スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
4.16
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感想 : 348
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061825123

感想・レビュー・書評

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  • 上巻は特に大きな動きがある訳ではないが、それでも飽きずに読ませ、
    下巻で伏線を回収しながら動き出す。
    多視点の小説は面白い。物事は一つの面から見てはいけない。
    それぞれのキャラクターも魅力的で、そのやりとりの中に人生で大事なことも多く含まれていた。
    最後は環とこうちゃんの気持ちに思いっきり泣かされてしまった。
    優しく、切なく、温かく、爽やか。
    大好きな作品。

  • トキワ荘のようにクリエイターたちが集まる家で起こるドラマ。
    キャラクターたちみんな、欠点もあり失言もあり、完璧ではない。いかにもいそうな子たちばかり。
    恋愛したり、喧嘩したりのドラマがそれぞれに切実かつリアル。
    そしてあらゆる謎が次第に解き明かされていくラスト、ちりばめられていた細かいエピソードがどんどんつながっていく。
    伏線の回収は見事としか言い様ありません。伊坂幸太郎級。
    いやあホント外さないわ。

  • 今まで読んできた辻村さんの作品に比べて、お話に凹凸が少なく、個人的には少し物足りなく感じながらも読み進めていた。
    辻村さんの作品は、最初から伏線が敷かれているというのにそれをすっかり失念していた自分が情けなく、まだまだだなぁと思い知らされる。

    不覚にも、涙が溢れる。

  • 最後の謎解きでちょっと分らないところがあって調べてしまいました。
    それ以外は見事スッキリ。
    胸キュンですね(死語)。ちょっと泣きそうになりました。
    若い人向けかな、と思って上巻で少し後悔したけど、下巻最終章では読んでよかったわ~って感じです。架空の人たちなのに、幸せになって!って心から祈ってしまうラストです。

  • 上下巻、一気読み!!特に下巻が好き!おもしろかったし、感動するシーンもたくさんあった。
    コウちゃんと環は以前どこかで会っていること、狩野が漫画以外で一流の仕事をしていること、「コーキの天使ちゃん」の正体、ケーキをくれたサンタクロースの正体、鼓動チカラの正体・・・これらは読んでいく中でなんとなく気づいていたけど、読者に少しずつ気づかせようっていう辻村さんの意図なのかな??後半にいけばいくほどヒントが分かりやすく登場していた気がする。
    でも、莉々亜と黒木の計画や、コウちゃんから天使ちゃんへの恩返し(本を図書館へ寄付、駅にテレビを設置)までは気づかなかったな。。
    コウちゃん、いい人すぎる!神様っていう言葉がピッタリかも。コウちゃんが「神様」、環が「天使」。神様と天使はいつも一緒にいるもんね。辻村さんにそういう意図があったかは分からないけれど、まさしく2人の関係を表しているようだなと思った。
    個人的には、スーの積極性のなさが自分とかぶって親近感が湧いた(笑)スーは人に頼ってばかり。でも優しさだけじゃなくて強さも持っている。そうやって環が、環らしい方法で伝えてくれた。スーはそれに勇気付けられて新しい一歩を踏み出せたけど、同時に私も勇気付けられたよ。環ちゃんありがとう。
    辻村さんのお話は、どれも優しいなって思う。残酷なエピソードもあるけれど、全体的にあったかい。優しくてアツい。

  • 「いいことも悪いことも、ずっとは続かないんです。いつか、終わりが来て、それが来ない場合には、きっと形が変容していく。悪いことがそうな分、その見返りとしていいことの方もそうでなければ摂理に反するし、何より続き続けることは、必ずしもいいことばかりではない。望むと望まざるとにかかわらず、絶対にそうなるんです。僕、結構知ってます」





    「環の話に出てくる登場人物は、たとえどんなにつらい時でもきちんとご飯を食べますね。裁判と裁判の間でも、お葬式の後でも、きちんと店屋物を取ったり、レストランに寄ったり。三度のご飯をきちんと食べる。ーそれが、僕はとてもいいと思う」



    『中学も、高校も。たいていはそこでできた友達をリセットして、だから僕、人間関係が三年周期なんです。部活もサークルも入ったことがないから、誰かに何かを誘ってもらうこともほとんどないまま、生きてきました』






    一気に読んじゃったーあーよかったーーー
    久しぶりに、読み終わって呆然としてしまう本を読めて、嬉しい。
    コウちゃんの小説に環が抱いている想いは自分に重なるものがあって。こんなにも上手に文章化されていてすごい。この筆者も本当に本が好きで好きでたまらないんだろうなぁって思った。
    しかし終章にはやられたなー。まさかの!恋愛ものだったのね!あー、あうあう。
    いい本だった!!!!!

    • koshoujiさん
      初めまして。フォローありがとうございます。
      それにしてもこの「スロウハイツ」、稀に見る感動傑作だと思います。
      本を読んだあと幸せな気持ち...
      初めまして。フォローありがとうございます。
      それにしてもこの「スロウハイツ」、稀に見る感動傑作だと思います。
      本を読んだあと幸せな気持ちになれるものなど、そうそうあるものではありません。
      辻村深月さん、すごいなと思ったものでした。
      しかしながら、今回の直木賞候補に挙がった作品「鍵のない夢を見る」。
      変な話ですが、できれば受賞して欲しくないなあ、というのが本音でして。
      個人的には、「スロウハイツ」や「名前探し」と違い、暗い作風で、あまり読後感の良くない作品なので。
      初めて読んだ人は、「ああ、辻村深月って、こういう作品なのかあ」と感じてあまりファンにならないような気がするのです。
      そこを心配しているわけでして。まあ、勝手な一読者の思い込みですが。
      「スロウハイツ」で感動されたのなら、是非同じような青春群像劇「名前探しの放課後」もお薦めします。
      2012/07/07
  • 赤羽環、チヨダ・コーキを中心にした、スロウハイツの住人のお話です。

    よかったです。
    辻村さんはこういうのも書けるのか~と思いました。
    辻村さんは最後にすべてがつながるパターンが多いですね。
    こういうの大好きです。

  • 伏線ばっかりでぼんやりしていた上巻の
    謎解き版!という感じでした。
    みんなキャラクターが愛らしくてすてき!
    読んでいてわくわくする本でした

  • やっぱり泣かされた。辻村深月にはほんっとに泣かされるなーってしみじみと思う。
    それぐらい、今回もいいなぁ。
    十代の環と二十代のこうちゃん。この二人があんな風に出会ってただなんて。
    初対面だと思っていたあのパーティー会場でのやり取り、こうちゃんの「お久しぶりです」にあんな意味があっただなんて!!
    だめだーっ!! もう泣きすぎて目が痛いーっ!!
    環も、そして桃花も。ほんとうにいい子で。優しくて。そんな二人に何かしてあげたいと思うこうちゃん。
    サンタさんのケーキはもしかして? って思ってたけど、正直待合室のテレビはきづかんかったー!! 図書館の蔵書も「司書のおねえさん、がんばったなー」って程度やったし。
    いやいや、深く読めばそうなんだけどね! 
    ああっ! もうたまらんっ。そして泣いた後のこの爽快感っ。読後感がこれまたたまらーんっ!!
    ハッピーエンドでなによりです。おもしろかったぁ。

  • 取り敢えず、環ちゃん大好きだー!と叫びたい。
    真っ直ぐで、強くて、でも本当は泣き虫で…、頑張り屋さんな子が大好きなので、もう、頑張ったね!と抱きしめてやりたい。
    チヨダ・コーキと環ちゃんの関係が素敵過ぎました。
    遠くからずっと見守ってくれていて有難う。お互いが支えになってたんだなぁ。

    「チヨダ・コーキはいつか抜ける」
    青春のある一部分に響く物語ってものが存在するのは、なんか分かる。あの頃だからこんなに嵌ったんだろうなってものは確かにあると思う。
    悲しいけど、人は成長してしまうから、少なからず好きなものって変わって行ってしまう。でも、その時好きだった気持ちも、それによって救われた心も、忘れてしまう訳じゃないんだと言いたい。

    短編集の方で先にチハラトーコの物語を読んでいたせいか、彼女の事もそんな悪くも思えないんだよなぁ。性格悪い女の子も割と好きなんで。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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