図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.15
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本棚登録 : 33033
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043898053

作品紹介・あらすじ

2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る"王子様"の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが…!?番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート。

感想・レビュー・書評

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  • ◎ ブクログGW特別対談 さて子 × さてさて(にわか読書家)

    小説を愛し小説家を愛する、ブクログきってのにわか読書家にして感想家でもある一般人・さてさてと、『図書館戦争』シリーズの生みの親・有川浩さんの大ファンなのにこの作品だけは読んでいないという さて子の対談が実現しました。では、いってみましょう。

    さて子〈さてさてさんが「図書館戦争」を読まれたと聞いて、驚いてるんです。「あの さてさてさんが読んだんだ!」って。〉
    さてさて〈いや、有川さんの作品は以前から興味があったのですが、読書の対象外だと思っていたんです〉
    さて子〈対象外とは?〉
    さてさて〈はい。私のブクログの書棚の説明に「色のある本棚にしたい」と書いてしまったんです〉
    さて子〈おっしゃっている意味がわからないんですが?〉
    さてさて〈その説明を書いた時に思ったことは、にわか読書家としては、女性作家の小説に絞って本を読むことで本棚に特色を出すのがいいかなって。だから、有川さんは対象外だと思っていたんです〉
    さて子〈もしかして、有川浩さんを男性だと勘違いされていたとか?〉
    さてさて〈ええ。お恥ずかしながら先週までそう思っていました〉
    さて子〈なるほど、でもそういう方ってたまにいるそうですよ。だから、最近、有川ひろ に改名されたとか聞きました。ところで、私、この作品まだ読んでいないんですけど、どんなお話でしたか?〉
    さてさて〈はい。主人公は笠原郁って女性で『本を読むのは昔から好きだった』そうなんです。でも30年ほど前に『公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律として「メディア良化法」が成立・施行された』ことで出版に検閲が入るようになって彼女が高校生の頃には読みたい本を入手するのにも苦労するようになっていたそうです。そんなある日、新刊を買おうと『発売日に学校の近くの本屋に行き、児童書のコーナーにひっそりと数冊積んであったその本を手に取った瞬間』に、『入り口から揃いの紺の制服を来た一団』が乗り込んできてこう言ったそうなんです。『これより一切の書物を店内から移動させることを禁ずる!』って〉
    さて子〈えっ、急にですか。怖いです。その人たち何者なんですか?〉
    さてさて〈施行された法律によって組織された『良化特務機関』の一員だったようです。でも郁は持ち前の気の強さもあって、手に持っていたその本を慌てて服の中に隠したんです。そうしたら、それが見つかってしまって〉
    さて子〈でも、それってそもそも万引きですよね?〉
    さてさて〈ええ、確かにそうなんです。でも郁はそれを逆手にとって『店長さん警察呼んで!あたし万引きしたから!』と叫んだんです〉
    さて子〈逆手と言ってもそれじゃ逮捕されちゃいますよ!〉
    さてさて〈そうですよね。でも、そこはあれです。これは小説ですからね。こういう時はヒーローが現れるものなんです。『こちらは関東図書隊だ!図書館法施行令に定めるところの見計らい図書とすることを宣言する!』と図書隊の隊員が現れて、なんと状況が引っくり返ったんですよ〉
    さて子〈法律のことはよくわからないですが、図書隊って強いんですね。好きになっちゃいそう〉
    さてさて〈でしょう?郁も好きになってしまって、いつか自分も図書隊に入るんだって決意するんです。しかもその思い出を『私の王子様』って語るんです〉
    さて子〈う〜ん。ちょっとそういうのは苦手かも。でも、結構、単純そうな主人公ですよね〉
    さてさて〈ええ。でも、世の中、何かのきっかけって案外こんなものだと思いますよ。それでね、この作品はそんな郁が大学卒業後、図書隊員となって、厳しい訓練にも耐えて、数々の失敗を乗り越えて、そして一人前になっていく、そんな過程を描いていました〉
    さて子〈なるほど。面白そうですね。ところで、何か興味深い箇所などありましたか?〉
    さてさて〈せやなあ。いきなり、関西弁がでてきて、びっくりしてもうたわ〉
    さて子〈「阪急電車」と勘違いされていませんか?
    さてさて〈ちゃうちゃう。郁が中学生を追いかける場面で、いきなり『止まらないとこかす!』って出てくんねん。こりゃおどろくやろ〉
    さて子〈さてさてさんが急に関西弁になったことの方がびっくりです。大丈夫ですか?〉
    さてさて〈失礼しましたっ!こんな感じでひと言だけ関西弁がいきなり出てきたのでその違和感を表現してみました。有川さん、どういう意図でここにだけ関西弁を登場させたのだろうと、とても不思議です〉
    さて子〈さてさてさんだけじゃないですか?他の読者の方で気づいた人いるのかしら?ところで、文体がどうこうとおっしゃっていませんでしたか?〉
    さてさて〈ええ。この作品、芯に流れているテーマはとても真面目だと思うんです。『社会に慢性的にはびこる政治的無関心も手伝い、国民は同法についての予備知識をほとんど与えられずその成立を受け入れることとなった』なんてもう小説って感じしないですよね。その一方で主人公・郁の猪突猛進な天然キャラだけだとなんだかテーマが軽くなっちゃう。作品が重くなりすぎたり、逆に軽くなりすぎるのを文章表現を上手く使って適度に中和して、結果としてとても良いバランスが保たれているように感じました〉
    さて子〈猪突猛進、あっ、そうだ。漢字についても何かおっしゃってましたよね?〉
    さてさて〈ええ。いえね。この作品。難しい漢字が多すぎだと思うんですよ。思わずメモしちゃいましたよ。『慄いた 俄かに 捏ねる 反駁 詰る 憚る 労う 謂れ 竦む 耳朶』これ、全部読めますか?それと意味もわかりますか?〉
    さて子〈う〜ん。初めて目にする漢字が沢山あります〉
    さてさて〈そうでしょう。読み方は次の通りです。『おののいた にわかに こねる はんばく なじる はばかる ねぎらう いわれ すくむ じだ』。私、しっかりメモしたのに、今ここで書いてみて一つも覚えていませんでしたよ(笑)そう、一つも読めないです。最後の『耳朶』って『耳たぶ』のことです。そう書けばいいのに。この点はちょっと閉口しましたよ〉
    さて子〈まあ文章としては『耳朶』の方がかっこいいから、ありじゃないですか。まあ、私には読めないですけどね。ところで、恐縮なのですが、長くなってきましたのでそろそろ感想をまとめて締めていただけますか〉
    さてさて〈ええ、そうですね。あまり長いとみなさん嫌になりますしね。では…。この作品は、地元の図書館に行かれた有川さんがたまたま『図書館の自由に関する宣言』のプレートを見つけられたことをきっかけに構想されたそうです。『一、図書館は資料収集の自由を有する。ニ、図書館は資料提供の自由を有する。…』というものです。昨今のインターネットの隆盛を受け、本はネットで購入する、もしくは電子書籍で購入するという人も増え、私の自宅の近所にあった書店も閉店するなど、本を気軽に手に取って選ぶ楽しみというものも徐々に奪われつつあるようにも思います。そんな中、図書館に行けばなんでもある、気軽に手にして読む本を選んでいけるという、そんな図書館という場所への期待は高まっていると思います。また一方で、そんな本自体も言論の自由との戦いの上にあると思います。作品の最後に『本文中、差別的と受け取られかねない表現がある場合もありますが、著者に差別的意図のないこと…』という記載がある本も散見されます。注意書きならいざ知らずこれが検閲に繋がっていくような未来は避けなければなりません。検閲ということでは、この作品では具体例として『こじきのおじいさん』という表現を挙げています。『住所不定無職のおじいさん』と表現すべきということですが、作者に差別の意図がない以上、後者の表現では作品の印象自体にも影響しますし、読む方も確かに興ざめします。このあたりのバランス感は時代によっても変わっていくものだと思いますが、規制する・しないということ、それ自体に我々が無関心であってはいけない、表現というものをもっと大切に考えなければいけない、そう改めて感じました〉
    さて子〈急に真面目になられてどうしようかと思いました。でもとにかく気に入られたということですよね?〉
    さてさて〈そうですね。テーマはとても面白いと思いました。でも『銃撃の音が内外で響く』というような戦闘シーンには最後まで違和感が拭えませんでした。図書館司書の普通の館内業務の日常の場面の後にいきなり『できるだけ殺すなよ。死人が出ると戦闘が激化する』と言われてもどうしてもイメージがついていかない場面があったのは事実です。作品に入りきれなかったというか〉
    さて子〈なるほど。この辺りは人によっても好き嫌いが分かれそうですね。実際、ブクログの感想も両極端に評価が分かれているようですし。まあそれも読書の楽しみの一つというところでしょうか〉
    さてさて〈ええ。上手くまとめていただいてホッとしています。この作品、思った以上に捉え方が難しいと思いました。考えさせる作品と取るか、それともただのエンタメと取るか〉
    さて子〈でも、私、さてさてさんのお話を伺ってとても読んでみたくなりました。あっ、では、ちょうど時間が来てしまいました。今後も さてさてさんのブクログの感想を楽しみにしています。本日はお忙しいところどうもありがとうございました〉

    • さてさてさん
      セシルの夕陽さん、コメントありがとうございます。有川さんの作品、こういった企画ものでレビューしやすいんですよね。何故なんだろうと思うのですが...
      セシルの夕陽さん、コメントありがとうございます。有川さんの作品、こういった企画ものでレビューしやすいんですよね。何故なんだろうと思うのですが、私としてはありがたいかぎりです。
      描写はお書きいただいた通りです。とにかくイメージがつきづらいです。その割にページ数があるので、読むまでに気合が必要…な作品ではあるかなあと。もちろん、こんな設定よく考えるなあと、思うことしきりですが。
      2021/08/31
    • セシルの夕陽さん
      本当に、有川浩さんは着想が豊かですね♪ 思いつかない設定から、必ず胸キュン入れますし。読者の希望を必ず叶えてもくださいます(^^)
      本当に、有川浩さんは着想が豊かですね♪ 思いつかない設定から、必ず胸キュン入れますし。読者の希望を必ず叶えてもくださいます(^^)
      2021/08/31
    • さてさてさん
      はい、そう思います。「明日の子供たち」とか、「県庁おもてなし課」とか、有川さんじゃなきゃできなかった作品だと思います。それでいて、キュンキュ...
      はい、そう思います。「明日の子供たち」とか、「県庁おもてなし課」とか、有川さんじゃなきゃできなかった作品だと思います。それでいて、キュンキュンを忘れないでいてくださいますしね。また読むのが楽しみです!
      2021/08/31
  • 映画図書館戦争を観ると
    原作を読み返す
    そして又映画を観たくなるの繰り返し(≧∀≦)

    出版された頃?ハードカバー?の本を娘っ子に
    勧められたが「図書館戦争?何それ?」と言って読むのも拒否したような。。。(^^;;

    その頃推しの岡田くんと奈々ちゃんの映画を観てから
    ハマったー!
    即、原作を買って読んだ
    でも娘っ子に白い目で見られた(^_^;)

    久しぶりに映画を観てーまた原作を読んだが、
    こんなに漢字が多かったっけ?(T ^ T)
    でも何度読み返しても面白い

  • 2023/11/02読了
    #有川浩作品

    SFファンタジー。
    行き過ぎた検閲から本を守る図書隊に
    入隊した女の子が奮闘するストーリー。
    映画化されているものの今更ながら初読。
    実直な性格の似た者同士な郁と堂上が
    互いに反発し合っていた出会いから
    少しずつ信頼し合い近づいていくのが良い。
    笑いあり、バトルあり、恋愛ありで、
    エンタメ小説としては100点。

  • 『華氏451度』のような内容を期待して読んだのがそもそも間違いだったのだろうが、「言論の自由」以前に、主人公の非常識さにドン引きしてしまった。上司への無礼な態度、柔道の稽古中に背後からキック、仕事でミスして上司の前で泣く、新人の分際で割り振られた仕事にクレーム…。あまりのありえなさに愕然とした。大人のラノベを標榜している割には、主人公の精神年齢が低すぎると思う。

    テンションの高い雑な文体も苦手だが、それはラノベだから仕方ないと割り切った。しかし、郁の性格や文体には目をつぶっても、どうしても許容できなかったのは、主人公とその周辺=正義、敵対組織=悪、という単純すぎる構図だ。せっかく刺激的な設定なのだから、敵にそれなりの思想を持たせれば凄く面白い話になったと思うのだが、敵があまりにちゃちでおバカな悪党として設定されているので、抗争が激化すればするほど逆にしらけてしまうのだ。

    また、本を守るためとはいえ、文民が銃を用いて人を殺傷するということに、誰も葛藤を抱かないのも残念だ。これでは戦闘も、郁の本への思い入れも、恋愛を盛り上げるための道具にしか見えない。他の著作も読んで思ったのだが、「言論の自由」「身体障害」「致死性の病に侵された人の心理」など、本気で語るには正確な知識と細やかな配慮を必要とするデリケートなテーマを、恋愛を盛り上げる道具として安易に使ってしまう傾向が、著者にはあるようにみえる。

    思想的なことを書きたいなら、自分の意見だけを声高に主張するより、対立意見もぴしっと書いて読者に考えさせた方が、話に深みがでると思う。ベタ甘の恋愛を書きたいなら、思想的なことには言及せずコメディに徹した方が、大人のラノベとしては洗練されると思う。しかし、これだけ売れている所を見ると、私の感覚の方が圧倒的少数派なんだなぁ…。

    • もえぴさん
      コメント失礼します。
      全てが恋愛を盛り上げるための道具、と感じる人が私以外にもいたことに嬉しくなりました。
      私の周りには図書館戦争の大ファン...
      コメント失礼します。
      全てが恋愛を盛り上げるための道具、と感じる人が私以外にもいたことに嬉しくなりました。
      私の周りには図書館戦争の大ファンだという子が多く、その理由が、堂上教官にきゅんきゅんするから、だそうです。
      別に作品の中に恋愛の要素があってもいいとは思うのですが、それがメインになってしまっているのがもったいないと思いました。
      2023/02/13
    • 佐藤史緒さん
      >もえぴさん
      コメントありがとうございます。
      恋愛がメインになっていること自体はよいのですが、善悪の判断基準が一方的すぎるのが気になりま...
      >もえぴさん
      コメントありがとうございます。
      恋愛がメインになっていること自体はよいのですが、善悪の判断基準が一方的すぎるのが気になりました。悪を断罪するにしても、もう少し恩情とためらいが欲しい。そこが痛快という人も多いのでしょうけれど、わたしは苦手でした。
      2023/02/14


  • 図書館で戦争って、、なんだかアニメチックでどうなんって感じなんだけど、これが面白い〜!
    序盤は漢字も多くてなんだか小難しく、これ読めるかな?って思ったりもしたけど、そこを過ぎればもう面白くてどんどん引き込まれてしまいました♬

    まずキャラがめっちゃいい!!
    負けん気が強くてがむしゃらでハチャメチャで、でも弱い部分もちら見えしてる主人公の郁。
    そして取り巻く人達もそれぞれ味があって魅力的。
    同僚や上司との会話が多いんだけど、それの楽しいこと!ニヤニヤしながら読みました♪

    ありえない設定の話なんだけど、じーんとしたり改めて教えられる事があったり、なかなか深かった!
    そして何よりきゅんきゅんがとまらな〜い\♡/"
    恋愛要素も多いにありありでした♡
    今後の展開も気になる〜!
    とっても楽しい読書時間でした♪


  • 有川浩さんの作品が大好きで代表作である図書館戦争は読まねばと思いながらようやく読了。読むのに少し時間は掛かってしまいましたが、やはり人気作品ですね。面白い。
    堂上最高です。堂上優しい。堂上大好きです。

  • ぶっ飛んだ世界観。入り込むまで時間がかかるのかも。楽しみにしていた作品でまだまだ展開がありそうなんだけど、しばらく時間をおいてからにしようかな。

  • 個人的には合いませんでした。
    このタイプはドキドキもしません。
    シリーズとしてもう大丈夫ですってなりました。

  • よくもまあ、こんなとっぴな思い付きをしたものだと思う。思いつきのきっかけは近所の図書館に掲げてあった「図書館の自由に関する宣言」のプレートだったらしい。彼女のだんなが見つけたらしいが、このわずか五箇条から、この一冊だけでなくどうやらシリーズ六冊を書いたことに敬意を覚える。

    その宣言とはこれである。たぶん一図書館の志をいたずら心で宣言したのだろうとは思う。シリーズ一冊目はこれがそのまま章立てになっている。

    図書館の自由に関する宣言。

    一、図書館は資料収集の自由を有する。
    二、図書館は資料提供の自由を有する。
    三、図書館は利用者の秘密を守る。
    四、図書館はすべての不当な検閲に反対する。

    図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る。

    「すこしいさましいな」という感想から、図書隊という独立武装組織を発想するのである。
    以下ブックデータより<あらすじ>
    2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る”王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが…!?番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート。

    警察や自衛隊ではなく、良化特務機関と図書隊との「検閲」をめぐる武力抗争であるところが、「ありえるのかなあ」と思ってしまうが、なんとまあすれすれありえているのである。以下のような細部の設定も作っているので、まあ許しちゃおうかなとも思ってしまう。

     検閲対象施設外の公共物や個人資産を射撃で破損した場合、その補償は「中から外へ」向かって撃つことが必然の図書隊の負担になることが多い。実際には特殊な損害保険で処理するが、損害実績は保険料の値上がりに直結する。近年保険料は値上がりの一途を辿っており、図書隊の予算をかなり圧迫している。
     一方「外から中へ」向かって撃つ良化部隊は被害を拡大する心配もなく、また国家行政組織であるため図書隊とは比べ物にならない予算を確保しており、射撃を躊躇する必要はない。懐を気にしなくていいのは図書隊からすると羨ましい限りだ。

    内乱と見紛うような「戦争」をしておきながら、それが単なる検閲をめぐる攻防であるところが味噌である。

    この作品が発表されたときには、某首都都知事のマンガ規正条例は情報さえなかった。絵空事として書かれていたことが(まさにこの小説は絵空事であることを祈りながら書かれているのであるが)、それが現実化していることの「大いなる皮肉」が現代なのであった。

    今年の三月に収録したという著者と児玉清さんのインタビューが巻末にある。三月というと、すでに胃がんの告知の直後である。そういうことをまったく感じさせない「本好き」の児玉さんの知見がここにある。そういう意味では貴重な文庫になった(もしかしたら絶筆インタビューかも)。二巻目にもインタビュー後編が載っているらしいので、話の内容はちょっと背伸びをした少女マンガを超えていないので辟易するのであるが、一応読んでおこうと思う。

  • スピードワゴンの糸田じゃないけど、
    この本、本当に、「あまーーーーーーーーーい!!」少女漫画でもいけるレベル。(実際に、少女マンガで連載されてますが。)

    初☆有川作品

    初めは、その本の設定を理解するのに時間がかかったが、ぐいぐいと引き込まれる。
    確かに、ライトノベルらしいなあ、と思ったが、有川さんのモットーは
    (・・・確か)大人が読めるライトノベル!だった気がする。
    そう言われると、納得できる。

    郁と堂上教官、その他の隊員さん、図書館を守ってくださりありがとうございます。

    • しをん。さん
      ありがとうございます(●^o^●)
      しかしこれ、だいぶ昔に読んだのを今更レビュー更新です(笑)

      でも、本好きになったのは有川さんのおかげと...
      ありがとうございます(●^o^●)
      しかしこれ、だいぶ昔に読んだのを今更レビュー更新です(笑)

      でも、本好きになったのは有川さんのおかげとしか言いようありません!!

      もう、図書館戦争シリーズ制覇しました♪
      そして、漫画の方も!
      アニメ化に続き映画化まで…。映画化されるのはうれしいのですが、私は捻くれ者なのでやっぱりこの作品は、本だけでよかったかな・・・と。
      メディアに露出しなくても。とは思いますが。
      同志が増えるのは本当にうれしいです(笑)
      2012/09/28
    • まろんさん
      あ、ほんとだ!読了日6月30日!
      私ったらあいかわらず粗忽者~(>_<)

      でもでも、同志として、ブクログで有川さんファンを増やしていきまし...
      あ、ほんとだ!読了日6月30日!
      私ったらあいかわらず粗忽者~(>_<)

      でもでも、同志として、ブクログで有川さんファンを増やしていきましょうね!
      2012/09/29
    • しをん。さん
      いえいえ、こちらこそすみません(-_-;)


      はい!有川ファンに会いたくてブクログ始めたのは余談ですが(笑)
      いえいえ、こちらこそすみません(-_-;)


      はい!有川ファンに会いたくてブクログ始めたのは余談ですが(笑)
      2012/09/29
  • 公序良俗を乱す表現を取り締まる「メディア良化法」。
    これに対し図書館の権利としてすべての図書を管理する権利を守るための図書隊。
    まさに戦争のように銃撃戦が繰り広げられます。
    その中にちょっとじれったい愛が。。
    とても楽しい本でした。

  • やっぱり、自分はミステリーとか刑事物が好き。
    ちょっと図書戦争という発想には着いていけなかった、、、。と最初は思っていたが、中盤から同僚の手塚、さらに後半、王子様の正体が分かってくると面白さはピークに。キャラクター毎の熱い思いが伝わってきて中々良い作品。後半はスラスラと読み易くなった。ちなみに著者って女性なのね。これシリーズもの。恋の行方が気になる。
    途中までこの後続シリーズはもう読まないだろうと思ったが、大逆転続き読みたい。

  • 入院中に持参した本をすべて読み終えてしまい、電子図書館でたまたま見つけて読んだ本。
    普段あまり読まないジャンルだったけど楽しく読みました。
    2人の距離感がもうなんだか…
    話題になってたのは知ってたけど、もっと若い頃に読みたかったー!
    続きも気になるのでまた借りて読もうと思います。

  • 説明的な文章が多く、前半は読みにくいと感じた。
    後半の戦闘シーンは面白かったし、全体を通して登場人物一人一人の心情が緻密に描かれていてうまいと思った。
    ただ、検閲は憲法で禁止されているはずなので、良化法が通るためには憲法を改正しなければならない。なのに、憲法改正については触れられていなくて、違和感を感じた。さすがに憲法改正まで黙認するほど、国民の政治意識は低くないのでは?などと思ってしまった。
    あと、郁のキャラクターについて、うーんと思うところが多く…。いい所ももちろんあるけど、夢は大きいわりに努力をしない子だなあと思ってしまったので、あまり応援できなかったし、大口叩くのもイライラしてしまいました。

  • 私は女性ならではの温かい作品が好きなのですが、有川浩さんの作品はストライクゾーンのど真ん中です。図書館戦争というタイトルからどういう内容か見当も付かなかったため、手が出せずにいましたが、いざ本を開いてみたらこれがおもしろいのなんの。内容はある法律から本を自由に読むことが出来なくなり、それに対抗するべく結成された図書隊のお話です。どのように本を守るのかと思いきや戦争だけに銃などの武器で実力行使です。いやー驚きましたね(笑)。隊員達の会話は非常に面白く、個性もしっかりと活かされていて楽しく読ませていただきました。これは続き読まなくちゃ!

  • キュンです(笑) 有川浩氏4冊目はラブコメ本でした。

    着想面白く、図書館員(表現の自由)VSメディア良化委員(差別的表現規制) のバトル。

    架空の時代は昭和の次の年号「正化」31年。
    年号が伏線⁈ 「正しいとは何か?」がテーマでもある。公序良俗を盾に正論は正義か? 政治に無頓着になることへの警告も含んでる。

    【 ここから辛口】少女漫画的小説。セリフと心の声は、吹き出しやト書き風で『話し言葉体』の文体は私には読みにくかった。美しい日本語を読みたくなった。イヤミスやミステリーに疲れた人にはオススメです。

    • セシルの夕陽さん
      さてさてさん、次の有川作品は『レインツリーの国』か『キケン』を、狙ってます。図書館戦争の2巻目は破棄しようと思っているのですが。。。読まない...
      さてさてさん、次の有川作品は『レインツリーの国』か『キケン』を、狙ってます。図書館戦争の2巻目は破棄しようと思っているのですが。。。読まないとレインツリーは楽しめませんかね⁈ 頑張って読まないとなりませんか??(^^;)
      2021/08/31
    • さてさてさん
      セシルの夕陽さん、そうですよね。迷いますよね。読まないとレインツリーを楽しめないわけではありません。どちらかと言うと二作目を読んだ厚みが後か...
      セシルの夕陽さん、そうですよね。迷いますよね。読まないとレインツリーを楽しめないわけではありません。どちらかと言うと二作目を読んだ厚みが後から増すという感じかと。二作目を読まなければこれがないだけなので。私は敢えて読みましたが、これはセシルの夕陽さんもよくご存知の辻村深月さん「スロウハイツの神様」と「V.T.R」とこの作品が同じ関係だから体験してみたかったというのがあります。私は小説内小説が大好きです。(これは、よろしければ私のブックリストで二回にわたって取り上げていますのでご覧ください…さりげなくPR(笑))。小説内小説がリアル世界に刊行されている作品って私はこの二つの組み合わせ作品しか知りません。なので読んでみたかったというのがあります。そんなこだわりがなければ単独で良いと思います。ただ、有川さんはこだわられています。二作目の表紙にレインツリーの表紙が描かれているんです。しかも出版社が違うのに。というようなところでしょうか。ちなみに二作目も私のレビューは、一作目の対談企画の続きになっています。(…とまたさりげなくPR(笑))。長くなりましたが、結論としては、無理して読む必要はない、でしょうか。ご参考にいただければと思います。
      2021/08/31
    • セシルの夕陽さん
      さてさてさん、いろいろとありがとうございました! はい、検討してみます…シリーズ①を読み終えたばかりなので、読む気力が復活したら、と言うこ...
      さてさてさん、いろいろとありがとうございました! はい、検討してみます…シリーズ①を読み終えたばかりなので、読む気力が復活したら、と言うことで(^^;)
      2021/08/31
  • う~ん、イマイチ感情移入できない。読むのにかなり時間がかかった理由は? 所々いい場面もあるのだが、テンポの重さが馴染みづらさなのだろう。まあ、その時の自身の状況との相互作用で機能しなかったということか。また、状況が変わった時に手に取ることにしよう。
    「義理も縁もない他人に何かを頼むとき『協力してくれるべき』とか『してくれるだろう』とか甘い見通し持ってる奴は絶対に失敗するわ。協力って期待するものでも要求するものでもなくて、巧く引き出すものなのよ」

  • 架空の法律が存在する2019年の日本が舞台。
    実際の日本にはメディア良化法も図書隊も存在しないけど、表現規制や言論統制に近い動きは確かにあるから他人事じゃない。
    ぶっ飛んだ設定だからって「あり得ない」と一蹴できない。

    他のディストピア系って重苦しい雰囲気で話が進みがちだから、恋愛やキャラクターの生き生きとしたかけあいでポップな感じになっていて(でもテーマはしっかりしてる)、重苦しめなの苦手な人でも手に取れるのが良いと思いました。

    『図書館の自由に関する宣言』からこのような話を膨らませる、有川さんも凄いです。

  • 「読みたいけど読みたくない」という感覚を教えてくれたのが図書館戦争シリーズでした。読み進めたい、ずっと読んでいたい、読み終わりたくない、という感じ。
    本の楽しさを教えてくれた大切な図書館戦争シリーズは、この1冊から始まっています。
    ただの恋愛小説でもなく、仕事小説でもなく、いろいろな要素のバランスが良くて、おもしろくて。図書館戦争シリーズを読んでいる頃は毎日 タスクフォースや周りのみんなのことを考えていたし、何時間も読んでいました。

  • 『お前、俺と付き合わないか』
    『………………………………………………は?』

    のところで、小牧張りにツボって、コーヒー吹きましたww。
    この、完全に意表を突く展開のさせ方が有川ワールドの特徴ですね。
    4冊のシリーズだそうなので、残りの3冊、楽しみです。

  • ひゃあああああああああああ!!(すいません騒いで)
    有川浩さん面白い! 面白すぎます!! どの作品も間違いなく心に突き刺さってくる。なんだろう。キャラがいいのよね。本当に人間が描けてるというか。
    あ、上から目線ですみません。人間がとてつもなく描けておられます。ほんと、尊敬の念しかありません。

    高校生の頃とか、このタイトル見て「なんかの比喩かな」程度にしか思わなかった自分。恥ずかしい。いやでもだって! 図書館で戦争ですよ!? かけ離れすぎててイメージつかなかったんです。図書館といえば、最も静寂な場所ってイメージあるし、、ちょっと話してるだけで「出てってください」って言われかねない場所だし。そこで戦争とか正気か!? ってなるのは普通の心情なはず。。だって誰もパチンコ屋で宿題しないでしょ…?

    まあ、そんな非常に捻じ曲がった偏見を持っていた高校生の俺、今すぐ有川浩に謝るんだ! 仕方がないよ。確かに俺は有川浩さんを、恋愛小説のトップだと捉えていたんだから、まさかこんな重度の自衛隊オタクで、とんでもないSF作家だなんて思ってなかったんだから。いや、無知って怖い。

    まあ、そんな偏見をぶち壊してくれた友人と、自衛隊三部作やその他諸々の神作品を生み出してくれた有川浩さんに感謝。そんな出会いがあったので、本日もまた神作品に触れることが出来ました。

    と言うことで、図書館戦争のレビューに入らせていただきます。いや、もう読まれに読まれた作品だと思うので、こんな若造が何か書いたところで誰の目にも届かないことは分かっているんですけど、書かなきゃこの舞い上がった気持ちは収まらないということで。(普段はこんなに饒舌じゃないんです。すみませんほんと)

    まあ、流石に長くなっちゃったので簡潔に。

    最高です。まず、こういう「ありえねーー」「ひっでぇーーー」な世界をこうもリアルに描けるとは。今こうやって、どんな作品でも読めること、もっといえばYoutubeとかで大抵の動画が見れること、それって何だか当たり前じゃないんだなぁって思っちゃいました。だって、そんなの当たり前だし、フィクションの話をなんで現実に持ち込む? って思っちゃうかもしれないけど、それくらい、それくらいこの小説に出てくる登場人物の悩みにはリアリティーがあった。
    間違いなく、小説を読んでいる間は自分もその世界に転生したかのような気持ちになって、この「図書」をめぐる悲しき戦いを読み進めていったと思う。
    やっぱり、この有川浩さんの詰めるべきところをほんとーーーーに細かく詰めれるのはすごいと思います。
    そして、同時並行で描かれる恋愛やら人間関係の巧さといったら。もう一緒になって「堂上のチビ!」って思ったり「堂上さん!!!!かっこえええ!!!」ってなったり「手塚ぶっ飛ばすぞ」って思ったり、「柴崎むかつくけどすごい奴やな」って思ったり。もうほんと、実際にいるような気がしてならないくらいここにもリアリティーが溢れてました。有川浩さんの描く、人間らしい、小説っぽくない会話に脱帽しています。ほんと、僕もいつかこんな小説描きたいな。。なんて、精進せねばなりません。ぐだぐだと書いてしまいましたが、この年になってやっと名作「図書館戦争」を読めたことが嬉しいです。急いで続きを手に入れなくては!! と思っています!

    とっても素敵な読書タイムでした。感謝。

  • やっぱり有川浩さんの設定は面白い!
    子供のために〇〇を禁止する 的なやつは大概子供のためではなく、それを言っているヤツのため
    「考える会」をやっつけたくだりはスカッとした。
    設定も緻密で、登場人物にも無駄がなく、それぞれの個性が物語を豊かにしています。
    何よりエンタメとしてストーリーがしっかりしているので、アニメ化映画化されるのも頷けます。
    映画に興味があったのですが、大体英語は尺の関係で原作より面白みが激減するので、原作を読むまで我慢していました。
    このあと映画を見てみたいと思います。

  • 公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律「メディア良化法」の名の下に、書籍などを検閲して取り締まるメディア良化委員会。それに対抗する形で「図書館の自由法」を提唱し、検閲を退けて市民にあらゆるメディア作品を提供する図書隊。両者の戦いの物語。

    こんな世の中になったら嫌だなーと思う内容。図書の自由な権利を脅かす法律は、本好きとしては見過ごせない。たまにある恋愛要素も微笑ましくて良かった。

  • 主人公は笠原なので、図書隊という自衛隊みたいな組織から目線のストーリー。図書館のことや政治のことやら意外に難しい話が出てくる。けどコミカルなので読みやすかった。

  • すっごいきゅんきゅんしました!!
    やっと全部揃ったから読み始めたのですが、
    もーうとにかくときめく!!
    堂上教官と笠原のやりとりににやにや。
    王子様の話題が出る度ににやにや。
    先を予想してしまって、1人盛り上がって
    先が読めなくなってしまったり...。
    でもまた先が気になって、恐る恐る手を伸ばす...
    その繰り返しでした。

    ジュエルボックスも素敵です。
    郁の寝言が堂上教官の心を揺さぶる...。
    堂上教官目線なので、いつもは予想するしかできない堂上教官の心情がよくわかって、胸がきゅっと締め付けられる感じがしました。

    早く続きも読みたいです!
    映画を観た方にも是非本を。
    観てない方にも是非本で読むことを
    おすすめしたいと思います。

  • 初めて読んだ有川浩作品。
    本好きにはたまらないです。

    まず図書館の自由に関する宣言、が
    すてき。かっこいい。

    「王子様」に憧れて図書隊に入った
    郁の無鉄砲さが読んでて笑ってしまう。笑
    誰よりも本を守りたいって気持ちは強いのに空回りばかりで、
    それをサポートする堂上や小牧、柴崎、手塚…みんな個性的で面白い。
    バカで空回りばかりだけど郁はかっこいいです。

    本が狩られる、なんて想像がつかないけどそんな国にならない、なんて保障はどこにもないわけで。
    自由に本が読める、というのは簡単なことじゃないんだなと思いました。

  • このシリーズ、別冊も含めてすべて読みました。
    激しい戦闘や策略の間に見え隠れする、登場人物の強さや可愛らしさがほんとうに素敵!
    そして、かっこいい!
    登場人物の言葉ひとつひとつが、自分の甘ったれていた部分に喝をいれてくれます。
    たまに法律とか軍事系の難しい表現もでてきますが、会話のテンポがよく、人物の気持ちも細かく描いてあるので、ストーリーにばっちり入り込めます。
    映画化になるのがけっこうショックなくらい(笑)、わたしはこの本の中の世界観が好き。

    ちなみに各シリーズの巻末にある、有川浩×児玉清さんの対談も、おもしろくて見ごたえアリです♪

    元気を出したいときには必ず手に取ってしまうこの本。
    おすすめです♪

  • SFとホラー中心のマイ本棚で一際異彩を放つ有川シリーズ。大好きです。著者全体に総じて言えることですが、大人のライトノベルと言ったところでしょうか。
    このシリーズでは、本がその内容如何で規制の対象になる世界で、読書の自由を守る人たちの活躍を描いています。
    しかし、設定があざとい。本好きでこのテーマに賛同しない方は少ないのではないでしょうか。読む本を規制される世の中なんざ考えるだけで嫌になります。その中で主人公が七転び八起きで頑張る姿は応援せざるを得ないでしょう。早速続きの4冊を買いに走ってしまいました。
    ちなみに、レビュー起草時点では、紀伊国屋書店様で特別編を収録した特装版が出ております。この特別編の破壊力たるや、油断して電車内で読んでいたらニヤニヤを抑える為に歯ァ食縛って読む羽目になりました。破壊力高めです。期間限定とのことなので、この機会に是非♪

  • キャラクター同士の掛け合いが楽しく、人気作と言われるのも納得の作品。舞台設定には正直、色々言いたいことがあったんですが、巻末の後書きに「気にせず笑い飛ばしてください」とあったので、余り深く考えず、キャラ同士の掛け合いを楽しむことが正解なのかもしれません。程よいミリタリ(もしくはSF)設定に触れながら、ライトに読書を楽しみたい方にはピッタリの一冊ではないでしょうか。

  • 1番好きだったシーン
    郁が堂上に対して独演するシーンの「堂上教官だってあたしを助けてくれたり教えてくれたり支えてくれたりするのに、どうしてあの人みたいでいてくれないんだろう。あたしに超えたいと思わせるくせに、どうしてあの人と同じ並びでいてくれない」という郁の感情。最初読んだ時は、郁が堂上と「あの人」を同列に見たいって考えるなんてそんなに堂上のこと特別視してるんだ、、、キュンってなった。でも最後まで読んで見方が変わった。堂上=あの人が確定してからここ読むと、幼稚だとしても真っ白な正義を持ってた昔の堂上は今はもういなくて(堂上が年月とともに変わってしまったため)、郁が探し求めてる人はもう存在してないんじゃん、悲しすぎるって。「堂上にあの人みたいでいて欲しい」という願いは叶わないよね、、、堂上からしたら自分の幼稚で短絡的な行動のせいで郁が防衛員志望になってしまったんだから後ろめたい気持ちあるもんね。うわーーツラい。昔の自分(あの人)はもう存在しないという「諦め」の気持ちと、それとは反対の「昔の自分を貫いている郁=救い」の気持ち。最後、堂上の「その俺は俺が違うと切り捨てたのにお前が拾うな。俺は今の俺に満足してるのに出来損なった俺をお前が勝手に認めるな」なんて辛すぎる。目の前にある救いの手を掴んで欲しい。

    堂上
    ツンツンツンツンデレだな!!小牧の「素直になれよ」的なツッコミに同意しまくってた。褒めればいいのにすぐ「調子に乗るなよ」とか言っちゃうの、真っ直ぐに褒めれない男子高校生がやるやつ!
    手塚に対する「ただ付き合うならいい加減なことはするな」はもう親じゃん。郁が大事であることを隠しきれてないとき尊い。


    堂上の笑顔にちょっとドキっとしてる郁、チョロインかもしれん。いつも厳しくされてるから、たまに餌貰うと喜んじゃう子犬かな?
    本当に真っ直ぐなんだよな。記者に囲まれてある事ない事言われてブチ切れそうになってるし、その後に堂上の前で号泣してる所とか。本当に真っ白な正義を望んでる馬鹿ってちょっと愛おしい。「すみません、あたし短期で」「ていうか、まっすぐだからな」の堂上の発言、あれは惚れます。

    小牧
    小牧がツボに入ってるの好き、癒される。あっけらかんとして、でも正論マンなところ最高に推せるキャラ。小牧最推し。めっちゃ口開けて笑ってて欲しい。で、玄田の前とか笑っちゃいけない時に頑張って笑い堪えてる表情見てぇ。

    柴崎
    柴崎の「あっけらかんとして毒のないところ」にすごく憧れる。人を幸せにするキャラだよなー。毒がない人が放つキツい一言、言われたい。

    手塚
    郁からの「あたしに理屈で負けるのが不本意だからって話をアクロバットするな」ってセリフ好き笑 アホ郁にツッコまれるアホ手塚のコンビ最高。

    その他
    読書そのものについて考えさせられた。子供に対して決められた「読むべき本」から学ぶことなんて大してなくて、「読みたい本、読んで面白かった本」からいっぱい吸収して欲しい。というか、自分がそうあれよ。昔の読書嫌いだった自分は、この「読むべき本」という大人の目線が嫌いだったのかもなー。

    その他好きなセリフ
    折口「うん、それすごい正論ね。でも正論って面倒くさいのよ」「協力って期待するものでも要求するものでもなくて、巧く引き出すものなのよ」勉強になります、、、
    玄田「あんたたちがどこかで日和らんと信じられるほど我々の間の歴史は幸福ではなかったはずだ。違うか」幸福ではなかったっていう表現がいい!警察に対してお前が悪いって言い方じゃなくて、当時の抗えなかった社会圧力に対して幸福じゃなかったと表現している。カッコよすぎる。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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