- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062170772
感想・レビュー・書評
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戦時中、原爆を落とす前に模擬爆弾を落としていた。しかも自分の住んでいる街に。ヒロカはたくみからその話を聞きます。
戦争のこと、そんなに興味がなかったヒロカですが、いつも行くコンビニの横にある爆弾投下の事実を刻んだ石碑を見て、きちんと向かい合うようになります。
知ろうとしないことが一番いけないこと。こう言い切るヒロカの言葉にハッとしました。
自分に都合が悪いことは出来れば聞きたくない。そんな姿勢をばっさり切られたような気がしたのです。
読みやすく、データもきちんとまとまっていて見やすいので、小学生だけでなく中学生までも参考になると思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2011年10月25日
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子どもにとって「戦争を知る」ということはどういうことなのか。そのことを、「子どもたちに対して」「子どもにわかる言葉と感覚」で描く物語。これまで戦争にあまり興味の無かった主人公ヒロカが、模擬原爆の個人的研究をきているいとこのたくみに触発されて自分でも調べていく過程で、戦争の理不尽さと複雑さを描きつつ、それらを「知る」ことの大切さにも深く踏み込んでいきます。物語の随所に「知る」ということが以下に大事かを何気なく織り込んでいるのですが、大人の目から見ると、その裏側にある令丈さんの想いの強さ、知って欲しい、「知る」ということを求めて欲しい、という想いが伝わってきます。
そして、恐らくあまり知られていないであろう模擬原爆を含め、原爆がもたらした間接的な被害。それらや、「戦争」そのものに対してヒロカが抱く強い憤りによって、戦争そのものに対する令丈さんの強い想いも伝わってきます。
上手いのは、主人公である戦争の聞き手を小学生にしているだけでなく、その語り手も小学生にしていること。いとこのたくみを小学生の個人研究家とちう設定にすることで、友だちが友だちにわかりやすく家庭教師をするような、そんな風に戦争の知識を伝えていくので、すごく子どもにも伝わるのではないかと思います。
内容が内容だけに分類を迷うところですが、これはやはり「知らない子どもに知って欲しい」という観点からも、令丈さんの他の作品と混ぜて置きたいかな。理想は3冊買って文学と歴史と戦争コーナーの全部に置きたいですが… -
この短いページで書き終えているところが嬉しい。
被疑原爆を調べ始めた子どもが主人公だから、わからないことに取り組んでいく過程と共に、読み手にもその思考の過程が伝わってくる感じだった。 -
とっつきにくいテーマをものすごく読みやすい文章でうまく伝えていると思う。話はかなりあっさりとしてるけど戦争、模擬原爆について考えるきっかけとして良いと思う。
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この本を読むまで、模擬原爆について知らなかった。重たすぎず、けれど軽くない、なにかを残してくれる本。気軽に手に取れる厚さ。