- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061838581
感想・レビュー・書評
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あいかわらずおもろい
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「トレフル」という雑誌に掲載されていた短編集。
タイトルからして「どういうこと?」って感じで、他の話もかなりファンシー寄りだった。著者の独特な言い回し、回りくどさが全開に発揮されていて好みは分かれそう。でも1つの事象に対して逡巡する様を描写することが文学だと思っているのでノルウェーの森しか読んだことのないハルキビギナーの僕でも楽しめた。「一瞬の夢」という言葉が本著を表すのにふさわしいと思う。何かが始まってその刹那には終わってしまっていて実態を思い出そうにもぼんやりしてる、みたいな。(あとがきで本人が書いているのは「長編のためのスケッチ」となっていた)なのでリアリティのある話とファンシーな話が混在していて僕は前者の方が好きだった。お気に入りは「彼女の町と、彼女の緬羊」、「スパゲティーの年に」 下手すればソシオパスなニュアンスを感じる主人公を通じて、スパゲティに孤独を象徴させている点がオモシロかった。The Doobie Brothers 「South Bay Strut」をテーマにしたチャンドラー風探偵物語な「サウスベイ・ストラット」もナイス。読んだあとに曲を聞いたら超アーベインだった。インストなので聴きながら読んでもよかった。合間に挟まれるイラストがとてもかわいい。直接物語と関係したイラストではないのが斬新。閑話休題としてのイラストだった。 -
初めて読んだのは、もう25年くらい前になる。
それ以降、たぶん年に1回くらいは読み返してる。
二十歳前後くらいで出会った小説や映画に、影響を受けてしまう人は少なくないと思う。中でも村上春樹は劇薬の類だと僕は思っていて、当時の自分を振り返ると、いろいろと赤面しそうになる。
で、本書を読み返すと、その頃の記憶も一緒に蘇って来て、今となってはそれもまた面白い。
収録作品はどれも、それぞれに好き。「あしか祭り」とかは毎回笑ってしまうし、「スパゲティーの年に」はいかにも村上春樹っぽい文章が好き。
きっと、これからも何度も読み返す一冊。 -
「4がつのある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」この文章に惹かれて、本文はどんな話なのかと気になり、購入。この話はそこまで面白くなかった。
好きだったのは「1963/1982年のイパネマ娘」、「バート・バカラックはお好き?」、「5月の海岸線」、「図書館奇譚」
音楽にまつわる話だと好きになりがちだ。
小説はその情景が思い浮かんでくるところが凄く好きだ。 -
短編だから気抜いて読んだら訳分からなくなりました。
頭使います。
うーん。 -
単純にわたしの感性では受け止め切れなかった。柔らかさのない鋭角、翻訳された本を読んでいるような感覚に陥ってしまった。
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一つ一つの話は短いのにその中身は村上ワールドに溢れている。「4月のある晴れた朝に〜」の話は題名から絶対好きだと思ったがとても良かった。1つの出来事をあんなに素敵に膨らませて描写できたらどんなに良いだろうかと思った。
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村上春樹初期の短編集。あたたかさ、ゆるさ、ユーモア、不思議、そしてほろ苦さ。村上春樹らしいエッセンスに満ちた物語たちには、ゆるく楽しいぬくもりの中に、スパイスのような切なさが加えられています。
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「ぼくもショートショートを書いてみたい」と村上春樹が書いたような短篇集でした。
中には1973年のピンボール並にとりとめのない話もありましたが、その不思議な世界により触れてみたくなるというか、一歩踏み込みたくなる話もありました。
「眠い」が特にそう感じました。なんなら映像化したら面白そうだな、とひとりカメラワークや構成を妄想してしまいました。
それにしても不思議なのが、村上春樹と羊との関係。
今回の「図書館奇譚」にも例の羊男は現れ、他の話にも「羊」「緬羊」という言葉がちらほら。村上春樹は羊にどんな思い入れがあるんでしょう。
あとは、ミシシッピという単語のつづりの奇妙さ。Mississippi。ね?