- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062130486
作品紹介・あらすじ
突然、舞い込んだ絵はがき。差出人は三年前に、南極で死んだ兄だった。法の手がはるか及ばない、美しく残酷な極寒の地。そこで、兄貴の亡霊が、おれを誘っている。江戸川乱歩賞の「常識」をぶち破る、受賞第一作。
感想・レビュー・書評
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登場人物が多く、専門用語もあって何度も読み返す事になりました
南極で不正や犯罪は起こりうるのか?
ある意味、究極の閉じられた世界が舞台、粗い部分もありますが読み応えのある作品です詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2019年 本屋大賞 超発掘本。
南極大陸という広大な密室で起こった事件。
その事件の謎を解くために、拓海は南極に旅立つ。
そして、その真実と そこに隠された秘密とは! -
南極を舞台にしての推理小説。
南極の克明でリアルな描写が実に優れている。
南極はこんな風なんだろうなぁ。と思わせる。
この作者は実際に南極にいったのだろうか。
テーマは いったい 兄は 南極で何があったのか。
兄といっても 義理の兄
父親の再婚相手の連れ子が 兄だった。
互いに 屈折したままで 兄と弟の関係があった。
それを結びつけたのは 南極 だった。
兄は 極地研の研究者。
弟 拓海 は カメラマン。
兄をめぐって 高鷲、原田、瑤子・・・
それぞれの関係は そして 肉体派的な 藤原組。
南極でミステリーになるべき 『なにか』を
隕石の取引にしたのは 作者のアイデアのよさだろう。
拓海 というオトコの心情を少しづつ明らかにする。
親と兄弟とは 何なのかを つづりながら
つながるものを見つけようとする。
兄は なぜ取引に応じようとしたのか。
そのことが あまりよくわからない。
殺人までして 先輩のことを 思うというのが 設定的によわいかな。 -
うーん、ちょっと期待外れかなぁ
個人的には『カタコンベ』の方が好き。
南極での生活というものがあまり想像できなかったからかな。
あと、出だしが退屈で物語が展開するまで辛かったのもあるかも。
今作の方が登場人物各々の感情や心理がうまく描けている気はしたけど、
それがどうもうまく「動機」につながらないような気もして
なんかちょっと不完全燃焼なかんじ。
鍵となるはずの義兄の人柄も読めば読むほど分からんかった… -
南極ミステリ(?)。犯人探しで推理する部分もあるけれど、むしろサスペンスとしての部分がかなり魅力的です。南極という、あまり馴染みのない舞台も魅力的。
さして大きなトリックというべきものはないのが残念だけど(南極ならではのトリックがあるんじゃないかと期待しました)。この動機は南極らしいものですね。あとは帽子のアレで、「おおっ」と思ったのでした。 -
「カタコンベ」で江戸川乱歩賞を最年少で受賞した、
彼の2作目となる。
「カタコンベ」は洞窟の中での物語だったが、
今回もまた、南極という閉鎖的な場所を選び、
過酷な寒さの中でのサスペンスとなっている。
カメラマンの拓海のもとに届いた、
3年前に南極で死んだはずの兄からの絵葉書。。。
これは、いったい、何を意味するのか?
南極観測隊の一員として、昭和基地へ旅立つ拓海。
極寒の地での、厳しい生活の中で起こる事件。。。
それは、3年前の事故に関係があるのか?
まったく、想像もつかない南極という場所での、
生活を想像しながら読みすすめていくと、
どんどん、深みにはまり、すっかり、このスケールの大きさに、
のめりこんで行く。未知の世界の風景を想像し、
スリルたっぷりの物語の展開に夢中になり、とても面白かった。
※サスツルギとはカタバ風が磨き上げた雪のでこぼこのこと。
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南極で義兄が死んだ。その、死んだはずの義兄から届いた1枚の絵はがき。絵はがきに導かれるように、弟は南極へ向かう。登場人物のほぼ全員が、何らかの暗い過去を背負っている。よくもここまで集めたもんだと感心した。冒険小説としてもミステリとしても、イマイチ中途半端。結末も、ちょっと哀しい。
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舞台は南極にある東オングル島。これは雪と氷に閉ざされた巨大な密室とでも言うべき場所です。前作「カタコンベ」の題材はケイビング、今回の題材は南極観測越冬隊。題材を選ぶセンス、良いですね。こういう、あまり聞きなれないものを扱っている作品って、説明箇所がダラダラと長かったり(「カタコンベ」は実際、ちょっと間延びしてましたが…)、小難しいかったりしがちですが、神山氏の文章は解りやすく、とても読みやすいです。
次から次へと事件が起きて、ストーリー展開も上手になっているし、登場人物も以前と比べると掘り下げて描かれていて、ぐんと深みが増していると思います。