走れ! タカハシ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061844445

作品紹介・あらすじ

ヨシヒコが走るとき、何かが始まり何かが終わる。「ファーストベースにヘッドスライディングしてもそれが様になる日本でも珍しいプロ野球選手」と著者が激讃する広島カープ高橋慶彦遊撃手の輝ける肉体を軸に、野球を楽しむ普通の人々を配した軽快な短篇集。時代を駆け抜ける爽やかな風とともに贈ります。

感想・レビュー・書評

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  • 最後の話が一番良い、本当にありそうだし、登場人物がチャーミングだし。
    しかし何でこんなに所謂猥褻な言葉を並べるのかなぁ、昔から疑問に思っておりましたが、今もって不明。これで何かに刺さるとは思えないんですが。まぁ人それぞれってことかもしれません。
    ただ最後にひとつだけ。「走れ!ヨシヒコ」じゃないですかね、本当は。タイトルだけから、という強引さをあえて否定しませんが、この作家、野球を心から楽しんでいないと思われても仕方ないなと正直感じます。

  • 何年ぶりかの再読。何か困りごとがあって、それを解決するために、広島のプロ野球選手高橋慶彦の盗塁が、ホームランが、あるいは彼に頼み事したり、話してもらったりすることで、いい方向にも悪い方向にも転がっていき。たとえ悪い方向でも、人生そういうものといさぎよく受け入れたり。自分のみっともなさ、なさけなさをかかえて、せいいっぱい走り回ってる人たちが、それでも一瞬、天から細い糸を垂らしてくれる存在、それがタカハシ、といった設えが多かったように思った。◆幸福は必ず秘密と嘘に支えられているものなのだ◆「タツヤは、他人に不幸の可能性があるのが我慢できないんだろ?それ、悪い癖だぞ、人は自ら不幸へ向かって旅立つこともあるんだ」◆「プライドは感情じゃないよ、おまえ小説家のくせに、だめだなあ、プライドってさ、自分をよく知ってて、だめなことはだめってはっきりさせることだろう?自分のスタイルを通すことだぜ、違うかな」

  • 新しいタイプのスポーツ小説?だった。タカハシが高橋慶彦の事だとは思わなかった。今の時代でゆうと阪神の近本みたいな選手なのかな?今年こそ阪神は優勝できるかな。

  • よくわからないあるよ〜

  • 高橋慶彦は今でいう「イケメン」ではなく「男前」だった。
    顔だけでなくプレーにも華があった選手というイメージかな。もう30年くらい前の本になるんですね。
    出て来る現役選手がもう昭和(笑)
    そうだね、ジャイアンツの4番は原辰徳だったね。
    各主人公達がカープの高橋慶彦選手のプレーに賭ける。
    一人は告訴を取り下げて欲しい、一人はヒモになりたくない等々。皆その想いを載せて声をかける「走れ!ヨシヒコ」と。
    その高橋選手自身は全くセリフも何もない。
    ただプレーするのみ。
    ところで人間の三大欲求は「睡眠欲」「食欲」「性欲」だそうな。
    ここに登場する男どもはまぁ「欲」に素直だ。特に「性欲」。
    人間ストレートにバンって書かれると読んでても流せるものなんですね。(まどろっこしい所がなく)この本を読んでてそう思った。

  • 衣笠選手追悼の思いを込めて再読してみた。さすがに高橋慶彦だけをモチーフに連作短編集を仕上げるのはちょっと苦しかったかなって気がしないでもないけど(龍さんの本は完成度に波があるからね…)、とても興味深かったのは、いくつかの作品から、この後龍さんが描く名作群の萌芽みたいなものが垣間見えたこと。この直後に書かれた『69』につながる青春ものあり、『昭和歌謡大全集』みたいなオバサン仲間物あり。わりとほのぼの&軽妙な雰囲気のお話が多いなか、異彩を放ってたPART6『調書を全部何回読んでも、わからんことがある、どうしてお前はあの女を殺さなかったんだ?』は『ミソスープ』&『共生虫』だよね。そして、ラストのPART11のおじいちゃんはもしかして最新作『オールドテロリスト』につながってる?
    ホモとかブスとか今ではちょっと使えないワードが結構出てきて、当時は気にせず読み飛ばしていたけど、今となっては、読んでるこちらが居心地が悪くなるほどで、社会全体の意識の変化を身をもって感じた。その種の言葉はどんな文脈であれやはり避けてしかるべきなんでしょうね。
    衣笠選手は、ある短篇ではソロホームランを放ち、ある短篇では打てなかったヨシヒコを慰めていた。当時高校生だった私は、この本を読んでプロ野球に興味をもち、せっかくだからとカープを応援してみた。そしたら、その年リーグ優勝してくれて、とても嬉しかったことを思い出す。ご冥福をお祈りします。

    • niwatokoさん
      わたし、野球知らないからそもそも高橋選手も知らなかったんだけども、この本はすごく好きだった記憶があります。あんまり覚えてないんだけど、すごく...
      わたし、野球知らないからそもそも高橋選手も知らなかったんだけども、この本はすごく好きだった記憶があります。あんまり覚えてないんだけど、すごく後味がよくて希望もてる話とかあったような。このあとだんだん龍さん読まなくなっていってしまったんだけれど。読み返してみたくなりました。
      2018/05/02
    • meguyamaさん
      私も読んだ当時は野球よくわからなくて、この本で興味もちました。龍さんにしては力が抜けてて、別にいいことはないんだけどなんとなく希望がもてる、...
      私も読んだ当時は野球よくわからなくて、この本で興味もちました。龍さんにしては力が抜けてて、別にいいことはないんだけどなんとなく希望がもてる、みたいないいお話が多い気がします。
      2018/05/03
  • なんでもかんでも高橋慶彦が走りまくりながら話が進む(笑) 韋駄天タカハシ 懐かしい時代です! こんなのも
    あり ですね♪

  • 良い本です。

  • 約15,6年ぶりに再読。
    当時大学2年生くらいだったと思いますが村上龍を読み始めた頃で
    とても刺激が強くて面白い作品という印象でした。
    最後のタカハシの真似をして工事現場で盗塁をするおじいちゃんの話だけは
    強烈に印象に残っていて覚えていましたが他の話はすっかり忘れていました。
    基本的にタカハシヨシヒコがちょっとだけ出てきて物語に彩を添える
    (あるエピソードは重要な役割で、あるエピソードではちょい役で)
    という流れは共通でどの話も面白くはあるのですが
    とても面白かったというイメージだけが先行して期待が膨らみ過ぎたのか
    どれもあと一歩期待に足りないというかそんな感じでした。
    (おじいちゃんの話は相変わらず良かったですけど)
    自分もちょっと大人になったということでしょうか。
    それとも最近プロ野球の試合を全く見なくなったからでしょうか。
    (前に読んだときはそれはプロ野球大好きでした)

    でもこの話を読んで(奥田英朗の「どちらとも言えません」も同時期に読んで)
    せっかく神宮球場の近くに住んでいるのだから野球見に行こうと思いました。

    この作品の中で印象に残った場面。
    男がオカマになっていく様子が面白いPART10で主人公の娘が
    母親と一緒に出て行かなかった理由が最近「クレイマー、クレイマー」を見て
    感動したからといっていたところ。
    この娘は一緒にアイスクリーム食べようと思ったと言っていますが
    私はフレンチトーストを一生懸命作るシーンがとても好きで
    息子が出来たら一緒に作ろうと思ったのを思い出しました。

  • ここ一二年、野球を面白く感じるようになった。特に、日本シリーズとWBC。
    大の大人が、全身の力を使って一発入魂の真剣勝負ですよ。観ているほうも、思わず言ってしまう、走れ、山田!走れ、松田!

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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