迷路館の殺人 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061852266

感想・レビュー・書評

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  • 「迷路館の殺人」
    「迷路館」での一世一代の大勝負。


    はい。館シリーズ3弾です。島田潔が、坊さんスタイルで登場する本作は、ギリシア神話に出てくるミノスの迷宮をイメージした建物が舞台です。


    推理小説の大御所宮垣は、ある選考会を実施する。弟子達に迷路館を舞台にした小説を書けというのだ。審査員から選ばれた一作を書いたものに遺産を分配する。ただし、主催者宮垣自身は自殺してしまっているが・・・。この異様な状況の中で弟子達は、師匠の遺言の下、執筆に取り掛かる。


    遺産分配額を増やすため、弟子達が狙われるのは想定の流れですが、事件のテンポが早い。ここがまず驚き。どんどんやられて行きます。じわじわ1人ひとり殺され、恐怖が迫るというホラー要素は薄めです。こちらが疑う前に本当にどんどんやられてしまいました。犯人、性急にことを済まさないといけない理由でもあるのかと疑うくらい。


    しかしながら、別に性急にする理由があったわけではなく、入念な準備と迷路館の仕掛けがあったからこんなに早く殺戮が行われてました。仮犯人を立てたところを含めたトリックは、読者を引っ掛ける気満々ですね。王道ミステリーのトリックから生まれたモノも多くあり、その点でも意欲を感じました。


    そして真犯人。動機は、ばっちし。しかし、巻き込まれた弟子達は不憫だなと思いました。あと秘書も。


    最後の島田話の引っ掛けもあります。推しはトリックです。

  • 著者の館シリーズ第3作目は、迷路の館で推理小説作家と評論家を巻き込んだ殺人事件のお話です。
    建築家・中村青司の建てた館と、探偵役・島田潔の因縁めいた巡り合わせもストーリーを盛り上げます。
    巻き起こる惨劇と、思い描いてもいない大どんでん返しで、最後まで結末が全く読めませんでした。

  • 弟子を殺し自ら命を断った小説家。
    在り来りな推理だなと思っていたが、最後の章を読んで驚いた。
    言われてみれば明確に記述された文章は無く、勝手に想像した姿だったな…。

  • 館シリーズ3作目。
    作中作のお話は初めてで、本の中に本があるのが面白かった。
    スマホではなく黒電話、パソコンではなくワープロが出てくるところに時代を感じる(笑)
    時代の進化は話の展開を狭めてしまっているのかもしれないなぁ。

  •  久しぶりに綾辻行人読んだのですが、最後の最後まで読んで、ああそうだ、こういう話書く人だったってやっと思い出しました。本格推理の要素に加えて、叙述トリックを最大限に使うのよね……。そうだった。

     内容、展開は気持ちよーく推理もの。ただ、叙述トリック込みなので、こっち側に全部を読み解く裁量は、あまり与えてもらえない。自力で解くぞ、みたいな読み方がしづらいのですが……この辺は好みだろうなあ。

     ワープロとか、フロッピーとか、あの当時ならではの要素が懐かしかったです。こうやって小道具が古くなっていくのは、推理ものの宿命だろうか、とも。

  • 館シリーズは独立しているので、これだけで読んでもいいとは聞いていたけれどやっぱりシリーズ通して読んでいてよかったなと、読み終わった時にそう思いました

    まずは文庫の中で文庫を読んでいくという不思議な感覚
    そしてその作者を予想しながら本編(という名の文庫の中の文庫)を読んでいくのだけれど、見事にミスリードされました。

    文庫の中の島田の謎解きが完了したとき
    がっかりしてしまったのですが
    そのあとのあとがき、そして冒頭部分から仕掛けられていた
    叙述トリック
    がっかりからのどんでん返し、そしてまたどんでん返し
    一気に、これすごい!という感想にひっくりかえってしまいました。

    名作といわれるものは、やはり名作だったのだなぁと思いました。

    作中使われているトリックが古すぎて到底考えが及ばなかったのは仕方ないですが、昔のワープロの仕様などがわかってちょっと面白かったです。

  • 逆転に次ぐ逆転という結末は面白かった。
    作中作という形式は初めてだったので、真相が明らかになるクライマックスが早く訪れてしまい戸惑った。
    確かに最後は「あーっ!」という裏切られ感はないことはなかったが、しりすぼみ感も感じた。
    本編の推理がサクサク進みすぎている感じがした。

  • 再読。だいぶ前に読んだきりだったので、内容についてはほとんど記憶に残っていなかった。ただ何となく『首切りの論理』における犯人の出血を隠すため、という部分の『犯人の出血理由』が月経であるということは覚えていたが、「飯島智生が女性」であることはすっかり忘れていて、まただまされてしまった。第二の清村殺害の際の石膏マスクのすり替えにはすぐに気が付いたが。。。ギリシャ神話の内容をなぞらえつつ、アンフェアにならないぎりぎりのラインで読者をだます手法はさすが。何度読んでも楽しめる作品。

  • 作中作中作。ダイイングメッセージ。見立て。他多数…。
    過剰にも思えるほど、凝りに凝った仕掛けが魅力的。
    平面図だけでテンション上がったのは自分だけじゃないはず。

  • 2015.5/24〜26。館シリーズ第三弾。舞台は迷路の館。実際に起こった殺人事件を下敷きにした作中作という構造。今回もたくさんひっくり返されて大満足。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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