ドーン (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062155106

感想・レビュー・書評

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  •  ふうむ。星を4つにするか3つにするか迷うところです。これだけの舞台設定をまるで見てきたかのように描く手腕には畏れ入るのですが、つまるところは「愛」の話であるのに、なぜに宇宙飛行士なのか、なぜに大統領選なのか、なぜに近未来にしたのかと思うことがたくさんあります。

     とくに大統領選挙の白熱した演説合戦が続くあたり、それはそれでとても興味深いのですが、本題の女性飛行士の妊娠疑惑はどうなったのよと歯がゆい思いをさせた上であれですか。
    「メルクビーンブ星人」にも、もうちょっと何かあるのかと思ったのにあれですか。

     展開が時間軸を無視しているのと、視点が選挙PR会社の映像作成者に移ったり、いくつもの名前を持つ男が登場して混乱したり、とまあ、わざと難解にしているようなきらいがありまして、アホな人はご遠慮くださいと言われているような気がしないでもない。それであっと驚く結末があるってわけでもないんだなあ。

     ARという3次元映像の技術は20年ぐらいたてば本当に一般家庭に当たり前になっているかもしれません。死んだ息子の映像(しかも成長する)と暮らす母親かあ、ありえそうですね。


     ディヴという言葉が盛んに使われています。多様化する対人関係の中で、様々な「人格」を使い分けるという意味です。あのときキミを大切に思ったディブを忘れたくないんだ、みたいな感じです。こういう会話をするようになるのでしょうかね。なんだか面倒な未来ですなあ。でも、「源氏物語」の生まれた日本ではすでに大昔からやっていたんですって。


     20年後、生きていたらまたこの本について語るときがやってくるかもしれませんね。

  • SF
    Wikiノベルとかネット市民(ネット国家だっけ?)、人相で追跡できるシステムとかいろいろ近未来的視点(人相で人のトレースとかはもう出来てそう、あとは法律だけかな)の小説
    面白かった。

    誰かに貸してどっかに行ってしまった

  • 面白い。本当にありそうな未来を絵がいていて、そういう意味でも面白い。分人主義というのに興味がわいた。

  • 壮大すぎて、盛り込まれ過ぎて、読みごたえドーン!
    疲れるけど、いい読後感。
    やりすぎな感じも含めて、ぜんぶ、いい。

    個人的な事柄に終始せず、社会を世界を宇宙を描きだそうとする。
    そりゃ、不完全だよ。未来なんてわからない。
    でも、その心意気に、ぎゅんと来るのだ。

  •  表紙の空の青さとタイトルが目をひき、最初の数ページと著者略歴を見て「面白そうだ」と手に取った。読み進むうちに「面白いのかな?」と感じ、悩む。そして物語が予想もしない方向に進むのに不安を感じながらも、ページをめくる手は止まらず。読み終えて「面白かった」と感じた。


     あまりにも色んなものが混ざり過ぎて、情報の密度が高く、あまり早く読み進められない。
     また会話を示す「」の末尾に。がついていたり(「そうかな。」みたいな感じ)、英単語や聞き慣れない造語が繰り返されたり、「もしやスムーズに読ませないための工夫」をしているのかと疑う程だった。たぶんそれは、物語の中の世界がスムーズに受け入れられるものでも、理解できるものでもないので(SFでした)、読み手が理解できる速度になるようにコントロールしているのかも。

     散影という人の行動をすべて記録するシステム(他人が自分のことを調べると「足跡」が残るのには妙なリアリティがあり笑った)。
     分人という、「目の前の人ごとに自分が存在する」という概念は面白い。

     面白いけど、もう少し情報量が控えめだと助かるな。設定がやや強い。

  • ・分人主義:<個人>individualは<分人>dividualの集合。「本当の自分」と「その場限りの仮面」という二元論ではなく、ディヴは相手との関係の中で初めて形成され、中心(=「本当の自分」)もなくネットワーク化されている。
    ・分人主義自体は近未来的でなく、今でもすんなりと受け入れられる概念。むしろその方がすっきりするかも。
    ・自分自身と人間関係の再生の場面は感動したが、とくにもう一度読む気にはならない。

  • 2033年、人類で初めて火星に降り立った宇宙飛行士・佐野明日人。しかし、宇宙船「DAWN」の中ではある事件が起きていた。世界的英雄となった明日人を巻き込む人類史を揺るがす秘密とは?愛はやり直せる(「BOOK」データベースより)

    分人主義(dividualism)って考えは面白かったのに、アメリカの国際政策やらをからめた辺りは読むのがやや辛かったなぁ。
    こーゆーの、ほんっと興味ないんで。
    多分この作者さん、ブッシュが大嫌いなんだろうなぁ。
    そういった余計な事は伝わりました。
    期待した割に、謎解きも単純。そこは不満。
    あ、愛はやり直せるってテーマには共感しました。
    なのでラストはちょっとホッとしたかな。

  • 近未来を舞台に展開する小説ですが、なんだか、行き着く果てがここかと、引けてしまうほど、でもリアリティありなんだ、これが。
    で、そこでも人間はやっぱりかわらないんだと思うのでした。
    人間のまわりの環境や技術が進化しても、人間の本質はかわらない。
    こわいことです。

  • 分人主義という作者が作り出した概念を、一流の物語によって上手く適用させている。作者の力量を再確認させられる一作。

  • 長い放置期間を経てやっと読了!

    うーん、冒頭は近未来の設定や固有名詞が
    なかなか頭にはいって来ず、入り込めませんでした。
    途中、宇宙でドロドロし始めてからは一気読みw

    まぁまぁ面白かったかな。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『現代作家アーカイヴ1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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