変身 (講談社文庫)

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著者 : 東野圭吾
  • 講談社 (1994年6月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856981

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変身 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 私自身は活字を目で追っているだけ、なのであるが。

    きっと脳内では
    得た情報を次々に高速処理し、
    認識され、記録され、映(想)像化する為のなんらかの処置がなされ、
    こんな私にでも理解出来るように、と
    忙しく動き回っているのであろう。

    こんな風に、
    自分と考える脳のことを切り離して思ってみたのは初めてだ。
    そして、
    その事をとても怖い、と思った。

    今は従順で平和な脳が、
    なんらかのきっかけで暴走し始めたら?

    体を支配し始めたら?

    自分が信頼している、今の自分が消えて、
    全く別の人格にて、乗っ取ろうと脳が企てたら?

    物語の主人公は、
    ある事故がきっかけで、脳にひどいダメージを受けた。
    今の医学では
    当然認められていない『脳移植』の手術をうけ、
    誰のものともわからない、
    他人の脳に命を救われたわけではあるが、

    やがて、その脳は
    体を得た事で、蘇ったように主人公の体を支配し始める…

    と、言う恐ろしい物語。

    自分の核となるものは一体何なのか?

    生かそうとする脳なのか?

    生きたいと願う体なのか?

    経験が培った心なのか?

    存在意識を抱えた魂なのか?

    それとも…。

    答えも見つからぬまま、物語の幕は閉じられた。

    二度と踏み入りたくない世界感であったが、

    二度も読む返す必要は無いほど、記憶には深く焼きついてしまった様だ。

  • 今でこそ、数々のSFやサスペンスで描かれる「脳モノ」。
    映画やドラマ、小説等で触れる機会も多いせいか、本書を手に取った際、裏表紙のあらすじや帯のコメントを拝見して、なんとなく話の流れを想像してしまう本作。
    そうとなれば否が応でも期待とともに注目してしまう、その「変身」ぶりと、東野小説ならではの文章表現。

    「圧倒されました...」というのが正直な読後感です。

    主人公である成瀬純一の「変身」ぶりとそれに対する本人の恐怖・葛藤。
    立場・考え方・関係性がそれぞれに異なる周辺人物たちの人間模様。
    本作では、そのひとつひとつがとても丁寧に描かれています。

    また、物語の「視点」は終始、主人公の視点。
    他の登場人物のメモや日記という形で、異なる視点からの補足はあります。
    が、主たる「視点」が一貫しているからこそ、自らが「変身」していく様子や恐れ、周りからどのように見られ・周りの人間を信じてよいかどうかの不安を、主人公と同じ目線でより深く追体験できる。
    これが、より一層「変身」を引き立てます。

    ときにグロテスクな描写もあります。
    でも、だからこそ、「変身」前後の変化が際立つのかもしれない。
    また、そんな描写があるからこそ、それに抗おうとする姿が際立つのかもしれません。

    「生きているというのは・・・(中略)。それは足跡を残すってことなんだ。」という印象深い台詞。
    これに「後ろにある足跡を見て、たしかに自分がつけたものだとわかるのが、生きているということなんだ。」と続きます。
    誰しも、忘れてしまいたい過去や断ち切りたいしがらみなども多々あることでしょう。
    けれど、それらを全部ひっくるめた「足跡」によって、今、自分が生きていると実感できるのかな...とも思います。

    読了後のこのずっしり重量感。
    人間をつくるもの。自分を構成するもの。自分の思考や心はなにでできているのやら?
    ときには、そんな重いテーマに想いをはせるのも一興かもしれません。

  • 「アルジャーノンに花束を」を読んでまた読みたくなったので読んだ。
    この本を読むのは四度目か五度目だ。それくらい好きなんだけど、何故か俺の周りの評価はあまり高くない。友達は「胸糞悪い、二度と読みたくない」と言っていた。まぁそう言われれば確かにそうだ。
    人格の変化を表すために人を傷つけ過ぎかも知れない。それでもラスト10ページは何度読んでも感動出来る。
    また個人的な事を言わせてもらえば、京極の妹はもう少し出しゃばって欲しい。

  • 今まで読んだ東野圭吾の中で僕は一番好きです。死とは?自とは?人の死に対する概念の集約。物語は世界初の脳移植患者が、前の脳の持ち主に自分の脳が支配されていくというシンプルな物語。その脳のドナーや背景、人物像の設定、スピード感、愛、死、自我、すべてが良くて、一気読みできます。何回も読んで、何回も教えられる深い小説。大好きだ。

  • 全体的に暗いお話




    脳を移植されたらイライラする気持ちも映るのだろうか?
    それを抑える前頭葉は??

    国家の研究の被害者であることには同情出来るが、
    恨み、イライラだけで人をバラバラにしておいて、社会的制裁が無いのはいまいち理解できない。

  • 自分だけど、考えてるのは他人の脳ってこわいな。それはつまり、自分じゃなくなるってことだから。
    読みやすくて、どんどん読めた!

  • 「お利口さん」と呼ばれている主人公の成瀬は、
    不動産屋で強盗に遭遇し、頭を打ちぬかれたものの
    脳移植手術により奇跡的に回復したのだが・・・
    少しずつ変化していく自分への恐怖が結構リアルで
    その変化の具合が堂本教授と、成瀬の恋人である葉村恵の日記で
    外側からみた成瀬の変化が伝えられるので
    そのドキドキ感はたまらなかったです。
    ドナーの正体については、早い段階でわかっちゃったけど
    それでどうなるのか想像がつかない。
    成瀬にしてみたら、悲劇ではあるけれど、最後の選択だけは
    なんというか、ある意味ハッピーエンドなんだと思う。

  • 人格が変わったのは特異な状態の影響。自分の奥底にある部分が表に出てきたからと深読みしすぎてしまいました。人格が段々と変化するにつれて読むスピードも上がり中盤からは最後まですぐに読み終わりました。

  • 一言、怖い作品であった。だからこそ、次の展開が気になり、読み進むスピードが自然と高まる。裏の事情をそれぞれの登場人物の日記という形で上手く描写し、全体像を表している。

  • 僕が読書にハマるきっかけになった本。話の展開は比較的読みやすいが最後の一行がたまらない。

  • 主人公の変化を関係者の日記を織り交ぜながら展開する珍しい文体。テーマが脳移植による人格変化と死について。今の所技術的・論理的に脳移植は許されてないが、献血同様要件を満たせば可能という仮定にした点が興味深い。結末は読んでみてのお楽しみ♪

  • 一人称が変わるタイミングがまさにあそこしかありえない。
    文章を読んでいて何かが引っ掛かり、少し戻って読み直してみると、語り手の一人称が僕から俺に変わっている。とても地味だが他人の意識に脳を乗っ取られる恐怖感がもっとも生々しく伝わってくる箇所。

  • 私にしては珍しく最初の方で、
    実は殺人犯の脳が移植されていたんじゃないか…、
    というオチが予測できてしまった。

    うーん…
    東野さんの本はどれもこれも好きだけど、
    しいて言えばこの作品が私の中でのワースト1です。
    今のところですが。

    結末がなんだか悲しい。
    主人公が残酷な殺人を犯してしまうところも、
    なんとも残念。
    今まで読んだ東野作品の中で、
    ここまで残虐な主人公はいなかったので。
    本来の主人公はすごく優しい人、ていうのは分かるんだけど…。
    うーん。。

    あと、『アルジャーノンに花束を』に似てる気がした。
    日記がたびたび出てくるからでしょうか。
    まぁ全然似てないっちゃ似てないんだけど、
    なんとなく共通するところがあるような。

    20071109

  • 今までの作品と違って、少し残虐な作風になったように感じられます。救いがないと言ったらいいのか。内容的に緻密に書かれていて、読んでいて引き込まれますが、ラストが悲しくて何とも言えません。
    前回読んだ、宿命で一部脳をテーマにした部分がありましたね。もしかしたら既にその時に次回作は脳移植をテーマに、と考えていたのかも、と読みながら少し思いました。

  • 終盤近くまで、実は少し退屈だなと思って読んでいた。
    東野圭吾のSFって、あんまりおもしろくないな、と。
    ミステリとして読んでも、ドナーの正体なんてすぐにわかる。
    落としどころはどこなんだろうと思って読んでいたら、状況が収拾つかなくなってきてからが、俄然面白くなってきた。

    最初はボタンの掛け違えなんだと思う。
    医者を信じつづけることができたのなら、ここまで悲劇的な終幕を迎えなかったのに。
    けれど、人間不信であったドナーの行動により、どんどん事態は悪化していく。
    事態の悪化よりも早く本人が悪いほうへ思いつめていく、その加速が悲しくて。

    ストーリーと直接関係はないけれど、脳と自己について。
    心と言うのは脳の発する電気信号に過ぎないという考え方をベースにすると、どういう刺激を受けるとどういう信号が発せられて、どういう反応になるのかというのは純一かドナーかの二者択一なのではなくて、おたがいに影響を与え合った結果の新しい人格に変わっていくのではないかと、私は思う。

    電気の通り道が変わるということは、伝わるに必要な距離や時間も変わるわけで、そうすると以前にはなかった負荷がそこに加わったりなんかすると、以前とは違う反応になるわけで。
    それが繰り返されると、どちらの人格とも違う別人格になるのではないかと。

    いや、これも妄想なんですけどね。
    読み終わった後、そんなことをうだうだボーっと考えていた。
    ということは、面白かったということか。

  • 結構淡々と読んでいたけれど、ラストのほんの短い1行で泣いた。

  • 連続ドラマW「東野圭吾 変身」
    WOWOWプライム 日曜22時
    出演:神木隆之介、二階堂ふみ、臼田あさ美、渡部豪太
    http://www.wowow.co.jp/dramaw/henshin/

  • 脳移植により別人格に徐々に自分が変わっていく…。現実にはなさそうだと感じながらも、ぐいぐい引き込まれ、主人公に感情移入してしまい、とても哀しくなってしまった。

  •  生きているということは、単に呼吸しているとか、心臓が動いているとかってことじゃない。脳波が出ているってことでもない。それは足跡を残すってことなんだ。

     2013年の12月30日から読み始めた東野圭吾さんの『変身』を2014年、元旦の朝に読み終えました。冒頭では、池井戸潤さんの『民王』や高野和明さんの『幽霊人命救助隊』のように、コミカルなタッチで何かを風刺するような楽しい中にもピリッとした辛さを効かせた物語を期待させるような感じもあったが、結果的に極めて重い読後感でした。

     私が読んだ作品の中では『眠りの森(1989)』の後の1991年に刊行された作品なので、東野氏が『名探偵の掟(1996)』で注目を集め、『秘密(1998)』で大ブレークする前の作品です。
     当時は、脳移植という荒唐無稽な設定が受け入れられなかったのかもしれませんが、純一に現れた症状は、統合失調症でも起こりうる可能性が考えられることが示唆されており、そうだとすると、心理学や脳科学の分野から見てもインパクトの強い作品だったのではないでしょうか?

     私は、このようなテーマの料理の仕方に著者の才能が感じられる秀作だと思う。

  • 平凡な青年・成瀬純一が強盗事件で頭を撃ち抜かれ、
    世界初の脳移植手術が成功し一命を取り留めるが、
    ドナー提供者の意識に支配されていくという話です。

    ドナー提供者が誰なのかという謎は、ひねりがなく判り易かったです。
    東野作品は相変らず“謎説き”には力をいれていませんねぇ。
    そのかわり、いつものことですが、物語のテーマで読ませますね。

    本作のテーマのひとつは「変身願望」、
    そしてもうひとつは「人には死を判定できない」というテーマです。

    嫌なことをされても我慢してしまうおとなしい純一が、
    嫌な相手を徹底的に叩き潰す性格に変貌します。

    高飛車の美人助手をものにし、かつてのいじめっこを半殺しにしてしまいます。
    少なからず純一に感情移入できた読者は、復讐劇にきっとスッキリすることでしょう。

    しかし純一は何者かに意識を徐々に支配されることに抵抗します。
    脳片という小さな塊にすぎないにも拘らず、ドナー提供者が生きていたのです。
    心臓死の判定がなされ、脳波は停止したが、脳細胞のひとつひとつは生きていて、
    だからこそ移植が出来たのですが、移植先で意識が再生しました。

    では、人の死とはなんなのでしょうか。
    そもそも、人間に死の判定などできないのではないでしょうか。
    科学が知り得る限りの生命反応がすべて消えたとしても、
    人間は密かに、全く想像もしない形で生きているかもしれないのではないか。

    という問題提起でお話は幕を閉じました。

    技術畑の東野圭吾は、「分身」に続き、本作でも科学の進歩と限界を描いています。

  • カフカではなく東野圭吾の『変身』。
    脳移植で人格が変わるというSFだけど、現実味がなく不快感が残ったかな。
    作中の女性とか刑事とか、登場人物がとにかく理解不能。狂ってるとされる主人公が一番まともというか…。
    ただ狂っていく過程は、なかなか迫力がありました。

  • 脳移植をしたことにより、本来の人格が徐々にドナーの人格に支配されていくという話。
    少しずつ蝕まれていく様子は、もうホラーとしか言いようがない。
    やっぱり人間は、生きていればいいなんて単純なものじゃないよね。

  • 物語はごく平凡に生きていた主人公純一が、ある日強盗殺人事件の被害に遭い、世界初の脳移植手術のおかげで命からがら助かったというところから始まる。脳移植手術は成功したかに思われたが、実はある致命的欠陥があった。

    断固として認めようとしない担当医たちに疑いを持ち始めた。そして純一はその欠陥の原因を突き止めようと、自ら調査をはじめる。だがその間も刻一刻と状態は悪化していく。そして最後に訪れる結末はあまりに切ないものだった。

    この作品を読んで、人の「心」とはどこから生み出されるのだろうということを深く考えさせられた。また登場人物の心情描写がとても人間的で共感しながら読むことができた。

    これからの医療の発達にともない、この問題はもしかしたらより鮮明になるかもしれない。そのときのひとつの考え方として参考にしたい作品だと思った。

  • ラストの美しさは、以前読んだ白夜行を思い出させます。良い作品。

  • 何をもって「自分」は形成されるのか?
    そんな問いかけが根底にある話である。

    例えば、肝臓が移植されたとする。
    その後は、もとの自分のままでいられるだろうか?
    それが例えばこの主人公のように脳が移植されたら
    どうだろうか?その後も同じようにもとの自分で
    いられるだろうか?

    決してハッピーエンドではないが、
    ある一つの結論が描かれている。

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