- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061497016
感想・レビュー・書評
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「言語学」の「げ」の字もしらない人向け。
もちろんご存知の方にも手に取っていただきたい一冊。
入門の入門といえるくらいわかりやすいけれど、メッセージは力強い。
ことばの世界は楽しい、ってほんとうだったんだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書はスラブ諸語が専門の言語学者(1964-)が、2004年に刊行した言語学の入門書。
【感想】
語り口が柔らかく内容もきわめて易しいので、「初心者に言語学へ興味を持ってもらう」という用途に向いています。エッセイがとても上手い。
ただし、初心者向けに過度に単純化して書いてる部分もある(単に筆が滑っている部分や著者の勘違いは何箇所かある)ので、未来の言語学徒が本書を丸々信じ込むのは結構まずいかも、と教科書を読みがら思いました。
私だったら他の本を推薦します。
【簡易目次】
はじめに
第1章 言語学をはじめる前に ことばについて思い込んでいること
第2章 言語学の考え方 言語学にとって言語とは何か?
第3章 言語学の聴き方 音について
第4章 言語学の捉え方 文法と意味について
第5章 言語学の分け方 世界の言語をどう分類するか?
第6章 言語学の使い方 言語学がわかると何の得になるか?
もっと言語学を知りたい人へ
あとがき -
言語学の入口。そもそも言語学は何を扱うのかという大前提から、言語学の歴史、言語学の諸分野が、具体例と共に、ユーモアを交えて分かりやすく書かれている。ここから興味のある分野を深められるように、参考文献も付されている。
極力専門用語が避けられているので、何もわからない人でも読み通せると思う。反面、もし言語学をかじったことがある人にはちょっともどかしさもあるかもしれないが、用語として何となく入っているものと知識との紐つけができるかもしれない。
ことばは、時としてとんでもない科学・偏見がまかり通ってしまうことがあるが、そういうものにもしっかり警鐘を鳴らす。
「言語学」を学問として学ぶ人だけでなく、「ことばに興味がある」人に、ぜひ読んでいただきたい1冊。
色々心に残ることばはあったけどその中でも
「大切なのは似ていることではない。規則正しい対応なのだ」(p.185)という言葉に射抜かれました。
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読みやすく面白かった。
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大学で語学概論の授業があったので思い返そうと読んでみました。本当に、基本的なことを分かりやすい言葉で書いてあるので、入門にはぴったりだと思います。
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挙げられている本をチェックすること。
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積読から既読へ。新書で持ち運びに便利だからと読むことになった書籍。運命の出会いでしたw シリーズとして読む、には至らないけど一冊はどうにかして読む気になってます。世の中には色々な人がいるもんだなあ。って、本の感想じゃないし・・・
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ことばというのは誰もが使っているものだからか、トンデモ科学・なんちゃって理論がまかりとおってしまうことがままある(この本のなかでも、そんな例は山ほどあがっている。)
本書は、そんなひとりよがりの態度を排し、あくまでも謙虚に、真摯に、論理的に言語に向き合うための手引き。
入門の段階で必要なことが必要なだけ、わかりやすく、はじめての人にも興味をもてるように書かれているし、その先に進みたい人のための目配りも怠りない。
一点だけ物足りなかったのは、専門用語を避けているところ。わかりやすくというコンセプトは分かるが、逆に、あいまいに使われやすい専門用語の定義をきちんと示す、というのも必要なんじゃないかと思う。 -
言語学の入門の入門、といったところか。「言語学って何?」という質問から答えてくれる。そんなに難しいことは書いていないので、初心者にはいいが、これだけで院入試に立ち向かうには無理がある。3年生までに読んで欲しい本。
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大学時代を振り返って、唯一最大の後悔は、言語学をもっとしっかり学ばなかったこと。言語学の授業は取りたかったけど、同じくらいおもしろそうな授業が山のようにあって、正直な話、入学した時点で、4年でとりきれるのか不安だったりした。結局のところ4年使って、必要単位数の1割増くらいの単位をとって卒業したんだけど、もし言語学に本格的に足を踏み入れていたらどうなってたんだろう、と不思議な気分になる。
話がだいぶそれましたが、そんな大学時代のかすかな後悔を補填するために、格好の一冊でした。思えば本格的に言語学に取り組まなかったのは、高校の現代文でソシュールについての評論が載っており、そのわけのわからなさに辟易したのが大きな原因だった気もする。本書にも出てくる、シニフィアン・シニフィエ・パロール・ラングのあたり。あの小難しい解説文ではなく、こんな風に平易な、でも深みのある本にあの時出会っていたら、もしかしたら私の人生変わってたかもしれない。なんてね。
後半、どの言語も平等であるという主張には、ひたすら頷いた。どの言語がきれいとかきたないとか、論理的だとか非論理的だとか、そういう話題はしょっちゅう取り沙汰される(気がする)けれども、そういう論理展開は個人的に嫌だなと思っている。日本語の音がきたないと言われると釈然としないが、日本語の音は他の言語より美しいとか言われると違和感を覚える(まぁ、日本語に限らず)。そんな風に常々思っていたのを、肯定されたような気がして、深く納得。あと、スワヒリ語おもしろそう。抱合語は勉強したことないし、ちょっとかじってみようかな。