- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048738132
感想・レビュー・書評
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独特の文体は、どういう意図によるものなのか判断がつかないけれど、登場人物たちの、一つのことをとことん突きつめていこうとするマニアックさと、それを包み込む幻想とがとても美しかった。文章自体にはそれほど美しさを感じないけれども、その感性、その事柄、が美しい。美しくないこの世界から、美しいと感じられるものだけを取り出してみた。そんな感じだ。
中でも、「Sleeping Pill」が一番好きだった。
一般的に「異常」と言われる物事は、時に美しさを孕んでいるものだと思う。気付かれぬ美。気付いた者は、幸い。 -
読んでたらbauhausが聴きたくなった。
読んでたらauaaのお洋服が欲しくなった。
単純です。
野ばらちゃんの過剰で無駄な世界観が大好き。 -
麻薬のようにくらくらする話が集められた短編集。性的だけど決して下品ではない。
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嶽本さんの作品は初読です。
長々と読むのは勘弁願いたいけれど短いので適度に魅力が伝わる、
そんな短編集でした。 -
睡眠導入剤による死のような眠りを求める「Sleeping Pill」
嗜眠性脳炎の研究から究極の睡眠薬を開発する「Somnolency」
ゴシックに目覚めた私の前には婚約者の遺体があった「Double Dare」
左右の耳に40個ものピアスをしている「Pierce」
クレオパトラの真珠の秘密を探る「Pearl Parable」
キルケに誘われて悪魔と契約を結ぶ「Religion」
菓子職人の父にチョコレートをねだる娘の「Chocolate Cantata」
装丁・本文デザイン:松田行正+日向麻梨子
ゴシックで退廃的な短編集です。
Somnolencyが一番興味深かったです。
そんな病気があるなんて知らなかった。 -
収録された七篇の恋愛小説。どれも、苦しく耽美で、どこか幻想的。短い話ばかりだけれど、この美しさは、これだけ短くなければ生きられないのかもしれない。ただ、最後の二編は、個人的に大嫌いなシュチエーションだったので、あんま読み返したくない。
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友人に借りてはじめてこの嶽本さんの作品を読んだのですが、唯美的なエロティシズムに魅せられました。登場人物の美化された気高い女性像がとても魅力的です。
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タイトル通り、幻想的なお話の本。
昭和のノスタルジーが感じられる。
下妻物語の方が書かれているので、ロリータちゃんが好きそうな内容でした。 -
初めて筆者の作品を読んだが、好き嫌いが分かれるタイプの作家だろうと感じた。熱狂的なファンが出来る一方で、もう読みたくないと思う人間も多そうだ。私は、前者だった。とても私の感性に合っていた。帯の、「ねぇ君、愛は痛いのです。」という一文に惹かれて手にしたが、この小説に書かれていた恋愛は確かにどれもひどく痛く、身を押しつぶしそうに重かった。しかも一口に愛とはいっても、依存の上に苦し気に成り立った愛ばかりだった。睡眠薬、ピアス、宗教、ゴスロリ、チョコレート、etc。それぞれのものに心身共に依存し、なおかつ愛を求める彼らはとても恐ろしく、しかし、とても甘美に思われた。特に私が心動かされたのは、悪魔信仰に身を捧げる自称魔女の女と、彼女に惹かれる故に自分も信仰を持った男がメインの「Religion」という話だ。気持ち悪さというならば、この異彩を放つ短編集の中でも群を抜いていたが、それ故に筆舌に尽くしがたい魅力を持っていた。宗教は麻薬だ、とは有名な言葉だが、信仰に取りつかれた人間はかくも恐ろしいものなのか…!
魂を持っていかれたような気になって、読後にしばし呆然とした。