武器としての決断思考 (星海社新書)

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  • 星海社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385016

感想・レビュー・書評

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  • ◎エキスパートではなくプロフェッショナルになる
    ・エキスパート:ある分野の専門的な知識・経験が豊富でそれを売ることで生きている(例:歯医者とか)→変化が激しくて陳腐化する
    ・プロフェッショナル
     ①専門的な知識・経験に加えて、横断的な知識・経験を持っている
     ②それらをもとに、相手のニーズに合ったものを提供できる
     ★世の中には、それぞれの問題に対するエキスパートはたくsなにても、全体を見て判断できるプロフェッショナルはあまりいない
    ーーー
    ディベートについて
    ・大事なのは、見ている第3者を説得する事(not論破)
    ・準備が8割。根拠が命。(根拠の優劣だけが重要)
    ・枠組み、大きなところから考える
     ①大きな枠組み:日本の大学に進学すべきかどうか
     ②中くらいの枠組み:法学部に行くべきかどうか
     ③小さな枠組み:法律学科に行くべきかどうか

    ・基本:
     主張(原発を廃止すべきである)
     根拠(放射能が危険であるため)

    ・メリットの3条件
     ①内因性(現在ここに何らかの問題がある)
     ②重要性(その問題は相当深刻なのである)
     ③解決性(問題は”この行動”によって解決するのである)

    ・デメリットの3条件
     ①発生過程(”この行動”をとった時、新たな問題が発生するのである)
     ②重要性(その問題は相当深刻なのである)
     ③固有性(現状ではそのような問題は生じていない)
    ーーーー
    ヒアリング:
    ★例外についてきく:
     Aが一般的ですが、Bはどういうケースで起こり得ますか?
    ★反対の立場の人の話をきく。(裏を取るな、逆を取れ)
    ★インタビューはナメられたもん勝ち。なめられた方が相手がよく話す。
    「自分はバカで素人なので何もしらない。ぜひ教えてほしい」
    ーーーー
    議論:
    ★推論に対して重点的にツッコミを入れると効果が絶大
    ーーーー
    ・人は従うべき何かを求めがち。
    ・自分の頭を使って自分で答えを出していくしかない

  • 反論されたとき、否定されているのは「私の意見や主張」であって、「私の人格」ではない、というのは衝撃的な事実だった。

    これまで反論されると、たぶん自分を否定されたように感じ、イラッとして思わず感情的になってしまったり、私はダメだと落ち込んだり、はたまた相手に対して嫌悪感や苦手意識を持ってしまったりしていた... でも否定されているのは私の意見や主張だと整理できれば、落ち着いて相手の意見を聞き、自分の意見を修正できるようになるのではと思った。

    この事実は忘れないように、心に留めておきたい。

  •  2022年3冊目は、瀧本哲史さんの本としました。 実を言うと昨年末に読んではいたのですが二度読み、まとめが出来ておらず年を越してしまっていた本で、早起きできたタイミングで一日で再読・付箋作業を実施しました。 瀧本哲史さん、この本書かれたのはもう10年以上前で、多くの若者に「今の時代を生きるための武器」を与えようとされていたんだなと改めて感じます。
     文末にある「パスカルは難病のため、30代で死ぬ運命にありましたが、そんな彼が、何もかも思うようにはならない厳しい人生を生き抜くために依って立ったこと。それが、『自分で考える』ということでした。」という表現からの一節が、過ぎ去った事実を考えると、すごく心に響きました。 本当にすごい方です。改めましてご冥福をお祈り申し上げます。
     
     本としては、星海社新書から出ている瀧本さんの「武器としての…」関連の書籍の最も初めに出た本であり、京都大学で教鞭を振るわれていた内容を、とにかくわかりやすく学生に届け、「行動」に変えていただきたい、というメッセージを込められた本。「武器としての…」関連のほかの本とも並行して読んでいくと瀧本さんの熱量がすごく伝わるし、今回の本は主にディベートの思考法を軸とした本なのだけれど、最後のメッセージにはこうある。

     「この本を読んで、一つだけ忘れずに心に留めておいてほしいのは、『自分の人生は、自分で考えて自分で決めていく』ということ。思考停止だけは避けるべきだ。決断思考を手に入れたら、明日からの人生を力強く歩んでいってほしい。武器を持った君たちが、未来を作るのだから。」  

     僕としては、瀧本さんのご指摘のようにこうしてディベート思考で考え抜いて決断をということがあまりできるタイプではなく、どちらかというと直感で決めて、黒田博樹さんの「決断(決めて断つ)」から学んだ通り、「決めたほうを正解にする」というタイプなので、決める前に、きちんと「根拠を比較して得た結論」を出せるための参考書として、手元に置いておくこととします。


    以下、引用です。自分へのまとめも含めて記載しています。
    ===========
    P43 これからの時代における最大のリスクは、「変化に対応できないこと」です。
     これまでのやり方や生き方が通用しなくなって困るのは、それが他人が過去に決めた仕組みやルールだからでしょう。誰かの意思決定が役に立たなくなっただけであって、だったら自分で一から決めていけばいいだけの話です。
    (中略)
     こんな状況になったら、このカードを切ろう。あんな状況になったら、あのカードを切ろう――そういった感じに、たった一枚のカードではなく、複数のカードを用意して、変化に応じて最適なカードを切っていく。決断していく。

    P55 議論は、異なる意見、複数の意見をぶつけ合うことで、正解ではなく「いまの最善解」を導き出すためのものであり、その条件として、「言っている内容」で判断する、反論をきちんと認める、ものでなければなりません。
     この掟がまもられていないと、価値観の問題もあるので、議論は平行線をたどって、いつまで経っても結論が出ず、結局、声の大きい人の意見が通るということになりがちです。

    P65 「準備と根拠」がディベートの鍵をにぎる
     さて、ディベートのルールをひと通り確認してわかることは、以下の2つの点が重要になってくるということです。
    ・準備が8割
    ・根拠が命
     まず「準備」。賛成・反対どちらの立場に立つかがわからないということは、あらかじめ準備をしなければならないということです。
     この準備が、ディベートの質を決定的に決めます。
     賛成側・反対側でそれぞれ相手がこう言ったらこう返すとか、考えられる反論の可能性をすべて洗い出しておかなければ、ディベートは一方的で短絡的なものになってしまい、最善解を導き出すようなこともできないでしょう。
     イメージとしては、かぎりなくカードゲームや将棋に近い。

    P103 メリットの3条件
    ①内因性(なんらかの問題があること)
    ②重要性(その問題が深刻であること)
    ③解決性(問題がその行動によって解決すること)

    P124 デメリットの3条件
    ①発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)
    ②深刻性(その問題が深刻であること)
    ③固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと

    P158 「正しい主張」の3条件
    ①主張に根拠がある
    ②根拠が反論にさらされている
    ③根拠が反論に耐えた

    P193
     根拠と推論を正しく捉えることができるようになれば、自分の主張を補強できる(反論に耐える主張を作る)だけでなく、相手の主張を崩すこともたやすくなります。
     ディベートというと、自分の主張を通すことに重点が置かれがちですが、実は逆で、自分の主張を無理やり通そうとしている人に反論することのほうが大事です。

    P237 最後の最後は「主観で決める」
     ディベート思考とは、客観を経て、主観で決断する方法です。
     最初から主観的にものごとを決めるのではなく、一度、客観的に考えてみてから、最後は主観をもって決める。
     そう、最後の最後は、みなさんが自分の頭で考えなければならないのです。
     そこまでの筋道はつけてあげることができますが、価値観や哲学の問題には、自分自身で決着をつけるしかありません。
     (中略)
     どういう生き方を望むか――。
     ずっと何かに頼っていく生き方を望むのか?
     それとも、自分の人生は自分で決めるという、困難ではあるけど自由な生き方を望むのか?
     後者を望むのであれば、ディベートをはじめとする一般教養(リベラルアーツ)は、あなたの大きな武器となるでしょう。 
     人間を自由にするのが、学問本来の姿なのです。
    ===========
     
    以上

  • 自分が論理的思考に慣れてないからか
    少し難しく感じた。
    でも、この本に出てくる決断思考考が出来たら
    客観的に物事を見ることができ、様々な状況に対応できると思う。

    実際この本を読みながら、
    二者択一のディベートを行ったところ
    時間はかかったが、説得力のある結果を導き出すことができたと思う。
    1人で行うと、肯定側と反対側でどうしても主観が入ってしまうことがある。
    その主観を、反論でいかに掘り下げていくこと、
    自分自身に問い直すことが大事なのかを実際に行ってみて感じることができた。

    人は何かを決めるとき、どうしても自分にとって良いこと悪いこと、どちらかに目がいきがちだが、
    肯定と反論を強制的に考えてみることによって、自分の気付かなかったリスクであったり、認識の誤りに気付くことができて、非常に参考になった。

    良いと思った言葉はいくつかあるが、
    その中でも
    「ブレない生き方はヘタすれば思考停止の生き方になる」
    「なんらかの絶対解や真実を求めようとすることは、
    誰かの決めた正解や、すでに役割を終えた古い意思決定に頼ってしまうという、最も危険な考え方、そして生き方に繋がる。」
    この2点が自分にとっては最も響いた。

    自分は元々決断が苦手で、色々調べては決断を先延ばしにするということを行い続けていた。
    情報だけ持っていて、決断はしないということが多く、今の歳になりながらも、何となくで決めて生きてきたように思う。
    だからこそ、読了後はしっかり自分のことは自分でちゃんと考えようと自負自身に喝を入れるような気持ちになった。

    ロジカル思考の技術は初心者には少々難しかったが
    筆者の伝えたかった「人生を自分で考えていくことの大切さ」はしっかり伝わってきた良書。



  • 2冊目(1-2)

  • 若い人向けに書かれた本だがとても参考になった。
    ディベートの方法について詳しく書かれている。
    聞きなれない言葉も多かったが、おおむね理解できたと思う。
    リベラルアーツ=人間を自由にするための学問
    「自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていく」
    人生、残り少なくなってきたが、思考停止はまだ早い。

  • 題名だけだとどのようなことが書いてあるのかなと疑問に思わせてくれる一冊。

    中身はというと、ディベートの基礎(その目的、進行方向、着地の仕方等)を丁寧に教えてくれ、またそのディベートをすることによってもたらされる利点を記しています。

    マッキンゼー出身の天才(偏見?)ということで期待値が高かったということもあったのか、内容にについては残念ながら満足いくものではありませんでした。

    すごく易しくディベートについてかか記されているのですが、新たな発見がなかっっとことに加え、結局抽象的な着地点に向かっている作品であるため、心に響く表現が見当たらりませんでした。

    但し完成は人それぞれ。
    ディベートについて知りたい人は、読んでもいいかと思いますが、正直もっといい作品があるのではないかと思います。

    個人的には読むのに3週間(分量的には1周間もあれば余裕)かかったということが、あまり作品と真剣に向かい合えなかったことを表しているのでしょう。

  • ディベートの基本的な考え方をわかりやすく説明している。ただ、他の本に比べ感動は薄かった

  • 自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていく。

    世の中の考え方や意見が、自分の考え方や生き方と合わないことがあるし、周りが間違った方向に進んでいることもあり得る。

    大学生なったら読むべき本

  • 瀧本哲史さんの本は2冊目。(1冊目は『僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版』)

    本当は『武器としての交渉思考』を読んでみようと思ったのですが、先に本書『武器としての決断思考』を読んでみることにしました。

    ディベート思考は、大変参考になりました。
    ・論題を明確にする「○○すべきか、否か」
    ・メリット/デメリットは3つの条件をクリアしているか確認する
    などは、今までなんとなくやってきたことをロジカルに行うにはこうすればよいのか、と理解はできました。
    ただ、頭の中で毎回ここまで考えてから決断するのはとても難しいなというのが正直なところ。(筆者ほど頭が良くないので。)
    とは言え、重要な局面ではこの思考方法を参考にしていきたいと思います。



    ===
    ▼▼ディベート思考
    ・ディベート思考とは、客観(賛否両論を整理・比較)を経て、主観で決断する方法。
    ・正解ではなく、「いまの最善解」を導き出して、とにかく行動することが重要。


    ◆ディベート思考の流れ
    1.論題「○○すべきか、否か」を立てる。

    2.メリットとデメリットを出す。
     ・メリット/デメリットの3条件をクリアしているかチェック。
      ●メリット/デメリットの3条件
       ①問題があるか?/やると問題が発生するか?
       ②重要・深刻か?(メリデメ共通)
       ③解決できるか?/やると発生する固有の問題か?

    3.主張に反論を加える。
     ・メリットとデメリットの3条件に対して反論する。(6つの方向から考える)

      ●メリットへの反論
      ・そんな問題はそもそもないのでは?
       ①プラン(論題の行動)を取らなくても問題は解決する
       ②そもそも現状に問題はない
      ・問題だとしても、たいした問題ではないのでは?
       ③質的に重要ではない
       ④量的に問題ではない
      ・重要な問題だとしても、その方法では解決しないのでは?
       ⑤プランを取っても別の要因が生じるため、問題は解決しない
       ⑥プランは問題の原因を正しく解決しない

      ●デメリットへの反論
      ・新たな問題は生じないのでは?
       ①プランだけではデメリット発生にはいたらない(他の条件が必要)
       ②プランの影響はデメリット発生にいたるには弱すぎる
      ・問題が生じたとしても、たいした問題ではないのでは?
       ③質的に重要ではない
       ④量的に問題ではない
      ・重要な問題だとしても、すでにその問題は生じているのでは?
       ⑤プランを取っていない現状でも問題は起こっている
       ⑥プランを取らなくても、将来、同様の問題が起きる

     ・根拠や推論を攻める(演繹・帰納・因果関係)
      ●推論(3タイプ)
       ①演繹
       ・前提が間違っていたら、間違った結論に達してしまう
       ・「A→B」だからといって、「B→A」とは言えない。(「必要条件」と「十分条件」)
       ②帰納
       ・事例が少なすぎる
       ・共通項を一般化しすぎ
       ・都合の良い事例、偏った事例だけ
       ③因果関係
       ・因果関係が逆
       ・相関関係と因果関係の混同(相関関係はあっても因果関係はないことがある)
       ・特定の原因にのみ着目

    4.反論に反論する。
     ・反論は2回ずつ。

    5.生き残ったメリットとデメリットを比較する。
     ・判定は「質(重要性)×量(大小・多少)×確率」で考える。
     ・質は、短期的な量だけでなく、長期的な量も視野に入れて考える。

    6.最後は「主観で決める」
     ・判定者の考え方・価値観に差がある。


    ◆情報を鵜呑みにせず、本当かどうかをまず疑う。
    ・強調されるポイントは重要でない可能性がある。
      例:売上を強調していたら、利益に問題があることがあった。
    ・結論ではなく、「理由(根拠)」を聞く
    ・「例外」を聞く


    ◆一番重要なこと
    ・自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていく!

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著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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