- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062133241
感想・レビュー・書評
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本谷有希子の文体の面白さに満足。主人公の自虐的な痛み方、切なさの描写も素晴らしい。
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『生きてるだけで、愛』とかのハチキレっぷりがなかったけど
ゆるく考えさせられた一冊。
人それぞれの絶望があり、それぞれの絶望感なわけで、
決して他人に共感してもらうことができない。
絶望だ、と言ってどれほどの人がその感情を汲み取ることが
できるだろう。
つまり、結局は「絶望」ではなく、「ぜつぼう」なのだ。
絶望した人間は、絶望感に苛まれるだけでなく、
この世で生きている限り、誰か人間と交流を交わして生きていく限り、
自分の絶望人生と他の人生の距離に圧倒され、苦しむ。
それはもう大島のおじいさんとケニアの赤ん坊くらいに、
交われないし、共有できない何かがある、そのことに悩む。
本谷ワールド全開ではない分、多くの人が読めそうな『ぜつぼう』。 -
本谷の本と期待していたけど、うーん普通かな?女の自意識過剰とかの方がおもしろいかも。
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本当のぜつぼうは最後の最後
穏やかなあのときだと思う -
思いがけず、希望が見える終わり方!
本谷さん、そういう引出しもあったのね。なんか新鮮。
でも、
最後に手を握ってきたのは本当はシズミじゃなくて、折り返してついた村の駅で気付いてまた絶望する、ってオチがあったら・・・
「俺は絶望してるがゆえに俺なのだ」
だからやっぱり、希望じゃなくて絶望希望です! -
この作品はそんなにバイオレンスではありませんでした。
静かな絶望感、ほのかに灯る暖かな光。
最後に妹尾が現れるまで復讐のことは忘れちゃってました。
ラストシーンが綺麗です。 -
「俺は絶望しているがゆえに俺なのだ。」
すごいことを書いてるわけじゃないのに、すごいと思わせるのがすごい。
ぜつぼうこそが存在意義。絶望があるから生きていけるっていうところが逆に希望を見出してる感じ。 -
元お笑い芸人、今は落ちぶれて浅い眠りをむさぼる主人公。
その、落ちぶれた自分から抜け出さないように、自分に責任を押しつけて、周囲に責任を押しつけて、よけいに自分を苦しめて安心している様が、あまりにも、滑稽で。
本谷さんの描く「性格の悪いキャラクター」が、なんだか、いつもと違った形で楽しめる。
すごく好きな小説。
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金曜のANNで本谷が、
「ぜつぼう、ぜつぼう」
と叫んでいたのは、もう2年前。
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の時も思ったけど、改めて思う。
本谷有希子、恐るべし…。
天才かもしれない、この女は。 -
お笑い芸人として人気を集めたコンビの片割れ戸越が零落して不眠症になる。ふと出会った妹尾の実家に身を寄せるとそこには先住者シズミがいた。その夫庄司唯生として田植えを手伝うが……。
誰もが認める「絶望」の証明に励む戸越。この作品にも、ものすごく強い吸引力がある。
作成日時 2007年08月18日 22:36