化身

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739948

感想・レビュー・書評

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  • ◎幸せという名のインコ

  • ホラー短編集。スプラッタは無いよ。

    私好みの奇譚テイスト。もしくは、すこし不思議テイスト。

  • こわい、というより、不思議な世界。
    ホラーというより、ファンタジーかな・・・
    「世にも奇妙な物語」みたいな。

    表題作の、リアルな感じ。
    すごいなあ。
    最後のインコの話は、身近にインコを飼っている人が数人いるので、
    ちょっと複雑。

  • ホラー大賞受賞作。表題作、確かにすごいな。ホラーとしての怖さはあまりないけれど、とても不思議な雰囲気に満ちた作品。こんな状況、想像するとなかなかぞっとする光景なのですが。生きるための適応力って素晴らしいよなあ、とうっかり思ってしまいそうです。
    お気に入りは「幸せという名のインコ」。これぞホラー。ただし怖いのは、起こる不可思議な現象ではなく。人間の中にふと湧いてくる邪な考え……なのかもしれません。

  • 会社勤めにうんざりする毎日に嫌気がさして1週間の休暇に訪れた南の島。その熱帯雨林のど真ん中で壺型の深い池に落ちてしまった青年が体験する絶望と恐怖を描いた表題作『化身』ほか、書き下ろし2作をまとめた短編集。「日本ホラー小説大賞受賞作」。とにかく表題作が素晴らしい出来だった。こういうホラーなら怖がりなひとでも全然平気。安心して(?)楽しめる面白さ。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】『化身』二度と這いあがれない救助も望めない絶望的な状況の中で、主人公の青年が生き延びるために蟹をとり貝をとり魚をとるために環境に順応していく様が違和感なく実に自然でスムーズ。明らかに人間とは思えない姿に変わっていく点では「変態」ものといえるだろう。この変態ぶりにもどこか楽天的な主人公の性格のためか怯えや不安があまり見られないのが面白い。池の中の生態系にあまりに順応してるので人間であることを忘れてるかと思うと意外と「人間」としての自覚があるのがまたおかしい。そしてこの作品をただの珍体験談に終わらせずに印象深くしているのが、青年が落ちた壺型の池で過ごす日々の美しさ。澄んだ池の水、密林の舞う鳥の声、丸く青い空、星が輝く夜空、果実酒につけた色とりどりの果物。水面に降りてきた鳥を尾ヒレのような足をしならせて叩き落とす姿は不気味なようだが、人魚の様な美しさもある(男だけど)。なんとか地上に脱出できたあとの悲劇が一番おぞましかった。体中の皮膚がギブスのように固まり身動き一つ取れない状態でアレの大群が鼻の穴から目から次々に…ぎゃああ〜〜。とんでもない経験を長年してきたわりに最後の脱皮後の感慨があっさりしていてそこもよかった。残り2作は表題作に比べると可もなく不可もなく。『雷魚』釣り好きの少年と謎の女性が小さな池で出会った。ときどき言葉を交わすようになったふたり。女性の首には痣があり、それは日を追うごとに大きくなっていく。少年が釣ろうとしていた雷魚が女性の傷の謎と絡むと思っていたのだが、ありがちな結末にやや拍子抜け。『幸せという名のインコ』夫婦と娘の3人家族に新たな仲間真っ白なオカメインコのハッピーが加わった。言葉をよく覚え家族に可愛がられるハッピーが、夜になると声色を変え父親にだけぼそりと言葉をつぶやく。それはあたかも予言の様で…。読み終わってすぐは何とも思わなかったが、時間が立つにつれハッピーの最後の言葉がちょっと怖いような印象を残した。

  • ホラー大賞受賞の「化身」は、我々の既成概念をあざ笑うかのような、想像を越えた、ある意味ピュアな作品。怖さより不思議さを感じさせられた。
    三つ目の「幸せという名のインコ」は、誰にでもあるような平凡の中の恐怖、闇を描いていて、ありがちな話の展開だけど、気づくと背筋がゾっとせせられるような、とても身近な怖さを感じる作品。

  • 表題作はよかった。文章がきれいだし、世界観もいい。ホラー大賞受賞も納得という感じ。ただ併録の2作品は並みの出来かなという気がする。

  • 3作入ってる中で、一際異様な空気を醸していたのはタイトルにもある『化身』。身が竦むような怖さとは違い、じわじわと浸食してくるような怖さがある。『雷魚』は怖いというよりも、切なさを感じた。一番直接的な恐怖を感じたのは、『幸せという名のインコ』だったように思った。

  • カフカの「変身」を意識せずには読めない作品でした。・・・が、「変身」が社会や人間関係そのものの脆さ・恐怖を否応なく描いていたことを意識しすぎてちょっと物足りなく感じてしまいました。でも、そのおかげでラストの「えっ、そうくるかっ!!」感は倍増でした。穴蔵での生活よりも主人公(人間)にとって本当の恐怖は・・・っていうことですかねぇ。

  • 怖かった。
    正直、読み終わった直後は「あ、こんなもんか~」なんて、拍子抜け的な感想だったんです。
    先に審査員の評価を読んで、あまりの高評価にハードルが上がっちゃったかなーなんて、思いながら他の2篇も読んだのですが…
    全部読み終わってから、ジワジワきた!
    「化身」はアッサリ読む事もできちゃう小説だと思う。
    けど、じっくりこの小説に向き合うとそりゃもう恐ろしいし
    描写力諸々凄いよなあって、後からきましたね、私の場合は。
    これからどういうお話を書いていくのか楽しみだな~って純粋に思える!

    他2篇は割とオーソドックスな小説でしたね。
    インコの話はわたし好み^^
    ゾッとしたわー。

    面白かったし、今後に期待できる作家さんですね~楽しみ楽しみ。

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