- Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061815872
感想・レビュー・書評
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話が進むにつれて、段段と深みに入っていくように感じられて、読んでて夢中になりました!双子が可愛かったです。
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これは、凄い作品です。それしか言えません。
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『虚無への供物』の流れを組む作品なので、かなり雰囲気が似てます。
トリックや犯人探しに頭を使いながら読むよりも、ひたすら字だけを追って、
混沌とした世界観に身を任せるのをオススメする作品。
読み進めるにつれ、小説内の「現実」と「虚構」の区別が
曖昧になってくるのですが、登場人物達の不安と疑惑に引きずられて
いい感じに「匣の中の世界」に浸れます。 -
どこまでもどこまでもめくるめく謎は解けることがないのでしょうか。
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ベースは『虚無への供物』の猿真似。ラストで『ドグラ・マグラ』が顔を出す。欲張ってアレコレ詰め込むなら、有無を言わせないパワーとメリハリが必要だがこの作者には無理。垂れ流し状態の無意味な講釈。不快極まりない的外れの引用。そして、凝った割に個性も共感も見出せない多過ぎるキャラと、彼らの無責任で野暮ったい会話。慣れないモノを食べて全身にアレルギー症状が出たような感じ。強いて評価するなら、本作品のお陰で斜め読みが上達したことだろうか。「奇書」というより「忌書」
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めくるめく本格ミステリの世界。
2つのシチュエーションで物語は展開され、物語は混沌をきわめていく・・・。
数多くの新本格派作家が薦める本格テイストブック -
ミステリー界では何かと評判の高い作品である。アンチミステリーら先駆け?ともいえる作品だとは…思うが。
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本格ミステリを書くというナイルズ、その宣言の通りに密室で死ぬその仲間である曳間。供養の変わりに推理合戦を開くのだが次の章ではこれが作中作(ナイルズの)であることが明かされる。ここでも事件(今度は密室からの消失)がおきて推理合戦が行われる。
しかし次の章に移るとこれが第一章の続きであり第二章が作中作であるということになってる。この繰り返しが最終章まで続き、結局どちらが現実でどちらが虚構なのかが明らかにされないまま物語は終わる。感想サイトを回ると「注意深く読まないとどちらが現実か分からなくなる」とか書いてあるところもあるけど、作中にはどちらが現実とはどこにも書いてないよね。ただ最終章が第一章と同じ空間らしいからそちらが現実で「あろう」というだけで。どちらの空間でも明かされる犯人は意外な人物。トリックも綺麗に決まってるしこれを良く出来た本格としてみることも出来る。また現実?のほうには更なるどんでん返しもあってかなり意表を突かれる。 -
奇数章と偶数章に別れ、前の章で起きた事件が次の章になると、実は作中作であったとなる。これを繰り返されると「じゃあ、一体現実はどちらなのか?」と頭が痛くなってくる。
おかしな話だ。自分が今読んでいるのは小説であって、全てが虚構に決まっているのに。それなのに現実と虚構を求め始める。こうなると、見事作者の術中に嵌っているわけで。密室談義、数学、物理学。衒学趣味に満ち溢れた作品が物語ることは、ひとつ。「じゃあ、そもそも自分がいる現実って何?」 -
竹本健治は20代前半でこの作品を引っさげてデビューしたわけですが、これがデビュー作かと思うと凄いなあ、の一言に尽きます。
推理小説の要素だけでなく、様々な知識を詰め込んだ作品なので、その世界の中に入り込むまではとっつきにくさが否めないのですが(多少解説が冗長過ぎるかな、という箇所もありますし)、ただ、いざ物語に入り込んでしまうと二転、三転する展開にどきどきしてしまいます。
また、その物語構造も面白いと思います。
綾辻行人はこの作品はあえて「本格ミステリ」の名で呼びたい、と解説に書いてありますがわたしはやっぱりアンチ・ミステリの要素が強いなあと感じました。終章の感じが特にそう思わせるのです。
読後感は、『虚無への供物』を読み終わった後と似ている気がしました。『虚無への供物』からの系譜を引き継いでいるからこそ、読後感が似ているのかな、とも思います。『虚無への供物』を読んだ人にはぜひ併せて読んで欲しい作品です。