ドーン (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062155106

感想・レビュー・書評

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  • 自分は自分。

  • 何度も挫折しそうになりながら完読しました。内容は深いです。アメリカの政治・社会に問題を投げかけているような作品に思えました。

  • 「無国境国家による領土国家のけん制」「分人」。このふたつの概念が本書の核をなすと思っている。核が二つもあるとちょっとごぢゃごぢゃしてしまうのが常であるが、本書はなんとかそれぞれを描ききったという体裁だ。

    物語の中盤までの200ページまでは、どう話がつながっていくのか、そしてどう話が終焉しそうがまったく予想がつかめない。それを設定の緻密さと文書力で読ませていく力量はさすがだ。

    分人という概念は痛ましい。人の複数の側面を分離させ、それをそれ自体として認識するという概念だが、人間は絶えず自己統一願望が生まれるものだ。
    「素直で、勇気のある自分」それが大義でそれがヒーローだと教えられてきた。その一方で、分人を使って、「うまく適切に、妥当な人に妥当なレベルの情報を与えて、支離滅裂にならずに自己卑下せずに破滅せずに、世の中と向かいあっていく」のも成熟であり、勇気だ。その二つの異なる方法と異なる勇気を本書は最後の最後でフォーカスをおき、読者を深い思索の領域に引き込む。
    結局どっち側の人間も、もう一方を尊敬し羨むのだと思う。

  • 火星有人飛行のクルー間の葛藤を中心に、近未来の政治、社内風刺なども盛り込んだ作品。

    トピックが盛りだくさんな分、間延びしている印象で、中盤以降はななめ読みして、最後だけ読んだ。

    分人のアイディアは興味深いが、「分人とは何か」のほうがわかりやすく解説されていて、そちらで十分と感じた。

    自分にとっては平野啓一郎の小説2作目。新しい世界を切り開こうとする著者の姿勢は感じるものの、そうした挑戦が小説としての面白さにまで消化されていない印象を受けた。

  • 読み進めるのになかなか時間がかかり途中で放棄。
    もう少し本を読めるようになってからまた読もうかな

  • 読みにくい話だった。
    単純に思えるような事をわざわざ複雑にしてこねくり回し、訳がわからなくなって自問自答を繰り返しているような話だった。
    別段ものすごくつまらない訳ではないけれど、すごい面白い話でもなかった。
    色々出てくる登場人物が最終的にまとまるのかと思ったけど、そんなこともなく、煽った割に拍子抜け感が残ってしまい残念。

  • 久々に読み応えのある作品。近未来を想像させながらも、今の人間の限界を描いているような。。他の作品も読んでみたくなりました。

  • 率直な感想として分かりにくいです。全体の展開は現実と夢(?)がどちらなのか読んでいて混乱しました。また分人主義が提起されていますがこちらも分かりにくい。『私とは何か――「個人」から「分人」へ』を読んでから本書を読みましたが、それでも分かりにくいと感じました。

    話の内容はまずまずといったところ。主人公のアストーの葛藤は読みごたえがありましたが、火星探査やアメリカ大統領選、アフリカにおける戦争などスケールの大きいものになっているのにそれを活かし切れていない印象を受けました。

  • 独特の文体や毎回違うテーマなど、今までにない「文学」を追求しているような平野啓一郎。この小説も、近未来的なテーマや「分人主義」という概念を打ち出している。特に本書を読む前に読んだ『私とは何か―「個人」から「分人」へ』で提唱されていた「分人主義」の「物語」として本書はうまく機能していると思う。また、2人の大統領候補討論は、内面描写こそないものの、『罪と罰』のポリフィーリィとラスコーリニコフの対決のような迫力があり読み応えがあった。

  • 近未来。分人主義のアメリカで大統領選と火星への有人飛行を成功させたクルー、宇宙船でおきたこと、東アフリカでの戦争、テロ。これらが複雑に絡み合うお話。

    BOOKデータベースなんかの粗筋では宇宙の話がメインの印象だったけど、読んでみるとメインはあくまで大統領選、という感じ。その結果を左右するスキャンダル要素としてドーンで起きた事件があり、生物兵器があり…。

    翻訳本じゃないのに翻訳本のような読みづらさがあり、時間も場面も突然飛ぶので途中読み飛ばしたくなるところもありました。難しい。特にマラリアの生物兵器に関連してでてくる人物たちが最後までイマイチ覚えられなかった。

    愛はやり直せる、っていうメッセージには確かに最後に救われた。でも、メインとなる話が大統領選という印象がどうしてもあり、全体的におもしろかったんだけど、なんか違和感…という読後です。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『現代作家アーカイヴ1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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