コッペリア

著者 :
  • 講談社
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感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062119207

感想・レビュー・書評

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  • 人形を演じる女優、人形に恋をした少年、人形師・・・人形に何かしら思い入れがあるそれぞれ別の人間が、ある一つの人形に吸い寄せられるようにして、つながっていく―。

    全体に妖しく漂う雰囲気が物語によく合っている。ミステリーと言うだけあって、謎解きは驚愕。途中のありえない展開に、ただただ驚かされる。物語に惹きこまれ、最後まで飽きずに読めるところも良い。
    ただラストは今までの流れと比べると、あっさりとし過ぎかなとも思う。決して悪くはないのだけど。もっと残酷なバッドエンドでも良かった。

  • 演劇や人形、人形師と、ゴシックな雰囲気のあるお話。
    読んだのが中学の頃だったからか、凄く巧妙に書かれてた気がした。
    視点切り替えがよく言えば巧妙で悪く言えば分かり辛い。
    でも多分、そのわかり辛いのも著者の思惑の通りなのだろうと思う。
    ストーリー自体も好きだし、出てくるキャラクターなんかも好き。
    今ふと思い出したのは乙一のゴスだったと思う。
    漫画版の方なんだが、似た雰囲気があった。

    僕は嫌いじゃない。

  • まゆらドールと呼ばれる人形は、生きていると言われる。

    再読。
    一気に読まされる感じ。さっぱり忘れていたのでまんまと騙された。
    「人形のはなしで超怖かった」という印象が残っていたのだが、全然違う(笑)
    どっちかっていうとミステリー系。

  • 人形が好きで特別愛着持っちゃうような人とか本を読むときに感情移入するタイプとか現実逃避型世の中嫌いなでも誰かを好きでいたいかんじの人におすすめ。

    長さの割りにはさらっと最後まで読めました。
    登場人物の名前が(ミステリじゃないけど謎解き?のうえで)結構重要なので、途中“あれこの人ってあそこででてきた人だよね?”みたいな感じにはなりましたが最後まで読むとよくわかる。

    登場人物は全体的に幼少期の親との関係のあれこれで性格が若干歪んでいて、その破綻した一面を違うところで昇華させてる女二人が痛々しいけど素敵。あとその二人との対比として(なのかどうかは不明だけど)出てくる、劇団のもう一人の女と創也のいとこの女の子が腹立つけどいいかんじ。
    性格は歪んでるけど才能に溢れてる主人公二人と、小さい頃からチヤホヤされてそのまま自分可愛い!すごい!ほんとは私が一番すごいのに!みたいな女二人。


    あとすごくどうでもいいけど、
    女にとって自分の産んだ子は相手の男はどんな人だろうと子供は子供として愛せるけど、
    愛する子供の父親だからその男を愛せるって理屈はやっぱりないような気がする。
    その男性個人をものすごく好きでない限り子供ができて旦那への愛情も深くなったなんて夢物語だなぁと・・・この本と、この次に読んだ本でうっすらと感じました。うーん、感じたというよりは考えが強固になったというか。まぁそんなかんじ。

  • ほんの数ページ読んだ時点で、これは大変な本を読んでしまったと良い意味で強い衝撃を受けました。人形もすきだし、幻想的な雰囲気や登場人物に不思議と強い魅力を感じました。コッペリアを読んだら、前からおむかえしたかった球体関節人形の少年がなおさらはやくおむかえしたくなりました。バレエで使われる、コッペリアやコッペリウスが出てくる小説だとおもっていたので、勘違いから入っていったのに本当にすんなり物語に入れて…これは本当に素敵です…。読むまえにバレエのほうの物語を知っておくのをおすすめします。冒頭の乱歩の引用からもう感動で胸がいっぱいだったというのに、切実なまでに人形に恋をしてしまう人が居たり、人形を死んだ我が子だとおもう母が居たり、設定がどこまでもわたしの好みのまんまん中を貫き駆け抜けていきました。幸せです。

  • 人形に恋した青年。人形にそっくりなアングラ女優。その人形を創った天才人形作家。そしてパトロン。それぞれがいわゆる不幸を抱えていて。人形ってすごいと改めて思う。ぐるぐるぐると物語が入り組んでてこんがらがった。そして一つにつながったときの気持ちよさといったらもう。ラストはちょっと安っぽいような気もするけども。こういうお話は大好きです。

  • 人形にまつわるミステリ。
    ハッとする仕掛けがあります。
    ヤラレタ!面白かったです。

  • 在庫を図書館やHPで確認する度に、いつも貸出中で(´・ω・`)ションボリして、
    待って待って待ってもう駄目かと思った時にやっと借りられた本。
    とても素敵なお人形のお話だった。
    やっぱり球体関節の粘土人形は良いなぁ…
    この話、結構複雑でさ、しっかり理解したいならもう一回読んだ方が絶対良いと思う。
    聖とパトロンの「オジサマ」との関係…うむ。
    時代背景が某らいだーの如くコロコロ変わって…(´д`;)
    読み終わって、
    「やっぱりnarutoさんのお人形が欲しいッ!!」
    と思った。
    いつかお迎えしたい。必ず。
    人形師さんって、お人形で生計立ててるんだから、やはりそれなりのお値段するんだろうなぁ…
    この本読んで、バレエのコッペリアの話を初めて知った。
    ほうほう、ギリシャ神話のピグマリオンみたいな話なんだ。

  • 加納作品の中ではちょっと異色だったもの。<br>
    でもこれが1番好き♪<br>
    <br>
    聖さんが切ないんですよ……。

  • 著者にとっては初めての長編ミステリー。タイトル通り、バレエのコッペリアのようなお話。<br>
    わたしが今までに読んだ加納朋子さんの本とは、一風違った作品だったように思う。でも、それだけに新鮮だったし、おもしろさは少しも失われていなくてよかった。

著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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