- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048671873
感想・レビュー・書評
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社会の仕組みを変えることで社会問題を改善させる社会起業家を多数紹介。
地域再生や環境保護、途上国支援など様々な社会起業家のことが書かれていて、社会起業のイメージを掴むことができる。
特筆すべきは紹介される社会起業家の多くが20代なこと。若くて財がなくても動き出している人はたくさんいるのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会起業家の活躍する事例がたくさん紹介されており、
「なるほど、こういう人がいるんだ!」というのが分かる。
カタリバ、マザーハウス、このあたりは私も知っていたが、
モーハウス(授乳服製造販売)や
エコトワザ(中小企業の環境推進室)はまったく知らなかった。
彼らに共通することはなんなのだろうか?
強い問題意識、事業のビジョン、実行力・・・といったものだろうか。
著者は、社会起業家になるプロセスを以下のように述べる。
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p.244
第一に、自分がどうしても見過ごせない問題を自覚すること。
(中略)
困っている当事者の立場に立って、彼らの気持ちにコンパッション(強い共感)を
抱いた時こそ、社会起業を始めるチャンスなのだ。
苦しむ人の切実な気持ちを自分のものとして受けとめられる感性が
社会起業家としてのモチベーションを作る。
実際、支援対象者と当事者意識を共有できた人は強い。
自分の取り組みたい問題と、それをどうしても解決したいという気持ちが
はっきりしたら、次は問題を抱えて困っている当事者に十分なヒアリング(取材)を
行い、彼らがどんな支援や解決を切実に求めているか(ニーズ)を知ること。
問題の解決に何が足りないのかがわかれば、それを無理なく埋め合わせる
方法を考えることが新しい仕組みを作る出発点となる。
はっきりとニーズがわかれば、社会起業を通じて達成したい自分の使命(ミッション)を
周囲に示すこと。
p.246
自分の思い込みや常識ではなく、社会を広く見渡し、既にある人材、資金、ノウハウ、
相談機関などさまざまな資源(リソース)を持ち寄り、同じ志を持つ
より多くの人を活動に巻き込めば、できないと思っていたことも意外と
容易にできることがわかってくる。
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なるほど、と思う。
普通の企業でもいまは「顧客第一」を掲げるところがあるが、
実際にそれができている企業はおそらく多くないだろう。
というのは、それほどに経営者、経営層、ミドル、社員、バイト・・・あらゆる
構成員の人々が、ビジョンを共有して「顧客第一」を貫き続けるのは
ものすごく難しいのだ。
しかし、社会起業は、そもそもが「困っている人の問題をビジネスで解決する」
というところに始まるので、このビジョンの共有が普通の企業よりは
はるかに強力になされるのではないかと推測される。
ゆえに、ここをコアに据えるべきだ。そうすることで、一般企業を圧倒する
ダイナミクス、パワーが発揮できる可能性がある。
また、その理念そのものが広く社会から支持される可能性が高いため、
支援者からの人材、金銭、サービスの支援を受けやすかったり、
また顧客からも強い共感をもってもらえることで、ロイヤリティを高くできる
(=収益性が高くなる)ことも期待される。
こう考えると、そう、社会起業は実に可能性がある。
特に個人のパワーが輝くようになる21世紀では、なお、そうだといえる。
これからも社会起業家の活躍に目が離せない。
そして、そういう人はいかにすれば生まれていくかを考えたい。 -
最近国内のNPOの市場や活動が気になった買ってみました。
結論、考え方が少し変わりました。
しかしまだまだ不明点や個人的には助成金似たよりすぎな団体が嫌いなところはぬぐい切れませんでした。
そしてずば抜けてマザーハウスの山口さんのやったことの凄さやストーリーは人の心を打つものがあるなと感じました。
全体として、分野ごとに国内の社会起業家を紹介した本です。
個人的、教育やワークライフが関心が強いので、キャリア支援、ワークライフバランスがおもしろかったです。
チェック
・日本のソーシャルビジネスの規模2400億円、イギリスは5兆7000億円
・一次産業を「かっこよくて、感動があって、稼げる」3k産業にしたい(みやじ豚)
・援助には持続的効果はない。物乞いと同じだ。仕事があれば誇りを持てる。それが、わたしが絵理子と働く理由です。
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うちの本棚にしばらく眠っていたのだが、なんとなく気になって読んでみた。 なぜかあまり感じるものがなかった。なぜだろうか。それは、社会企業家の思う事・語る事が大学での企画とあまり変わらないからであろう。
場、終集合が異なるものの、写像としての企画と社会企業ではスケールが異なるだけであるように感じられた。 大学での企画に携わる人間は読んでみると何かヒントが得られるかもしれない。。 -
いろいろ載っていて参考にはなるが、
やはりどこかに壁がある気がする。 -
社会起業家というキーワードに惹かれて本書を手にしてみた。
起業することの魅力は何かといわれれば、 自分 の力で事業を起こし、規模を拡大し利益を出して行くという一連の育成プロセスだったり、一財産を築くことだったり、また社会的地位を得たりすることだったり、多様である。
しかし、ふと会社の役割とは何か?ということに立ち戻ってみると、社会に何らかの物やサービスを提供し、生活を便利にしてゆく組織・機関では無いかと思う。 消費者に対してその様な付加価値のある物・サービスを与えることによってその対価を受け取る。 そしてその対価をベースに次なる物・サービスを提供し世の中をさらに便利にして行く。 そう考えると、利益"だけ"を追い求めることは本来の目的から若干外れているのではないか?という思いを持っていた。
そういう思いが根底にある状態で本書にある社会起業家という人種を知ったものだから、自分が考えている答えが有るのではと思っていた。
社会起業家は、「社会そのものの仕組みを変える事業を開発する」人間であるという。 本書では20例の社会起業家を紹介しているが、その殆どは20代の若者だったりする。 純粋に現在の社会の溝に対して問題意識を持ち、それを正そうとする純粋な気持ちが彼らを突き動かすのであろう。
起業対象としては、地域再生、農業再生、キャリア支援、在日外国人支援、途上国支援、環境保護、NPO・NGO支援などがあり、国や一般の利益団体が行き届かない部分に仕組みを作り上げ支援して行くものである。 この様な動きがもっと全体に広がり最終的には政府を動かすぐらいになると、日本という国も活性化するのでは無いかと思う。