- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061831827
感想・レビュー・書評
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向田邦子さんのエッセイ。
食べ物のこと、旅行先でのことが、興味深く書かれていた。意欲的に生きてこられた方なのだと思った。
特に、「手袋をさがす」が印象的です。気に入るものが見つかるまでは、決して妥協を許さない…今でこそこんな自立した大人の女性が増えてきていますが、向田さんは、そういった現代女性のパイオニアだったのではないでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
キャリアを重要視し、働く女性はみな「手袋をさがす」が好きだと思う。
自分が自分らしく生きることを、潔く自分で認めることの難しさよ。
結婚、出産、専業主婦で〜みたいな「女の幸せ」を手放して、
頑張っていると、ふと前も後ろも見えず佇みたくなる。
これで良かったんだっけ?と自問自答して、夜眠れなくなる。
そんな眠れない夜に読みたい1冊。 -
理想の女性、向田邦子。「手袋をさがす」がとっても好き。
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向田邦子の文章が好き。(他者にも自分にも)観察眼が鋭くて流石だなと思う。手袋をさがすと時計なんか怖くないが特に好きで、自分のことを少し肯定でき心が軽くなった。折に触れて何度でも読み返すだろうと思う。
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著者のエッセイは初めて読んだ。目次を見て「アマゾン」というタイトルが目に止まり「まさかamazonのことではないよな」と思った一瞬後にそんなわけないだろと自分1人でツボに入って何がそんなに面白いのかというくらい笑ってしまった。ただ、向田邦子が2000年代まで存命だったら絶対にamazonについて何か発言していたはずで、自分が生まれる前にこんなに今読んでも違和感のない文章を書いてた人が「○○についてはどう書いたか」と知りたい事柄が多すぎる。本当に惜しい人を早くに亡くしてしまったんだなと今更ながら悲しく思う。
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5年前「手袋をさがす」を読んで、向田さんが大好きになった。
痛いところをつかれた、と思った。なんど読み返しても胸のあたりが「うう」と詰まる。もっともっとと上ばかりを見ていた自分。さらに上をいく人に憧れて、がむしゃらに追いかけては疲弊していた。かといって、妥協をして、手頃な手袋で我慢したところで、結局は気に入らなければはめないのだ。本当にそうだと思った。周りの友人達の幸せそうな姿が、なんだか遠くの世界の出来事のように見えた。
大学の卒業旅行でイタリアで買った大好きな傘を5、6年使っていたが、それが壊れてから、まだ気に入ったものが見つからない。値が張ってでもこれは、と思うものが欲しい。でも、どこにも見つからないから、今は雨が降るたび「いけてないな」と思う傘をここ何年も使っている。
手袋に関して言えば、この小説を読んだ直後に友人がミトン作家になっており、オーダーメイドで思う通りの手袋を作ってもらった。こういう手もあるのか、と思った。あるものを探して見つからないのであれば、自分に合う形を作り出せば良い。手袋であれ、人であれ、仕事であれ、職場であれ。今はそう思っている。
それでも、私が時折この小説を読み返して胸を「うう」とさせたくなる理由は、向田さんが二十二歳のあの冬の晩にした決意が、あまりに男前で涙が出るほど格好良いから。運命の神様にけんか腰でタンカを切ってじたばたしながら「手袋をさがしつづけて」いた向田さんに、喝を入れてほしくなるからだと思う。
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十人並みの容貌と才能なら、それにふさわしく、ほどほどのところにつとめ、相手をえらび、上を見る代りに下と前を見て歩き出せば、私にもきっとほどほどの幸せはくるに違いないと思いました。そうすることが、長女である私の結婚を待っている両親にも親孝行というものです。
—今、ここで妥協をして、手頃な手袋で我慢をしたところで、結局は気に入らなければはめないのです。気に入ったフリをしてみたところで、それは自分自身への安っぽい迎合の芝居に過ぎません。本心の不満に変りはないのです。
—でも、この頃、私は、この年で、まだ、合う手袋がなく、キョロキョロして、上を見たりまわりを見たりしながら、運命の神さまになるべくゴマをすらず、少しばかりけんか腰で、もう少し、欲しいものをさがして歩く、人生のバタ屋のような生き方を、少し誇りにも思っているのです。
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とてもいい本だった。
手袋の話しが好き。 -
皆さまのレビューと同じく、最後の3編が特に良かったですね。
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「手袋を探す」がすきです。