- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062940290
作品紹介・あらすじ
伝説の怪盗に、盗めぬものはなし!「誰が(Who?)」「なぜ(Why?)」「どうやって(How?)」を超えた、ミステリ史上初の命題!
愛や勇気など、形のないものまで盗む伝説の怪盗・フェレス。その怪盗が、凪島のアートギャラリーに犯行後カードを残した!
灯台守高校に入学した雪子は、探偵高校と怪盗高校の幼馴染みとともに捜査に乗り出す。だが盗まれたものは見つからず、事件の背後に暗躍する教師の影が。
「誰が?」ではなく「どうやって?」でもなく「何が(What?)盗まれたか?」を描く、傑作本格ミステリ誕生!
感想・レビュー・書評
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どんなものでも盗む事が出来ると言われている凪島の伝説の怪盗フェレス。犯行後に残される署名入りカードが見つかったのに盗まれた物が判らない。何が盗まれたのか?本当にフェレスの仕業なのか?の謎に怪盗高校、探偵高校に進学した幼馴染み達と一緒に雪子が挑戦する、というか巻き込まれる短編3本。何でも盗める、という設定に馴染めていない最初の話は置いていかれた感があるけど慣れてきた二・三番目は成程納得。特殊設定な凪島での日常や謎解き役の雪子の怪しい担任、ヨサリ先生とか良い雰囲気なので続編出ないかな。
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《しまった!いつの間にかはまって一気に読んでしまった‼︎俺の時間が盗まれてる⁉︎》
活躍するキャラが限定されていたので、次巻以降での活躍、お願いします。特にトモちゃん、シシマルくん。 -
ハウやホワイではなく、何が盗まれたのかを問われるミステリー。舞台となる島の設定もかなり特殊ですし、盗まれるものも物理的なものではなかったりなので、やや思考実験的なミステリーと言えます。
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気がつけば『人魚姫』も『人外境ロマンス』も文庫化しちゃってる訳ですが…
タイガの新シリーズということでこちらを読むことに。
今までのミステリにありそうでなかった「何が盗まれたか?」という命題。簡単そうに見えて実際物語にするのはものすごく難しく思えるこれを、さすがの北山氏、独特の世界観の構築によって力技で成立させています。
最初の「標的」からしてブッ飛んでるのでちょっとついていけるか不安でしたが、キャラクターたちもいきいきしているし、何より自分は北山氏の作る世界観が好きなので楽しむことができました。続刊が楽しみです。 -
北山さんの待望の新作は何が(What)を追求する新しい試み。
独特の世界観と大掛かりなトリックを堪能しました。
シリーズのこれからの展開に期待大です。 -
こちらも新シリーズ。
ユニークな設定が北山猛邦らしい。主人公の女子高生も可愛らしい感じ。
続きが楽しみ。 -
★過去など別に惜しくはありませんよ(p.265)
盗まれたものがなんであるかを推理するミステリとは、ちょっと珍しいのかも/しかも、盗まれたものは形あるものではないかもしれない/つづく・・・となっているし全編通した謎っぽいものが出てきましたが、つづくのでしょうか。
■簡単なメモ
【一行目】入学式の朝に遅刻――
【先生、記念に一枚いいですか】飛び降り自殺が発生した場所から盗まれたものは?
【先生、待ち合わせはこちらです】ちょっとした記憶とか身の回りの細々したものとかなくなっているような気がする雪子だった。
【先生、なくしたものはなんですか】怪盗フェレスの隠れ家と噂される建物に入り込むと気を失った。
【アリア】丸代亜里亜。雪子のクラスメート。島内一のセレブ。モデル体型の美人で海外のファッション誌に載ったこともあるらしい。マイペースな感じ。《彼女の存在感は周囲の空気を歪めてしまうとまで云われている。》p.116。そんな彼女にも屈託はある。
【宇宙チョコボール】喫茶「ナサ」で出してくれるらしい。中がカリカリして美味しいらしい。箱で出てくるので市販品か?
【隠れ家】怪盗フェレスの隠れ家と呼ばれているが本人は否定している建物。森の中にあるレゴブロックでできているような廃墟。忽然と消えたり出たりするらしい。
【金立見/かねたつ・けん】探偵。怪盗フェレスの隠れ家とやらの調査に来て襲われた。
【クイーンズ】アートギャラリー。七階建ての高級そうなマンションの一階に入っている。怪盗だらけの凪島では流行らなかった。巨大なライオン像が招き猫代わり。
【携帯電話(スマホ)】《現代人はみんな、携帯電話という便利な道具を持つことによって、自由やゆとり、あるいは「待ち合わせ」という素敵な時間さえ、この時代に盗まれてしまっているのです》p.173
【黒印高校/こくいんこうこう】治外法権的な高校。元が流刑地だった凪島では犯罪者のコミュニティができ、その末裔は必ず身体に黒印があり特殊技能(盗み)を持ち、しかるべきところから重宝されており「怪盗高校」とも呼ばれる。シシマルが入学した。
【コノミ】間木実(はざま・このみ)。自販機の隙間に挟まっていた女子生徒。黒印高校一年。
【仕事道具】怪盗はアンティーク品を仕事道具にすることが多い。
【シシマル】小舟獅子丸(こぶね・ししまる)。色白で華奢で外見だけなら女の子みたい。雪子、チトセの幼馴染み。黒印高校に進学。
【精神系の怪盗】物理的対象てはなく精神的対象、社会的概念や、皆の頭の中にある共通認識などを盗むタイプの怪盗。
【先生】《生徒にとって先生という存在は、結局は謎めいているものかもしれない。》p.182
【大灯台】凪島北端にある灯台。一般の灯台とは趣が異なり城塞に近くイメージ的にはバベルの塔。千年前から灯を絶やしたことがなく島でもっとも神聖な場所。灯台守高校が併設されている。
【チトセ】千歳圭(ちとせ・けい)。雪子、シシマルの幼馴染み。ちょっと不良少年っぽい。御盾高校に入学した。
【灯台守高校】凪島北端の大灯台がそのまま校舎になっている。厳格。今年の新入生は二十八人。雪子が進学した。物好きなタイプの生徒が多いと言われている。入学式は戴灯式と呼ばれ各自小さいガラス管(携帯式灯火管=ケータイ灯)に大灯台の灯を分けてもらいそれは在校中灯り続け、不正を照らし出すと言われている。具体的にはあるものが失われたときに灯が強くなる。
【トモ】棚月朋(たなつき・とも)。雪子と同様入学式に遅刻しかけた生徒。同じ一年A組になった。ポニーテール。運動神経抜群。バレーボールのサーブで「みだれ白虎」とか「いたずら朱雀」とかの技を繰り出す。
【凪島/なぎのしま】舞台となる島。三角おにぎりのような形。面積約二百平方キロメートル。島民人口やく四万人。高校がみっつもあり、三角形のそれぞれの頂点に灯台守高校、黒印高校、御盾高校がある。流刑地だったことがあり島民の約三十三パーセントが犯罪者の血をひく。
【ナサ】島の真ん中あたりにある喫茶店。マスターは六十代の銀髪のアメリカ人で元宇宙飛行士なんだとか。
【ナスダ珈琲】商店街の端にある。経営者は青山一家。
【ニール】ナスダ珈琲の店員。喫茶ナサのマスターの孫でバリスタ修行中。
【間木実/はざま・このみ】→コノミ
【火賀三成/ひが・みつなり】探偵。怪盗フェレスの隠れ家とやらに来て襲われたらしい。
【フェレス】怪盗フェレス。凪島に潜んでいると言われている伝説の怪盗。
【マリモ】マリモには個性があるか?
【丸代亜里亜/まるよ・ありあ】→アリア
【御盾高校/みたてこうこう】この島のエリートが集まる高校。警察や法務省への人材を送り込んでいるが諜報員や探偵なども多く輩出している、別名「探偵高校」。チトセが進学した。
【水戸仁美/みと・ひとみ】凪島新聞記者にして探偵。御盾高校出身。怪盗フェレスを追いかけている男。
【雪子/ゆきこ】神灯雪子(しんとう・ゆきこ)。主人公の「わたし」。灯台守高校に入学したばかり。一年A組。
【夜去廻/よさり・めぐる】灯台守高校教師。三十三歳独身、灯台守高校に入ったのは二十五歳のときだが長年図書館の司書をしていたためあまり知られていない。一年A組担任。遅刻しかけたのでバスを「借りた」。さわやかでいじわるそうな笑顔。 -
ミステリ小説として読むと、物足りないと思う。ファンタジー小説になるのか??