日本人のしつけは衰退したか (講談社現代新書)

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  • 講談社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061494480

感想・レビュー・書評

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  • しつけは家庭でするもの,という信念が私にはある。家庭でいわゆるしつけが行われるならば,家庭の実態が異なればしつけも異なることを資料に基づいて歴史的変遷として解説する。家庭に暇な大人がいて,対処する子供の人数がすくなければ関与が多くなり,逆は関与が少ない放任型。孟母三遷の教えがあるが,孟母は直接関与したというよりも環境を選んだ(最後は裁断することで想いを伝えた)。子供は周囲から影響を受ける。家庭はもちろん社会(メディア),学校,友人,近所,等。全てをコントロールすることはできないし,子供時代できたとしてもそれを維持することはできない。子供に教育を受けさせる義務という憲法の呪縛が家庭に子供の行動の原因を帰属させるものかもしれない。「他者と自分の命や健康,財産を害さない,これを破るのは絶対に許さない」という釣りバカ浜ちゃんのしつけが最も穏健で妥当だと思う。

  • 言わんとすること凄く良くわかるし、凄く大事な事だと思うんだけど、いかんせん(たぶん学者として誠実だからこそなんだろうけど)素人読者には「もうわかったからいいよ~」と言いたくなる瞬間が訪れてしまうこともあり…

  • 地域社会が変容して都市化して行く中での、教育、しつけの言説の変化はわかりやすいが、処方箋的なものとか、結局のところどうした方がいいのかは明確には提示されていない。(最後に一応書いてあるけど)「よい」教育、しつけとは、とか。

  • twitterで紹介されていたので古本で購入。
    ・昔のほうがしっかりしつけがされていた、というのは幻想
    ・少年犯罪は現在のほうが減少している
    ・現在の親にかかる育児の負担はけっこうでかい
    こんな感じだったと思う。

    メディアが親の不安をあおってるんだろうな。
    統計データを示しつつ話を展開しているので、説得力がある。気がする。

    子育て中の身としては、ちょっと救われる部分もあったり。

  • パオロ・マッツァリーノの著作に重なる部分があり、知識の補強になった。

  • 「しつけ」なんてことを良く考える年代の方は参考に。
    これを読んで「正しいしつけ」を学ぶことは全くできませんが
    「家庭のしつけの昔と今」「教育全般の歴史的背景」
    は学ぶことができるかもしれません。
    「昔は良かった」というのは常に幻想が含まれている。

    高学歴・高階層の親ほど、わが子のしつけに「自信がある」
    と答え、にも関わらず、一般論としては「現代は家庭の教育力が
    低下している」と答える比率が高い。要するに「自分のところは
    上手くいっているが、世間はひどくなっている」という状況認識なの
    である。 P186

    どきっ、とした人が多いのではないでしょうか。

  • しつけ本を読むなら、その前にこの本を読んだ方がいいかも。良かれ悪かれ人はしつけを受けて、今があり、先入観や、予備知識を持たない人はいない。だから、これを読んで、世にある「しつけ」というものを、一度ただしく認識するべきだと思う。

  • 「昔のしつけはしっかりしていた」というのは極めてあやしいということを順を追って冷静に検証していく書。家庭の形は多様であるから現在の社会問題が親の責任が原因なのか冷静に検討し直す必要があると結んでいる。
    メディアに簡単に踊らされてしまう私たち。本当の問題をきちんと見抜くことが出来なければ情報に飲み込まれてしまうんだろうなと怖くなった。

  • 080508購入。

  • まぁまぁ読みやすかった。

著者プロフィール

1959年生まれ。現在、日本大学文理学部教育学科教授。研究領域は、近現代の教育を広く社会科学的な視点から考察する教育社会学。1997年、『陸軍将校の教育社会史』(世織書房)で第19回サントリー学芸賞受賞。著作に『教育は何をなすべきか――能力・職業・市民』(岩波書店)、編著に『歴史としての日教組』(名古屋大学出版会)など多数。

「2022年 『学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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