- Amazon.co.jp ・本 (666ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061360044
感想・レビュー・書評
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牟礼田ちゃっちゃと喋らんかい
犯人何言ってんだかわかんないよ
読んでる間は面白かったです詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東京の不動尊が5色あったなんて知らなかった
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夢野久作『ドグラ・マグラ』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、そしてこの、中井英夫『虚無への供物』は日本三大奇書と言われる。あるいは、日本三大アンチミステリ。そう称される作品の中で言えば、おそらくこの作品がいちばん読みやすい。
薔薇や不動、密室、きらびやかな謎に彩られた「氷沼家殺人事件(ザ・ヒヌマ・マーダー)」と、それに挑むクセの強い探偵たちの、どこか歯車がずれているような、ともすれば滑稽と言っても過言でないような推理。ほのかな衒学趣味を漂わせるそれらは、奇書特有の、読者の理解を超越しようとする「凄み」のようなものを確かに感じさせるけれど、この作品にはそれ以上に、膨大な情報を余さず読者へと伝えようとする意志がある。つまり、ギリギリのところで読者の理解を超えない。
圧倒される感覚を求めると、少し物足りないとも思う。しかし絶妙な匙加減は、読者に考える事を放棄させない。作中の探偵たちがそうするように、読者もまた、「氷沼家殺人事件」の真相を考えながら読み進めていく。だからこそ、事件の真相が明らかになった瞬間に、読者もまた、作品世界の住人となる。いや、作品世界が現実に侵食してくると言ったほうが正しいか。思えばこの作品は、最初から現実と地続きのところに立とうとしているのだ。その感覚は喩えようもなく甘美で苦々しく、様々な感慨や業を突きつけてくる。
カーテンが開いて始まった絢爛豪華で精緻な舞台。知らず舞台は広がり続け、自分の足元も舞台の一部となって、読者の枠を超えて立つ。そして最後には、静かにカーテンが閉まって終わる、その瞬間を見届ける。
私がこれまで読んできた本の中でも出色の読後感であり、確かにこの本は奇書であるのだなと、思わずにはいられない。 -
今年も12月10日がやってきたので再読。
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ミステリーとしてもすばらしいのですが、単純に全体の雰囲気が好きです。
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20年ぶりぐらいの再読。10回20回と読み返す人が珍しくないような作品なので2回読んだだけの僕が言うこともあまりないのだが、初読ではあまりピンとこなかったことも、震災後の今になって読むと感慨深さがまるで違って、60年以上前に本書が構想されたときから変わらない人間の業みたいなものに当てられ、しみじみとうなだれてしまう。他方で、ミステリー好きとしては読んでいる間の多幸感が何物にもかえがたい。繰り返し読む人が多いわけだ。
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何回読んでも、また読みたくなる本。
短編集なども含めて中井英夫作品は好きですが、
やはりこれが一番思い入れがある。
読後感に読み手がひっくり返されるような展開は基本的に好きなので、
その手のものが好きな人にはたまらないものがあるのではと思います。
タイトルがすべてを物語っているとも。