私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061827486

感想・レビュー・書評

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  • あれだけ物理トリックの凄まじさが話題になっていた作者だけど、どんどんミステリとして作品が上手くなっているように感じる。
    この作品集は、登場人物にとっても衝撃の展開が待っている作品が集まっていると思う。

    『恋煩い』
    好きな人に振り向いてもらいたい女の子と、その子が好きな男の子のちょっと甘酸っぱい恋愛短編……と感じていたのに、最後の最後で全てがひっくり返る。

    『妖精の学校』
    記憶を失った少年の視点で物語が進む。それは現実から切り離されたような、童話のような印象を受ける。しかし、結末で(暗)示される真相が衝撃的。まったく思いもよらない角度からぶん殴られた感じ。

    『嘘つき紳士』
    なんというかこう……主人公がかわいそうになる。

    『終の童話』
    怪物や呪いが存在する異世界を舞台に、謎と解決が示される。この世界でなければならない動機もなかなか。そして、ラストの悲劇。

    『私たちが星座を盗んだ理由』
    星座が「盗まれた」理由は、それしかないものだけど、そこに至るまでに描かれた、小さなエピソードや登場人物たちの思いが心に響く。

  • 短編が5つ。
    どれも読みやすい内容でした。
    特に良かったのは『恋煩い』と『私達が星座を盗んだ理由』です。
    『恋煩い』は途中で犯人が薄々分かってはいましたが、最後の一文にくるものがありました。
    可愛らしいタイトルがついている作品が多いのに、内容はドロッとしたものばかりで、そのギャップも良かったです。

  • 素晴らしい短編集です。
    とくに「恋煩い」が良かった。
    終わり方は、シンプルなオチですが
    ミステリとして上手い作りになっています。
    そして、最後の表題作はオチは見え見えでしたが、
    まさに理由は深い。
    いかにも現代日本というものからまるで
    童話のようなファンタジックなものまで、
    その舞台や人物は異なりますが、
    同じ趣向で揃えられた作品群だけに違和感はありません。
    最後に受ける衝撃のあとどう続くのか、
    どんな行動をとるのか知りたくなる、そんな気分です。
    一番そういった思いが強いのは「終の童話」でした。

  • (収録作品)恋煩い/妖精の学校/嘘つき紳士/終の童話/私たちが星座を盗んだ理由

  • なるほど、とは思うもののどうも読後感がよくない。
    タイトルと表紙で期待しすぎた。

  • 衝撃のラストが待ち受ける

  • 読書完了日2013年01月17日。
    ☆的には4.5です。

  • 現代ものあり、ファンタジーテイストものありの、多彩なミステリ短編集。

    裏表紙に「全てはラストで覆る」と煽り文句が書いてありますが、ラスト一行で物語の筋や解釈が全く変わってしまうわけではなく、インパクトのある結末が読み手に驚きと不思議の余韻を残す、という感じ。

    切なさとブラックさが同居した、淡々とした雰囲気でお話が進む中、ラストの反転が鮮やかで思わず「うっ」と声に出してしまったくらい。
    秀逸すぎる後味の悪さに、ヤラれてしまいました。

    抑制された文章の中に心の澱みが描き出される、ほろ苦い味わいの佳作。

  • ”私たちが星座を盗んだ理由”北山猛邦著 講談社ノベルス(注意:2011/03/08発売)

    ・・・短編集。五篇それぞれ趣きが違う話ですが、驚愕のラストという意味では共通しています。
    ”恋煩い”・・・一目惚れした先輩を想って噂の”おまじない”を試す女子高生。
    好みのトリックが使用されていました。トリックの名前もわかって嬉しい短編でした。

    ”妖精の学校”・・・以前の記憶があいままなまま隔離された学校に通いだす少年。そこは妖精になるための学校というが・・・。
    ラストの暗号?が一見でわからなかった。”北山猛邦 妖精の学校”で検索すると、詳細な検証をしているサイトに当たります。

    ”嘘つき紳士”・・・生活に困った男がある日、携帯電話を拾う。持ち主が死亡していることを知った男は、なんとか持ち主の彼女から大金を振り込ませようとするが。
    ラストの一文が怖かった・・・。

    ”終の童話”・・・ファンタジー。人を石化する怪物に襲われた村。少年の憧れの女性も石化されてしまった。
    少年は石化した女性を見守り続けるが・・・。
    ラストは明示されず。どうなったかと考えることでその人の性格が解る・・・のかな?(笑)

    ”私たちが星座を盗んだ理由”・・・七夕の夜空から星座を一つ消した男の子と姉妹の物語。
    ありがちな男の子のその後・・・が、最後に残酷さを見せつけました。

    ・・・裏表示の”全てはラストで覆る!”通りのテクニカルな短編集でした。折り返しにある、著者の”主人公たちの物語は余白に続く”も名文。
    雑誌・ファウストやパンドラに掲載された短編もまとめて欲しいですね・・・。

  • ラスト1行にこだわった作品。米澤穂信の『儚い羊たちの祝宴』に近いだろうか。
    ラスト1行のインパクトで言えば「恋煩い」、タイトルの秀逸さでは「私たちが正座を盗んだ理由」だろうか。
    「妖精の学校」は多分、ネットで調べないとわからないんじゃ…。よく考えられてるけど。

    恋煩い
    妖精の学校
    嘘つき紳士
    終の童話
    私たちが星座を盗んだ理由

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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