ふたたび赤い悪夢 (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (620ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061859890

感想・レビュー・書評

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  • 頼子のためにを読んでない人は向かない本かな、と。対比のようにまあまあハッピーエンド。
    事件はアイドルが殺人事件に巻き込まれて、それを匿いながら奔走し、過去の一家惨殺事件と同時に解決するというもの。
    アイドルが絡むので、アイドル史みたいのも出てくるけどもう古いよね。AKBやももクロよりずっと前だからなあ。逆にノスタルジックにもなってないと感じて残念。

    アイドルなのに過去の事件がトラウマで狂うとかいかにもおじさんの考える理想のピュア娘でちょっと。。しかも、父親も純愛風に演出されてるけど不倫だしね。古風な父親像との組み合わせも最悪。
    なんかどれも食い合わせが悪いなあ、と感じました。ミステリ部分は普通なのに残念。

  • 「頼子のために」の続編。あと「雪密室」も読んでおかないと、筋が分からないかもしれません。
    筋も良く練られていて、かなりの長編にも関わらず全然だれません。おすすめです。

  • 夢を見ていたように、一晩で読み終えた。
    東浩紀『セカイからもっと近くに』を通じて出会った法月綸太郎だが、どうもすっかりハマっている。

  • 〈法月綸太郎シリーズ〉第5作(第5長編)。
    『頼子のために』事件の後、完全なスランプ状態に陥っていた法月綸太郎。
    ある日の深夜、彼のもとにかかってきた電話。助けを求めてきたのはアイドル歌手・畠中有里奈だった。
    ラジオ局の一室で暴漢に襲われるも、自身は気を失い、その暴漢は後に近くの公園で死体となって発見される。
    法月警視と共に彼女を匿い、事件の調査に乗り出す。
    それは同時に、名探偵の視点を取り戻す旅でもあった。

    畠中有里奈の本名は、中山美和子という。
    彼女は『月蝕荘』事件で、法月警視に自身の出生の秘密を打ち明けていた。
    自身が呪われた殺人犯の血を引いているのではないか。
    彼女の母は、かつて美和子の双子の兄・実若と父・利則を殺害し、入水自殺したとされるのである。
    そして今回の事件の数日後、低俗なゴシップ誌のせいで、自らの血縁に怯え自殺未遂してしまう。

    その後、現在の事件の複雑な人間関係を詳らかにし、綸太郎は美和子の無実を証明することに成功する。
    その裏には彼女の両親の悲劇の真実が隠されていた。

    かくして「自分」で「自分の視点」を取り戻した綸太郎。
    西村頼子への一周忌、墓前で傍らの美和子に頼子の面影を見出す結末は素晴らしいものだった。

    ミステリ  :☆☆☆
    ストーリー :☆☆☆☆☆
    人物    :☆☆☆☆
    文章    :☆☆☆☆

  • 本書は『雪密室』『頼子のために』の登場人物やエピソードなど重複するので、先に読んでおかないと解りにくいと思います。

    事件の犯人は最初から明らかになっている様なものですし、思わず膝を打つようなトリックもないので謎解きの面白さはあまりありません。
    しかし、「探偵としての苦悩」を事件に絡めたストーリーはドラマ性があり読み応えがありました。

  • 法月綸太郎シリーズ。

    『雪密室』と『頼子のために』が関係した作品。
    とにかく分厚い。
    ちょっと冗長だなぁと思いました。
    半ば以降は一気に読めたのですが、前半が。
    どんでん返しは予想がつきましたが、面白かったです。

  • すげー!とは為らないかな。
    飽きない程度に展開して行くので比較的読みやすい。

    トリックも犯行の背景も、良い意味でそれなり。
    ハマり切らないのは文章のせいなのかな。。

    生首よりは面白かったかな。

    頼子のため と色々関連しているみたいなので次はそっちを読んでみよう。

  • まず、同作者の『雪密室』『頼子のために』(構造的には『一の悲劇』も)を先に読まないと理解できない小説です。未読の方は先にそちらをどうぞ。

    以下感想
    クイーンの作品を読んだことがないので、探偵が神ではないミステリーというのがすごく新鮮だった。
    クイーンの作品も後日読んでみようと思う。

    偉そうに他人の過去をほじくり返したり、真実を暴くことによって新たな悲しみを生むことは、真実の側にある者としては正しくても、人として正しい行為なのか。
    物語は終わっても、そこに生きる架空の人々の生活は続いていく。
    軽々しく人が死に(死ななければ面白くない)、そして真実が明かされなければならないミステリーというジャンルでは、希薄になりがちな視点があったことを思い知らされた。

    人としての悩みを抱え苦しんだ主人公がたどり着く結論は決して目新しいものではなく、むしろ人が生きていく上で、社会と関わっていく上で普遍的な考え方。
    私たちは不完全な人間だから、それでいいんだよ。と、言われているような気持ちになった。

    事件の方については、また血縁関係がゴチャゴチャで入り組んでて…
    綺麗に解決するけど、目から鱗がポロポロするような新しさはトリックにはない。

    この作品を語る上では必須なんだろうけど、該当作品未読者にはネタバレになってしまうジレンマな解説にはご注意を。

  • この本は実は三部作の一部だったのだが

    よく知らずに図書館で手にとってしまった。


    内容的には分からない部分も出てくるが

    一応は話はこの中で展開されているので読める。



    三部作を読み返そうという機にはならないが

    この本自体は好きな話の展開だった。


    弱さが表面にでる探偵も珍しいのではないだろうか?

  • 西村頼子の事件以来、出口の見えないスランプに陥っていた
    作家の法月綸太郎のもとに、深夜かかってきた電話は、
    アイドル歌手畠中有里奈からの救いを求める電話だった。
    ラジオ局の一室で刺されたはずの有里奈は無事で、
    彼女を刺したはずの男が死体で発見されるという奇妙な状況。
    しかし、有里奈は、ただ不思議な体験をしたというだけで
    混乱し、恐怖に追い詰められたわけではなかった。
    彼女の精神を極限まで追い込んでいるものは、
    有里奈の双子の兄と、有里奈の父を惨殺し
    自殺を遂げたという実の母親の影だった。
    自分の中にも、やはり人殺しの血が流れていたのだ――。
    そう思いつめ、心を閉ざしてしまった有里奈を救うべく
    綸太郎は父親の法月警視とともに、事件の謎に挑んでいく。
    法月綸太郎シリーズの第5作。

    今まで読んだ法月綸太郎の作品の中では一番の大長編だった。
    読むのになかなか時間がかかったが、
    ストーリーが最後までだれることもなく、楽しめた。

    目次の前のページにあるいささか異質の献辞や、
    冒頭の数ページを読めばすぐにわかることだが、
    本作は、「頼子のために」の内容を受けての作品となっている。

    どうやら、「頼子のために」でとある形で問題提起された、
    作者のほうの法月綸太郎が頭を悩ませている
    「後期クイーン問題」とやらに関しての、
    ひとつの決着が描かれている作品であるらしい。
    それくらいはなんとか読み取れるのだが、
    いかんせん「後期クイーン問題」とか
    神がどうのこうのといった話には詳しくないため、
    作者がどんな主張を物語に込めたのか、
    そのほとんどは理解できずじまいだった。

    ただ、「探偵という立場」というものに関しては
    京極夏彦の諸作品の中で中禅寺が語っていたり、
    西尾維新の戯言シリーズの中で言及されていたりしたので
    それに似たようなことを言っているのかな、
    などと想像したりはした。

    だが、普通に楽しく読めたので特に不満はない。
    複雑なプロットと、何人もの人間の思惑を
    幾重にも絡み合わせた構成はやはり見事。
    それでいて、綸太郎という“名探偵”の存在をはじめとした
    本格ミステリ的なガジェットのおかげで
    作品全体がどことなくちっぽけに感じられるところも
    やはり相変わらずなのだが、
    そこがむしろ逆に、作者である法月綸太郎の
    ミステリに対する偏愛を感じさせ、微笑ましいと思う。

    作中の綸太郎が自嘲気味に評したところによれば、
    頻出する比喩表現は「くだらない比喩」だそうだが、
    人物の仕草や表情を描写するときの独特の表現は
    “文章ならでは”のものであって、素晴らしいと感じた。

    おそらく作者にとっての転換点になった作品なのだろう。
    以降の作品も手にとるつもり。
    楽しみである。

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著者プロフィール

1964年島根県松江市生まれ。京都大学法学部卒業。88年『密閉教室』でデビュー。02年「都市伝説パズル」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。05年『生首に聞いてみろ』が第5回本格ミステリ大賞を受賞し、「このミステリーがすごい! 2005年版」で国内編第1位に選ばれる。2013年『ノックス・マシン』が「このミステリーがすごい! 2014年版」「ミステリが読みたい! 2014年版」で国内編第1位に選ばれる。

「2023年 『赤い部屋異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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