ワイルド・スワン(下)

  • 講談社
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062062541

感想・レビュー・書評

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  • このドキュメンタリーを
    発刊以来はや20年は
    過ぎてしまい、中国の人口は
    今や13億、経済の自由化
    は著しいが政府は独裁一党の
    共産党だけであることには
    変わりはなく、毛沢東の時代
    は終わり、学生たちだけで
    世の中を変えようとした
    「天安門事件」がなぜ起きたか
    中国の政治背景が非常によく
    分かったような気が、今はしています。
    20世紀近代史に於ける偉大なる
    ドキュメンタリーです。
    いつの時代も言いたいことを言い
    やりたいことをする権利や自由を
    謳歌できることの有り難さを
    忘れないようにこれからも中国を
    少しでも勉強していこう。
    そんな気持ちになりました。
    ジャスミン茶を飲みながら…

  • 一度読むといい

  • 国のトップが、自分の国を破壊しようとする国の記録(文化大革命)ノンフィクションてのが衝撃。

  • 上巻の半分くらいまでは、最後まで読み通せるかなと思うぐらい重かった。
    清朝末期からユン・チアンのイギリス留学(1978年)までの自伝的ノンフィクション。
    満州国、国共内戦、文化大革命、
    毛沢東、四人組、周恩来、鄧小平。
    祖母、母、ユン・チアンの女性3人、
    父、兄弟姉妹ら一族は、
    文化大革命の混乱と狂気なかで生きた。
    日本は欧米諸国と同じように、中国の本当の姿を知ることはなかった。
    文化大革命の時期は戦後であり、高経済成長の只中。
    現代、経済大国になった中国だが、
    中国共産党は恐怖と力の組織であることは変わらない。
    中国という国家の複雑さである。

  • 中国史のカテゴリーだが、まさにノンフィクションの傑作だと思う。
    知り合いの中国人全員にも紹介したいのだが、それはやめておいたほうがいいのかな苦笑
    同系の作品では、ノーベル文学賞のパールバック「大地」があるが、あちらはフィクションだし。
    やはり中国はすごいと思いながらもあの中国ならばと妙に納得できる部分もある。
    結局毛沢東はすべてを壊したかったのだと思う。そのあとの建設には興味がなく、何よりも動乱が好きだったのだろう。
    毛沢東は政治家でもなく、思想家でもなく、軍人なのだから。

    また、下巻の舞台の四川のくだりは、繁華街や四川大学など実際に行ったことのある地名が出てきて、驚いた。
    あの四川大学の綺麗な赤い門の前に著者は立っていたんだろうな、と。

  • 下巻は文革による混乱と迫害を乗り越えて、著者自身が中国人初のヨーロッパへの留学生に選ばれるまでを描いている。文革によって、どれほど中国国内が混乱し、多くのものを失ったかがわかる。もちろん、著者からの視点限定だが、一読の価値がやはりある。このサイトの一部のレビューに、中国人へのヘイトスピーチになっているものが散見されるが、正直、日本も隣国の悪口が言える立場ではないと思う。

  • 清朝、軍閥、旧日本軍、国民党、共産党と100年に満たない期間で目まぐるしく支配層が変わった中国で、それに流され、翻弄される民衆の姿を一家族の目線で描いたもの。改めて、政治腐敗や恣意的な政策決定・方針変更を許さない仕組み(独裁的でなく、チェック機能が正常に働かせること)が必要と感じさせられます。

  • 友人から借りた本。

    前々から読みたいとは思っていたが、完読するのに結構時間がかかってしまった。
    歴史でも、現代に近ければ近いほど、学校では学ぶチャンスがないので、自分でなんとかするしかない。
    3代に渡る女性の生きざまを通してみる中国。知らないことだらけだった。

    これを足掛かりに、毛沢東関連を読んでみようか、と思ったり。
    丁度、薄煕来の裁判中でもあるし。

  • 1965~1978年 文化大革命~著者留学

    著者の両親が共産党員であった事もあり、話は主に共産党視点で語られている。

    共産党の一党独裁体制を作り上げた毛沢東は確かに優れた革命家であった。
    しかし、恐怖で人々を支配し、国民の生活を顧みない事から、為政者としては無能であった。

    共産党が政権を取った後、毛沢東の中では共産主義国としての発展よりも、
    毛沢東自身の権力維持にベクトルが向いてしまったのだと思われる。

    毛沢東の教養に対するコンプレックスと、大躍進運動という大失政から生じた自己憐憫が、
    中国の歴史と文化を破壊し、教養を身に付けた知識人と共産党幹部を迫害する"文化大革命"へと発展させた。

    国民党の残党狩りや、共産党の内ゲバを利用して、
    個人的な恨みや妬みを晴らす人々や、扇動される民衆の様子から改めて教養の重要性を感じた。

    現在の中国でも毛沢東を支持する人々が存在するというのは興味深い。
    情報統制によって、良い面だけを教えられて育った世代なのか、比較的影響の少なかった農民出身の人々なのか。

    元国民党関係者や、階級敵人のレッテルを貼られた人々に対する扱いは確かに酷いものだったが、
    攻撃の対象が「自国民か、他国民か」の違いだけで、
    状況としては、第2次大戦中の日本とそれほど違わないのでは、とも思えた。

  • レビューは上巻でまとめて。

著者プロフィール

1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を経て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得。一族の人生を克明に描くことで激動期の中国を活写した『ワイルド・スワン』『真説 毛沢東』(ともに講談社)など、彼女の著書は世界40ヵ国に翻訳され、累計1500万部の大ベストセラーになっている。なお、上記の2作はいずれも中国国内では出版が禁止されている。

「2018年 『西太后秘録 下 近代中国の創始者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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