- Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048735902
作品紹介・あらすじ
壊れるまでに張りつめた気持ち。ごまかすことも、そらすこともできない-二十歳の恋。これからもずっと同じ痛みを繰り返し、その苦しさと引き換えに帰ることができるのだろう。あの薄暗かった雨の廊下に。野間文芸新人賞を最年少で受賞した若手実力派による初の書き下ろし長編。
感想・レビュー・書評
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著者、島本理生さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。
島本 理生(しまもと りお、女性、1983年5月18日 - )は、日本の小説家。
東京都板橋区生まれ。母は舞踏家・鍼灸師の長岡ゆり。島本が幼少期に実の父と離婚。その後すぐに母は再婚するが高校進学以降に両親が離婚し、母子家庭になる。母子家庭の経験はのちに『リトル・バイ・リトル』に反映されている。
で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)
壊れるまでに張りつめた気持ち。ごまかすことも、そらすこともできない-二十歳の恋。これからもずっと同じ痛みを繰り返し、その苦しさと引き換えに帰ることができるのだろう。あの薄暗かった雨の廊下に。野間文芸新人賞を最年少で受賞した若手実力派による初の書き下ろし長編。
本作は2005年刊行なので、著者が21歳位の時に書かれた作品になります。
若い女性ならではの視点で書かれた、恋愛小説になりますか。
ブクログで、本作を登録されている方が多かったので、手にしてみましたが、61歳男の私には不向きでした。
当然かね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。10年ぶりくらい。
島本さんの作品は、いつも女性の心情にばっかり目がいっちゃうのだけど、再読したら、先生と小野君の言葉や行動をおってる自分がいました。
先生の言葉の中で最もずるいと思ったのは「どうしてかは分からない、だけどとにかく君には、ほかの相手よりも正確に僕の言葉が伝わっているという実感がある。」という部分。こんなん20歳の女の子が言われたら、先生のことをわかってあげられるのはーって勘違いしちゃうから。というか勘違いじゃなくて、言われた本人は、確信したくらいに思っちゃうから。
また、私の職業柄これはその通りだなって思ったのは、「たまたま僕の言ったことと、それを受け取る側の波長が合っただけだよ。」という言葉。同じ言葉でも受け取る生徒しだいで効果は変わってしまう。(変わるというか、ない場合も)そしてこれだって、波長が合いすぎちゃったことによってこうなっちゃったんでしょうよ。でも効果は出てからじゃないと気付かないし、気づいた時にはもう手遅れだったりするのよね。
一方の小野君。再読して改めて感じたけど、狂気。外堀を埋めてく感じとかほんと怖すぎ。というか実家帰りすぎじゃない。東京から長野ってそんな近くないよ。実家のお母さんから見た小野君の話を聞くと、好青年に見えた小野君が一気に寂しがりやで依存心の強い男の子に。先生への気持ちが残ったままでもいいって言っておきながら、不安に耐えきれなくて様々な行動に出てしまう小野君の気持ちがわからないでもないけど、それにしたって狂気。こういう男の子は泉のような女の子と付き合ってはいけないよ。でもこれも一瞬波長が合った気がした(たぶんこれは気のせいだった)からこうなったんだよね。
10年も経つとまた全然違う気持ちで読めるものだな。また10年後読もうかな。 -
初めて読みましたが、前に高校生作家さんで話題になった人なんですね。
若い女性らしい実感のこもった読みやすい文章です。
高校時代の先生に恋をしていたのを諦めきれずにいた泉が大学2年になって再会、先生とは微妙な気持ちの交流もあるのですが、決して結ばれることはない理由がありました。
先生に高校の演劇部への助演を頼まれた仲間内で、好意を寄せてくれる小野君とつきあい始めますが…
葉山先生も小野君もそれなりにかなり良い所はあり、でもな!だめだよ!という所もあり?その辺がリアル。
ヒロインも等身大の感覚で、丁寧に描かれた、ストレートな恋愛の物語です。
最初のうちは歯がゆいぐらいぐずぐずしているけど、途中でたががはずれて来るあたりも、あり得そうな感じ。
恋愛そのものを描いた話というのは意外と最近少なかったかな?
後輩の柚子ちゃんのエピソードは唐突で重すぎる…
ナラタージュというのは主人公が回想する形式をさす映画用語だそうです。
しかし、本当にこれで良いのか…
引き込まれて一気に読めたのでそれだけで合格点ですが、リアルなだけにあれこれ考えてしまう所もありました。
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優しくて、あたたかくて、ずるくて。
弱くて、でも、力強くて。
つらかった時に、手を差し伸べてくれて。
不器用だけれども、向き合おうとしてくれて。
人間、生きていればなにかしらの事情がある。
事情を抱えずに、生きている人間などいない。
一緒にいられない事情があって。
終わりにしなければならない事情がある。
それでも、感情は事情で割り切れない。
好きになることに理由はない。
事情があっても、感情で割り切れない。
好きであったことを忘れられなくても、過去を受け止めて生きていく。
終わった恋に、意味がない。
大輪の花を咲かせずに散る恋は、最初から存在すべきではない。
そんなことは、ない。
どんな恋であれ、どんな結果であれ、何かしら得たメッセージがあって。
そのメッセージを、私たちはそっと胸の奥底にしまって生きていく。
意味のない恋など、存在しない。
若かったころの恋。
浅はかで、幼い恋だったのかもしれない。
それでも、私は確かに彼を愛していて。
背伸びをしているような、ビターチョコレートをちょっとかじったような。
タバコの癖のある匂いのような、言葉がわからない国へ一歩入ってしまったような。
そんな恋だった。
終わってしまった関係でも、忘れることができない。
そんな弱さをかかえて、また新たな恋をしていくのだろう。 -
教師を本気で好きになったことがある女の子は読んでほしい。恋に恋しているなんて誰が言ったんだろう。なにが「本当の恋愛」なのか、全身全霊をかけてその人のことをまっしぐらに想うことが、学生だという理由で嘘の愛だというのだろうか。葉山先生はぼうっとしている存在だからこそ虚ろになって、きっと初恋の人を重ねてしまいます。とても切ない。
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あまりにも有名で今まで読まなかったが、とうとう読んでしまった。
繊細で脆くて、時に恐ろしい。
こんな風に女性なら誰しも直面するかもしれない問題にアプローチするのは、やっぱり島本理生さんだなと感じました。
私にも忘れられない先生がいます。
高校生の時の家庭教師の先生です。
好きだと言ってくれても、ずっと名前のない関係でした。
それでも良いと思えるほど好きでした。
いつも会いたいと言うのは私。
このままではだめだと連絡を絶って1年後、彼から連絡がありました。
久しぶりに会う彼は、まるで私と何もなかったみたいに恋愛について聞いてきました。
そして、3年後お互い結婚してなかったらまた会おうと言いました。
どんな気持ちでそんなことを言うのでしょう。
どこかでやっぱり忘れられない人です。 -
先生と生徒の禁断の恋愛ものだけど、どこまでもピュア。主人公も先生もまっすぐすぎて心がえぐられる。主人公を想う同級生の気持ちも切なすぎる。
小学校のときにこれを読んでこんな恋愛がしたいと思ったなぁ、しなかったけど笑。
一番好きな恋愛小説。 -
3.9
インパクトはありました。
ただ、あまり納得はしてません、なんでこうなるの?
という展開が多く、敢えて不幸な方へ話を展開させている気もしました。
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『壊れるくらい、あなたが好きでした』
4回読んだが毎回どこかが痛くなる
やっぱり葉山先生はずるいし小野くんは怖い
素直に好きと伝えられない関係が
こんなにも、もどかしく辛いのか
辛いけれど何度も読みたくなってしまう
好きな人を思い出さざるおえない本