ぜつぼう

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062133241

感想・レビュー・書評

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  • もと売れっ子芸人が堕落し二年間不眠症に悩まされて自分はぜつぼうしてるから自分なのだという話

  • 俺は絶望してるがゆえに俺なのだ。

    猿岩石みたいな、旅してバカ売れしてたちまち忘れられた元芸人、戸越の話。
    不眠で引きこもり、本谷っぼい病み病み人間だけど主人公が男ってのは新しかった。

    ファンタジックなルナティック。

  • 絶望とか復讐とか、本谷さん好きねーって思った。
    落ちて落ちて落ちた感じ。
    絶望、や、ぜつぼう。

  • 『かむだけかまれ、味がなくなると同時にゴミとして扱われるガムと今の自分の姿が重なり、拾って帰ろうとしゃがみ込んだ。』

    『五、六人の小学生集団などヤクザ以外のなにものでもない。二言目には、「おもしろいことやれ」。』

    『こっちでもたくさん捕まえたけど、みんな逃げたり懐かなかったりでやっぱり駄目。この人だけですよ。この人だけなの、私から逃げないのは。だからもう親友っていうかね。家族っていうか…鳩かな、やっぱり。鳩だよね。』

    『ある時ね、あ、私もしかして伝書鳩飛ばしたいかも、っても思ったんです。変ですかね?』

    『野生の鳩が伝書鳩になるはずねえだろって連中勝ち誇って言うもんだから、私あったまに来ちゃってさあ。双子座のAB型なめんじゃないよ、じゃあどっか遠くからこの村に鳩飛ばしてやるよ、なんかすごいメッセージ伝書させてやるよ。ってものすごいタンカ切っちゃって』

    『段ボールには「あなたの悩み、鳩おじさんが無料で聞き〼。」とへったくそな文字で書かれている。』

    『伝書鳩、無料で飛ばし〼。』

    『せっかくの復讐なんだからドラマチックな方が思い出に残るよ、絶対!』

    『見知らぬ中年男の実家で一人いつ飛んでくるか分からない鳩を待ち呆ける、というシュールすぎる条件など納得できるわけがなかった。』

    『口の中が今まで生きてきた中で、一番甘ったるい瞬間を迎えた。』

    『戸越の死んでいるのと同じ二年の孤独をかろうじて埋めたのは心の恋人、在宅ワークと言ってもよかった。』

    『少しサイズのでかい長靴がカバの鳴き声に似た音を立て、うるさい上に格好悪い上に動きづらい上に体力を奪っていく。』

    『果たして、うどんと太巻きをぺろりと平らげてそんな鼻歌を歌いながら風呂に入ろうとしている人間を、百人中何人が「絶望している」と認めてくれるだろうか? 絶望している人間は二十四時間一秒たりとも他のことを考えてはいけないのだろうか?』

    『おばさんとおばあさんの中間のような生き物に椅子とお茶を勧められた。』

    『それはつまり芸によって人生の破滅を味わった芸のない男に「芸をせよ」と命じているに他ならなかった。』

    『だって戸越さん、終わってないじゃないですか ー 続いてるじゃないですか、今も ー 続いてるものは、終わってませんよね』

    『分からないか。俺を傷つけないようにしてるあんたのその気遣いが、一番俺を傷つけるんだよ』

  • 2011/6/15購入
    2011/10/2読了

  • 絶望することがアイデンティティと化してる。

  • ブームが去って引きこもりかつ不眠症になった元芸人の戸越は
    公園で出会った中年男に伝書鳩の受取人になってほしいと頼まれ
    男の実家で暮らすこととなった。
    しかしたどり着いた家には何故か先客がいた。
    シズミと名乗るその女はこの家の住人の娘ということになっているようで、
    戸越は彼女と別居していた旦那ということになった。
    そしてシズミは戸越のファンだと言う。
    つい嬉しく思ってしまう戸越だったが
    そんなことでは彼のぜつぼうは消えない。
    それでも村人たちと農作業を行っているうちに
    シズミの旦那としての生活を演じきってやろうという気になるのだが。
    カバーイラスト:黒田硫黄 ブックデザイン:祖父江慎+コズフィッシュ

    ヒッチハイク番組で一躍人気になった芸人というと某コンビを思い出しますが
    本作の戸越は返り咲きもせず、社会復帰もせず、
    ただただひきこもっています。
    ぜつぼうでいることが彼のアイデンティティでさえあります。
    そのアイデンティティを守るために
    彼は最初は喜ぶそぶりを見せないように心掛け、
    次にいくら周囲に楽しんでいるように見えても
    こんなことで和らぐようなぜつぼうではないのだと自分に言い聞かせ、
    ぜつぼうしながら村になじんでいく様子は奇妙に面白い。
    この後彼はさらなるぜつぼうを感じるのだろうか。

  • 衝撃的なタイトルや禍々しい装丁のわりに、最後の一文を読んで、「Ah なんかこういうのいいなぁ」と思ってしまった。

  • 最初から最後まで結局主人公のぜつぼうは変わらず、冒頭に出て来たホームレスもなんのために出て来たのかいまいちつかめなかった。
    作者の他の作品と違って、あまり練られていない感じがした。

  • 著者に対して興味が湧き読んでみましたが、
    ストーリーは期待ほどではありませんでした。
    最後まで話のテンポに対して相性が悪かったみたい。
    気になったのが、この主人公の設定、
    誰もが有吉の顔を思い浮かべるのでは・・・?!

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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