悪貨 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062162487

感想・レビュー・書評

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  • 話を作りすぎてる感じがした。
    島田さんは博学で凄い人だけど、金融政策となるとちょっと無理があるかな?

  • うーん。。お金ってよく考えるとホントに不思議。
    ただの紙切れなのにね。
    強大な力に飲みこまれ、翻弄させられ・・・。。
    オチは読めていたけど・・・空しい・・・。
    一矢報いるオチにしてほしかったな・・・。

  • 美男子作家


    この言葉であがる名前はいくつかある。
    芥川、太宰は定番で吉行、五木寛之、島崎藤村なんかもよく聞く。
    私はダントツでカミュなのだが、現存する人で賛否があまり分かれない定番のイケメンといえばこの人、島田雅彦である。
    改めてさっきググってみたのだが、うーんやはりハンサム。特に年取ってからの方が私は味があってよいと思う。


    近頃最近の作家に興味が向いてきたので試しに読んでみた。
    おすすめでも上位だったので選んだ『悪貨』。文庫になっていないので図書館で単行本を借りた。
    一気に読めたな、文章に癖もなく、難しい表現も用いないからだろう。
    で、感想なのだが目から鱗。驚いた、おもわず出てしまった”陳腐”のその一言。



    私が知っている数少ない予備知識では、確かどっかの大学の教授で芥川賞だかの選考委員、大学は露西亜文学専攻、そしてイケメンのはず。
    最後はともかくとして、この人は現代純文学の何かであったと記憶している。
    それがどう間違ってこんな作品を書いたのか。思わず読み終わってから頭を抱えてしまった。そして、もしかしたら島田違いの他の作家の作品を読んでしまったのではないかと考え、思わずググる。間違いはなし。となるとさらに困惑だ。
    何がどうなってこんなことになったのだ?書き下ろしだからか?いいや、そんなこと全く関係ないだろう。あったほうが大問題。ゴーストライター疑惑濃厚だ。
    やはり、動揺。くわえてがっかりした。



    ここまでさんざんくさしたが、あとになって少し調べて見たところによれば、エンターテインメント的な作品として書かれたらしい。
    なるほど、遊び心は確かに作家にはもってもらいたいものだ。
    そうして純文学用の斜に構えの眼鏡を外して改めて眺めて見る。
    先ほども書いたが、文章はすこぶる読みやすい。そして展開はスピーディーでぽんぽん進んでゆく。しかし、だ。その展開の早さに固執してなのか、すべてに関して掘り下げや設定がおざなり。加えてまるでテレビドラマ、いや昼ドラ並に登場人物がみんな陳腐で退屈な動きしかしない。
    いや、最初はまだよかった。軽いなとは思ったが現代作家って重々しすぎる方がなにいってんだか判らないことの方が多い。そういった煙に巻く感じのお陰で苦手とする作家は多々いる。だから悪くないって、逆に面白いなとすら思っていたのだが、野々宮とエリカがラブストーリー的な雰囲気を出し始めたあたりから雲行きの怪しさを感じ始めた。だってあまりにも美しさがないのだもの、加えて情熱もだ。こういうところで多少なりとも片鱗的なモノを見せて欲しいって私は思ってしまう。
    そんなこともあり、ふいに我に返りそこまでの物語を振り返り、あれっと思う。しかし、まさかこのまま終わらないだろうと考えた。いや、信じたのだが、予想のさらに下を行く形で物語は収束した。
    なんでこうなるかな。
    少し前に『麒麟の翼』をこき下ろしたが、いま思えばあちらの方が格段に上手だった。
    構成もストーリーもキャラクターの役割も十分に涙を誘うような演出があったと思う。
    確かにこの物語にはそういったお涙場面はあわないだろうが、ニヒリズム的に描くにしても結末のお粗末さはいただけない。
    ここまで来るとわざとやる気なく書いたようにすら思えてしまった。
    いやいや、言い過ぎかな。
    大体、私は書評とかのですら、この人の文章に触れたことがない。作風すらもはっきりしていない。
    もしかしたらものすごくパンキッシュなニヒリストで、裏をかいたような意味がこの作品にも隠されているのかもしれない。
    ”悪貨は良貨を駆逐する”
    警鐘ってこと?いやさ、でもそれを語るストーリーがやはり……なんだかな。
    ともかく作家としての判断は保留にしておこうかと思う。
    さんざんくさしたうえに偉そうなこといっているが、私も少なからずショック受けているんだ。
    この人が三島由紀夫文学賞の選考委員をやっていたなんて信じられない。
    ……いや、だって。
    あぁもうやめよう。埒があかない。他の作品を読んでから、ちゃんと考えよう。
    誰にだって得手不得手はある、きっとそういう話だ。
    うむ、

  • 初めて読んだ島田作品。もっと難しい文学表現満載かとおもってたけどテンポがよく読みやすかった。ラストがよい。

  • こんなご時世にピッタリなテーマ。希望が欲しかったんだけど…

  • どこか伊坂幸太郎に似ている感じがするが、それよりも大人っぽい。
    終わりかたに物語の見えない終結を含ませるところが好みだ。
    読者の価値観により物語は変わる。
    ただ、登場人物の扱いに不満。
    メイン人物の男女については、丁寧に書かれているが
    キーマンでもある「フクロウ」という名の男性については
    最後、ざっくりと終わらせてしまいバランスが悪い気がした。

    ( ・_ゝ・)<通貨制度への挑戦

  • 「悪貨」読んだ。悪貨が駆逐するのは良貨だけでなく、理念も志も恩義も無償の愛もさえを駆逐する。『偽札が紙屑なら国債も紙屑』には笑った。ステークホルダーが保身のみを考えスケープゴートをたてる件はいかにも過ぎて笑えない。それにしても後味悪いな。。。乾燥した文体なのが救い。

  •  「悪貨」島田雅彦著 を読みました。島田雅彦は初見です。

     偽札の注入により日本の金融資本主義、通貨資本主義の転覆をもくろむ中国闇資本の策謀と、その仕組みに否応なく組み込まれてゆく非通貨主義的共同体「彼岸コミューン」。
     中国瀋陽と日本を舞台に繰り広げられる中国闇資本と日本警察との闘い。
     彼岸コミューンをカルト教団とみなし殲滅させ、日本を乗っ取ろうとする中国闇資本には腰砕け的な対応しかできない日本政府。
     その流れに翻弄される彼岸コミューン創始者、その弟子、警察協力者、捜査員、潜伏調査員たち。

     次々に起こる出来事の中で、何が真実で、何を正義とするのか・・・。そして恋するものの脆さ危うさ・・・。

  • うーん。島田雅彦にしては、という感じか。

  • ちょっと消化不良だなあ。せっかくの恋愛要素もほとんど絡まないし、幼なじみの設定もあまり生きなかったように思える。じりじり積み上げていた世界なのに、無理に一気に片を付けてしまったような打ち切り感。

    でもこのじわじわとした怖さや焦りはいい。
    もしかしたら、このお金も。


    「悪貨は良貨を駆逐する」  ……

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島田雅彦の作品

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