- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061962873
感想・レビュー・書評
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乗組員達が愚かな作戦と分かりながら予定調和的、いやそれ以上に脆く沈んで行く大和の姿に激しい哀しみを感じる。空気と言ってしまえばそれまでの理不尽さとその中で自分自身を生きるしかない人々はスケールこそ違えどいわゆる人生というものか。伊藤長官の最後の作戦中止の決断はその空気の中でこそ思い切ったものであるけど、誰もが持つ生きたいという気持ちの前では当たり前のようにも見えることに至っては。
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友人に紹介してもらった.
時代の熱気が伝わってくるとのことだったが, まさにその通り.
死線を越えるとはまさにこういうことをいうのだろう.
「われ果たして己の分を尽くせしか 分に立って死に直面したるか」
こういう問は, 日々自分自身に問い続けねばならない.
それも, 「最善を尽くす」とかいった生温く甘えた馴れ合いの果てにではなく, 「ほんまに限界までやってんのか, 限界を超えるつもりでやってんのか, 今日のお前はどうやねん」っていうぎりぎりのせめぎ合いの中で問わなければならない.
それが「心の切れ味」を産むのだろう.
心に「切れ味」がある人の言葉だから, 自分の身に深く差し込んでくるし, えぐってくる. -
戦争で戦艦に乗っていた若者が遺した記録・・・
つまりそのときの若者か書いてた日記みたいなもの。
そもそも戦争がいけないなんて言葉は
戦争を経験してないやつが言っても綺麗事に思えます。
そう思い生きてきたので、この本を開くまで戦争について考えることすらしませんでした。
(考えたことはネタバレなので回避しますが。)
戦争体験者の気持ち、きっとどんなに努力しても私には分かりません。
だから読み終えた今も戦争はいけないなんて言えません。
戦争肯定は決してしませんが。
最後の1ページ、
悔しい悲しい虚しい情けない申し訳ない
こんな感情がほんの数行にすべて詰められている気がしました。 -
戦争関連の本を読むようになったきっかけの本。
戦艦大和最後の出撃から大和が沈み乗組員が助かるまで、一般の小説に比べたらそう長くはない時間を丁寧に書かれている。
カナ混じりの文語体に慣れず読みにくかったが、それでも一気に読んでしまった。 -
2009年度【請求記号】916||Y【資料ID】91091742【配架場所】工大君に薦める
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読んだ。時間をかけて読んだ。知らないことが多かった。切なくなった。
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学徒動員で海軍に入隊した著者が、大和の特効出撃と自らの生還を描いたのが本書です。
慣れるまでは全編文語体であり、読みにくいことこの上ありませんでした。しかし読んでいくうちに、文章から異常な緊張感と迫力が伝わってくるようになりました。出撃を命ぜられた時の著者の心情。出撃前夜の若手士官たちの論争。激戦と沈没、そして漂流から生還まで、まさに当事者だから書き得たものといえるでしょう。 -
題名どおり 戦艦大和の最期。
全部文語体 読みにくいことこの上なし。
しかも諸事情により読まざるを得なくなっただけの読者である私にとっては本当に面倒なだけ、、と 最初は感じていたが・・・
読みなれてくると この文語体が非常に効果的。スピード感 切迫感 今と違う空気 感情がついていかない不安感 とても内容にマッチしてるようなきがしてきた。そして驚くべき乗員達の第三者的な意見の数々、なんだ、、、こんなに分かっていたのか という衝撃。悲惨な状況 それに慣れている人 やはり辟易する人 今と違うようで同じ人。隠されてない当時の人の思いが書いてあったり でも格段驚きはしなかった。そうだよなあ、と思う。著者のめぐらす思いにいちいち反響してしまった。ただその時代にいた人達の叫びがやたらめったら染み入って 何度も涙がこぼれた。感動とは違う、打たれる という感じ。
きっとみんな分かっているのに どうしていまだ解決できないんだろう 大和を沈ませるのに成功した米でさえ そのご復興したたくさんの国でさえ みんなして解決できないこの大問題。誰かを紛糾したところで解決の糸口は見いだせない、この問題が解かれるのを そう長くは待っていられないのに・・・ただ焦りと悲しさを覚える。いろいろ著者には頭が下がる思いもした -
烏兎の庭 第二部 書評 4.8.05
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/bunsho/sangey.html