T.R.Y.

著者 :
  • KADOKAWA
3.53
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本棚登録 : 135
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048731799

作品紹介・あらすじ

騙す、騙される、また欺く。広大な大陸と海原を貫き、歴史の時を刻もうとした、疾走する情熱、凄絶な正体。革命という熱病にうなされる怪男児-。第19回横溝正史賞正賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 服役中の詐欺師,伊沢修は中華革命のため日本軍から武器をだまし取ろうと企てる.主人公は詐欺師なんだからもっと悪者,どこかで味方をも欺こうとしているような方が良かった.あまりにも良い人すぎる.

  • 第19回横溝正史賞受賞作品。
    明治44年、激動の時代の中国大陸から物語は始まります。主人公はロシア・ヨーロッパ・日本をまたにかけた詐欺師、伊沢修。他には中国革命を目指す、関虎飛。伊沢の詐欺の仲間、陳思平と韓国人のパク。
    革命を起こすための武器を手に入れるために、関に仲間に引き込まれ、その武器を持つ日本陸軍の権力者をだますため、伊沢は日本に戻ります。日本陸軍の権力闘争、伊沢が過去に行っていたロシア革命を背景にする事件、朝鮮半島を開放したいと願う人物達の思い、などなど、さまざまな事情が絡み合い、最後まで詐欺の裏が読めなくなっています。


    人物一人一人が個性的にしっかりと描かれていて、この時代ならではの、悲しくも情熱的、切ないほど一途な彼らの生き様。彼らを否応なしに飲み込んでいく時代のうねり。そういうものの描かれ方が、なかなか上手です。

    この時代がお好きな方には、お薦めです。
    冒険小説に近い小説だと思うんですが、横溝正史賞受賞作品なんだから、ミステリーなのかと一応ミステリーに分類してます(^^;。

  • 織田裕二さん主演で映画化された作品。

    映画を見ていたので、先行きは何となく分かっていたものの、後半の騙し騙されの展開は手に汗握るものだった。やっぱりコンゲームものは好き。辛亥革命の時代を背景にして、当時の実在の人物をうまく絡めているのも面白かった。映画は映画で、時代の雰囲気が色濃く感じられて良かったと思う。いい意味で映像化されやすい作品だったかな。続編があるようなので、そちらも読んでみたい。

  • まあ、楽しいのだが
    そう言えば映画化されてたなあ
    3.7

  • 第19回横溝正史大賞。織田ゆうじで映画化もされてる。
    辛亥革命前夜という私が好きな時代。上海で始まる。なので★4つ。
    伊坂修という詐欺師を中心に、革命のため、日本陸軍参謀次長の東を騙し、武器を持ち去ろうとする。テンポよく読ませる。ちょっとややこしいけど、あ、そういうことなのね、と二重にも三重にもなった事情に膝を打つ。ぽん。
    まんまと武器を手に入れるんだけど、チンバンの方針変更で水の泡と化す。
    もともとのタイトルは「化して荒波」。もともとのペンネームは「井上もんた」。いろいろ変えたんだね。

  • 物語は1911年の上海から始まる。革命という時代の中で、中国や朝鮮の人たちの反日感情、力に物言わせる日本軍人の横暴。。
    そんな中で一人の稀代な詐欺師、伊沢修が権力に立ち向かい、利害の絡む人物の中、騙し騙され、巧みにそれぞれを利用して、相手の裏の裏をかく。。。
    一寸先が見えない中で、実は緻密に計算された計画が進行していく。
    息をつかせない物語の展開、そしてスケールの大きい国家レベルの革命への情熱が彼と仲間を動かす。

    最後の日本軍の武器を略奪する大仕掛け。そして最後のどんでん返しまで、目をそらせないでドキドキしながら、一気に読んでしまいました。

    実際の事件と時代背景が、本当に伊沢を生み出して活躍させていたのでは?と思わせるような物語。
    自分も伊沢になって、歴史の裏を読み込んでいくようなスリル。
    こんな詐欺師は、かっこいい。。

    あ、実はこれは、私の個人的に思い入れが激しい本。。
    だって『織田裕二』さま主演の映画にもなりました。
    映画はさすが迫力あります。。。でも本のほうも負けず劣らず迫力あるものです。

    歴史の勉強しながら・・・楽しく読みませんか?

  • 横溝正史賞(1999/19回)・「化して荒波」を改題

  • 中1で読んだ

    詳細は忘れてしまっている
    衝撃を受けたのは覚えている

    もう一度緊張しながら読めるだろうか
    いつか読もう!

  • 慣れない時代背景に溶け込むまで時間が掛かかったけど、
    溶け込んでからはとても面白くてぽんぽん進み、あっという間に読み終えてしまった。
    登場人物全員に味があるというか、いい意味で皆古典的なところがあってすとんと腑に落ちるものがある。
    朝鮮・中国・日本はいろいろと複雑な関係・感情があるだろうに、そこら辺を意外とさらっと書いてたところが面白かった。
    ただ何度でも読み返したい傑作か、と思うと、うーん。というわけで☆は4つ。

  • 一九一一年、上海。服役中の刑務所で暗殺者に命を狙われた日本人詐欺師、伊沢修は、同房の中国人、関に助けられる。その夜、伊沢は革命家である関からある計画への協力を要請された。それは、革命のための武器の調達、それも、騙し、奪い取る。そのターゲットは日本陸軍参謀次長―。暗殺者から身を守ることを交換条件としてこの企てに加担した伊沢は、刑務所を抜け出し、執拗な暗殺者の追走を受けつつ、関たちとともに壮大な計画を進めていく。騙し騙されるサスペンスフルなコン・ゲームとスピード感、全選考委員の大絶賛を受けて第一九回横溝正史賞を受賞した超大作。

    要約のとおり。日本で中国でドンドン話が展開していくし、最後の最後まで裏のかき合いが続き、この先どうなるの感を最後まで味わえる名作。

    中国史が好きな人には特にオススメです。

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著者プロフィール

1959年、神奈川県を経て、放送作家となる。99年「T.R.Y.」で第19回横溝正史賞正賞を受賞。著書に「C.H.E.」「キャピタル ダンス」「リスク」など。

「2017年 『ポーツマスの贋作 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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