最果てアーケード

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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062176712

感想・レビュー・書評

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  • 読了日 2018/12/25

    最果てアーケード。
    小川洋子の小説は、固有名詞が出てこない。

    ・衣装係さん
    ┗レースを買い求める衣装係さんの話。
    ・百科事典少女
    ┗Rちゃんと、そのお父さんが文字を追い掛ける。
    ・兎夫人
    ┗義眼屋に訪れる、兎のラビトの飼い主。
    ・輪っか屋
    ┗ドーナツを揚げる輪っか屋と元体操女子の女性。
    ・紙屋シスター
    ┗「たくさん買ってくれるのは、善いお客さんだ」
     たくさんの便りを書く人は、それだけ大勢の友人、知人、親族を持っている。だからそのお客さんは恵まれた人生を歩む、善き人である。(P106)
    ・ノブさん
    ┗ドアノブを売る老婆と、雄ライオン彫刻付きピューター製のノブと、その奥の空間。
    ・勲章屋の未亡人
    ┗亡くなった夫の店を継ぐ妻。
    ・遺髪レース
    ┗遺髪でレースを編むレース屋に、私は幼かった頃の自分の髪を渡す。
    ・人さらいの時計
    ┗コウモリの挨拶を研究する助手のバイオリン。
    ・フォークダンス発表会
    ┗発表会の参加者にはみなメダルが渡されるべきである。
     映画館で父は待つ。七時半の上映時間までにはきっと間に合うから、心配しないでゆっくりグラタンを食べておいてね。(P217)
     そろそろお父さんのところへ行かなくちゃね。(P220)

  • 不思議なアーケード街の話が10話入っている。それぞれちょっと不思議な話。地味だが惹きつけられる。 そして、幼い頃母を病気で亡くし、後に父を火事で亡くした「私」の回想(?)が挟まり、だんだん状況がわかってくる。 この「最果てアーケード」とは、本当に存在しているのだろうか。所々に謎めいた表現がある。

  • 漫画の原作として書かれていたとは知りませんでした。
    久しぶりにこの人の作品を読みましたが、独特の雰囲気が好きです。
    作中のアーケードで売っているアンティークそのものみたいな、古くて優しくてちょっぴり悲しい、そんな空気感。

  • 読み進めてしまうのが惜しくて惜しくて。

    子どもの頃の断片的な記憶の中の、ひっそりとしたアーケードの日向と日陰。
    「最果てアーケード」の日向もあんな感じだったらいいな、と思いながら読む。

    やっぱり静かで優しい。

    そして行きつ戻りつに、くらくらして気持良い。

    漫画も読みたい。

  • 短編集。でも全部が繋がっていて、その繋がりがいい。

  • 想像以上に悲しい物語でした。

    世界で一番小さなアーケードの大家さんの娘が語り手となり、そこに集まる一風変わったお客さんと店主の物語を綴った連作短編集。
    どの短編も現実と非現実を行き交うような不思議さと死の訪れと深い愛情が混じり合って、引き込まれていました。
    例えばレース屋さんに通う元衣装係、百科事典をこよなく愛するRちゃん(と紳士)、実在するかわからないうさぎのラビトの話をする夫人、ドーナツ屋の恋、紙屋とレース屋の姉弟のお話、ドアノブの向こう側の窪み、遺髪でレースを編む女などなど。思わず読みたくなるような設定のオンパレード。
    徐々に語り手である「わたし」の孤独と結びつく結末に、静かな涙が流れました。

    謎に満ちた酒井駒子さんの装画も雰囲気にマッチしています。

  • ここは、世界でいちばん小さなアーケード――。
    愛するものを失った人々が、想い出を買いにくる。
    小川洋子が贈る、切なくも美しい記憶のかけらの物語

    天井は低く、奥行きは限られ、ショーウインドーは箱庭ほどのスペースしかない。そのささやかさに相応しい品々が、ここでは取り扱われている。使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条(バネ)、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石……。どれもこれも窪みにはまったまま身動きが取れなくなり、じっと息を殺しているような品物たちばかりだ。――<本文より>

  • アーケードの配達係をする「私」の目線で描かれている所が面白かった。自分が「私」になったつもりで入り込んで読んだ。静かなアーケードに、ひっそりと佇む店と店主達は、個性的でマニアック。不思議なアーケードだけど、店主達の物に対する思いや温かさが伝わってきて、じんわりと心に響く物語だった。とても素敵なだった。

  • お父さんとのアーケードのおはなし。

    衣装係さん
    百科事典少女
    兎婦人
    輪っか屋
    紙店シスター
    ノブさん
    勲章店の未亡人
    遺髪レース
    人さらいの時計
    フォークダンス発表会

    どれもどこか切ないおはなしでした。

  • 吉田篤弘さんの小説っぽいなあ、と思いながら読んでいたけど違う。
    それよりもっと寂しい感じ。
    酒井駒子さんの絵が素敵で、合っていると思う。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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