カマラとアマラの丘

著者 :
  • 講談社
3.59
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本棚登録 : 361
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062175272

作品紹介・あらすじ

いずれ迎える別離。それでも一緒にいたかった。廃墟となった遊園地、ここは秘密の動物霊園。奇妙な名前の丘にいわくつきのペットが眠る。弔いのためには、依頼者は墓守の青年と交渉し、一番大切なものを差し出さなければならない。ゴールデンレトリーバー、天才インコ、そして…。彼らの"物語"から、青年が解き明かす真実とは。人と動物のあらゆる絆を描いた、連作ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 同じ世界で、各短編が語られる。
    不遇の死を迎えた動物を葬う青年がいる。
    その死に至った真相を探っていく。

    舞台設定は綿密に設計されていて、論理で組み立てられた話を読んでいる感覚になった。

  • ミステリー ファンタジー。
    連作短篇集。

    人間と交錯したために、自然の摂理から外れてしまった動物たちの物語。

    月夜、廃墟遊園地の一画に必要とされたときだけ花に包まれた秘密の動物霊園が出現する。
    月光のもと、墓守の青年が動物たちを看取り、花葬する。
    青年は人間が脚色しない真実を、やわらかく、確かな口調で語る。
    少し心が痛む良エンド。
    情景が美しい作品。

  • 廃園になった遊園地では花が咲く。
    そこは動物たちを弔う場所だから。

    ふしぎな連作だった。ミステリー枠なのかな?
    1つめで綺麗にだまされて以降は警戒しました。笑。

  • 廃園になった遊園地に秘密の動物霊園がある。そこを訪れた者と墓守の対峙からなるミステリ。
    辻村深月の「ツナグ」とちょっと似ている感じもした。
    ミステリとしては謎部分がわかりやすいというか、冒頭から透けて見える。透けて見える部分を隠そうとしているのがわかるため、読んでいて文章がちょっともどかしい。ミステリとして読まずに動物もの?とか心情を主眼として読んだほうがよかったのかも。

  • (収録作品)カマラとアマラの丘ーゴールデンレトリーバー/ブクウスとツォノクワの丘ービッグフット/シレネッタの丘ー天才インコ/ヴァルキューリの丘ー黒い未亡人とクマネズミ/星々の審判

  • 人間の下で生き、死んでいく動物達にまつわるミステリー。その点ではノーマジーンを彷彿させる。
    死に直面する物語なので暗い画面だけれど、初野先生の柔らかい文章が救いにかわっていく様だった。
    特に内容では、ヴァルキューリの丘と星々の審判が好き。

    カマラとアマラの丘 ーゴールデンレトリバーー

    ブクウスとツォノクワの丘 ービッグフットー

    シレネッタの丘ー天才インコー

    ヴァルキューリの丘ー未亡人とクマネズミー

    星々の審判

  • 初野晴作品は今までハルチカシリーズしか読んでなかったので
    出だしからのトーンに馴染むまでちょっと戸惑いがあったけど、
    雰囲気がつかめてからは入り込める作品だった。

    青春ミステリーの印象しかなかったのだけど、
    幻想的で、独特の雰囲気があり、
    心を揺り動かす作品ぶりに、いい意味で驚かされた。

    命の重みと心の痛みというのが連作を貫くテーマだろうか。

    ちょっと甘めの星5だけど、良い読書ができた。

  • 読んでいて気が滅入る。
    ただただ正論を延々と一方的に言われているみたいな気分になった。

    登場人物がほとんど同じ人のように感じたし、墓守の青年がどの立場に立ってるのかもよくわからなかったので、そこがもう少し納得がいけば評価も違ったかも。

  • ファンタジー風の感動ものっぽい話かな、と油断していたら最初の一編で驚かされた。

  • 初野晴は、ハルチカシリーズよりこういう作品の方が私は好きかなぁ。『ノーマジーン』系。廃墟の遊園地に住む、墓守。大切なものとひきかえに、訳あり動物を葬ってくらるという設定、舞台も良い。最初から騙された…。良質なミステリーでありせつないファンタジー。2013/020

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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