りだと思われる。エピローグから,「催眠」シリーズの嵯峨が登場!とあおっておいて,莉子と一緒に捜査する嵯峨は偽物。その偽物の嵯峨が犯人という作り。驚けることは驚けるのだが,地の文章でも「嵯峨」と表記していたり,それほどフェアではない。ミスディレクションもなく,犯行ができるのは嵯峨だけなので,消去法で嵯峨が犯人だと分かってしまう。サプライズだけを追求するなら,もう一工夫いる。
     ノストラダムスの大予言という幻の映画のポスターを狙って放火する放火犯がいるという魅力的な謎で話をひっぱる。しかし,その真相が,ポスターの裏にあったあぶりだしで書かれた5億円の財産の在りかを探すためという動機はバカミスっぽい。謎と真相のバランスが取れていない。
     トータルで見ると,やや粗が目立つデキ。叙述トリックっぽく,上石慧を嵯峨と誤認させようとしているので,慧のキャラクターも掘り下げられていない。キャラクターの魅力がウリのライトノベルでこれはマイナス。ぎりぎり★3かな。

    〇 サプライズ ★★★☆☆
     上石慧が嵯峨になりすましており,莉子と一緒に行動していた嵯峨が犯人だったという展開は,そこそこ驚ける。しかし,地の文章でも「嵯峨」と記述するなど,それほどフェアではない。ミスディレクションはなく,偽の嵯峨以外に犯人がありえないのも,サプライズ感を下げている。「嵯峨」が偽物だと分かる伏線はあったが。

    〇 熱中度 ★★★★☆
     ノストラダムスの大予言のポスターを燃やす連続放火犯という魅力的な謎で引っ張る。リーダビリティはさすがのデキ

    〇 インパクト ★★★★☆
     あぶりだしって…。真相はインパクトがあるといえばあるが,バカミスチックなリアリティの薄さがある。

    〇 キャラクター ★★☆☆☆
     嵯峨先生=上石慧の叙述トリックのせいで,キャラクターが掘り下げられていない。その上,莉子にやられっぱなし。キャラクターの魅力は薄い。

    〇 読後感 ★★★☆☆
     いつもながら,読後感は悪くない。

    〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
     人気シリーズ。希少価値はない。

    〇 メモ
    〇 プリティ・ウーマンのポスターについてのうんちく。ボディダブル使用前のポスターのうち,4つがオークションで流通している。
    〇 コレクターの茅根涼太の家が火事に見舞われる。
    〇 週刊角川の記者,小笠原は昭和の鼠小僧,上石玄についての記事を書いていたが,近くの火事の取材に行くように命じられる。
    〇 ムービーアレイという映画グッズ専門店の老舗も火事に見舞われる。
    〇 茅根とムービーアレイの映画グッズの鑑定のために,万能鑑定士の凜田莉子が呼ばれる。
    〇 放火事件が知能犯なのか粗暴犯なのか,精神科医の意見がないと捜査2課が捜査できるか分からない。葉山からそう聞いた莉子は,臨床心理士の嵯峨俊也に会いに行く。
    〇 莉子と小笠原は,嵯峨と助手の池川が一緒にいるところに出会う。
    〇 嵯峨と莉子は昼食を取りながら,火事についての見解を話し合う。そこで歯科医と称する女性から,子供が虐待を受けている話を聞く。
    〇 嵯峨は虐待を受けている子供の件で母親と話をしに行く。そのとき,第3の火事が起こる。
    〇 第3の火事の現場に莉子が着くと,母親との話を終えた嵯峨もついていた。捜査を行う。放火されていたポスターは「ノストラダムスの大予言」のポスターらしいとの情報を得る。また,現場で暗号のような記号が羅列されたメモが見つかる。
    〇 日比谷グラビティホテルにも「ノストラダムスの大予言」のポスターがあると分かったので,莉子は警察,嵯峨と一緒に同ホテルに向かう。
    〇 警察,嵯峨,莉子は日比谷グラビティホテルに泊まる。
    〇 小笠原は,新宿ゴールデン街で,ノストラダムスの大予言の撮影現場に立ち会った人物が経営するバーで取材。ここで,ノストラダムスの大予言のポスターに火を付けられる事件に遭遇
    〇 日比谷グラビティホテルでも,密室状態の部屋で,ノストラダムスの大予言のポスターの放火事件が起こる。
    〇 謎の人物が,ツイッターで「ノストラダムスの大予言」のポスターを探していたことが分かる。
    〇 放火事件の被害者である茅根から,名古屋に住む「スタシャワー(鯉淵)」という人物が,犯行について,情報を持っていると聞く。
    〇 莉子と嵯峨は,名古屋に行き,鯉淵と会う。特に情報はない。
    〇 小笠原,警察の記者会見で,連続放火事件の容疑者が野間一真(上石玄の妻の連れ子)であると知る。
    〇 鯉淵の家のポスターが盗まれ,近所の空き地で燃やされる。
    〇 野間一真の部屋を捜査し,謎のメモが見つかる。
    〇 嵯峨が,知人のNHKのディレクターからもらったものとして,放火犯の狙いが「ノストラダムスの大予言」のポスターであると,NHKがニュースで放送しようとしているという情報があり,小笠原がこのことを嵯峨に頼まれ警察に伝える。
    〇 莉子は,NHKのニュース原稿から「がさがさ」という音が聞こえることから,このニュースが偽物であることを見抜く。
    〇 莉子は,暗号メモの解読のカギを得るため,嵯峨に偽の情報(ノストラダムスの大予言のポスターの保管場所)を伝える。
    〇 偽のノストラダムスの大予言のポスターの保管場所に,野間一真と上石慧(=嵯峨の助手,池川。嵯峨になりすまし,莉子と一緒に行動していた人物)が現れる。逮捕。
    〇 事件の真相は,ノストラダムスの大予言のポスターの裏にあぶりだしで描かれた上石玄の5億円の財産の隠し場所を探していたというものだった。莉子は,暗号メモの解読にも成功する。

  • 何冊か読んだら、読破したくなちゃった。
    怪しい人の目星はなんとなくついたけど、伏線には全然気がつかなかったなぁ。
    まぁ、目星をつけられたのも、最後の方だけど…

  • 途中で犯人が何となく分かってしまった。でも、トリックは良く考えられてるね。細かいディテールはさすがだなと思う。

  • 希少な映画グッズのコレクターの家が火事になり、プレミア品の数々が灰になった。翌朝、やはりレア物のパンフレットやポスターを扱う店が不審火で全焼する。連続放火魔の狙いは、かつて全国規模でヒットを飛ばしながら存在を封印された1本の邦画だった。ミリオンセラー『催眠』の主人公、カウンセラー嵯峨敏也が登場、凛田莉子との初顔合わせを果たす。頭脳明晰な異色コンビが挑む謎とは?書き下ろし「Qシリーズ」第4弾。

  • シリーズ第4弾。『催眠』の嵯峨敏也登場。『催眠』は読んでないけど支障なし。なかなか面白い仕掛け。見事に騙された。『プリティ・ウーマン』のポスターの真実を始め、鳥山明伝説など、今回も小ネタが面白い。

  • 面白かった

  • 今回も知らなかったことがいっぱい。いろいろと勉強になります。ストーリーは正直あんまり頭に入らなかったんだけど…
    2015/9/23読了

  • 今回も面白かった。莉子の観察眼の鋭さにはもう慣れてきてしまったので、衝撃を受けることも少なくなってきたが。不審な火災事件が連続して起き、ある映画ポスターを狙った連続放火事件だということが徐々に判明するが、犯人の動機は依然としてわからない。誰も入ることができないはずの密室で起きた絶対不可能な犯行!このシーンが最大の見せ場だろうか。登場人物も魅力的なキャラクターばかりで、ぐいぐい話に引き込まれた。読後感も良く、5巻も楽しみだ。

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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