台所のおと (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630276

感想・レビュー・書評

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  • ああ、心がすっきりした。

  • 綺麗な日本語を読みたいならこれ!とのレビューを見、購入した。
    静謐で淡々とした文章。旧字体で読めなかったり、知らない単語がでてくるたびに高鳴る。ころころとしたアクセサリーのような女性作家の文章が多いように思えるが、心がすとんと落ち着くような、そういう感覚を覚える文章は改めて好きだなぁと思った。

  • とても好きな本です。

  • 読んでいて気持ちの良い文章を書く。
    表題作の『台所のおと』、それから『祝辞』『ひとり暮し』がよかった。
    どの短編も病と不幸の気配がして、あるいはずばり病を得て、ひとの思惑のぶつかり合いが切ない。
    家庭というもののわずらわしさ、難しさがぐさぐさと描かれる中で、『祝辞』は「それでも支え合って生きてゆくあたたかさ」が前に出ていて救われる思いがした。

  • 「台所のおと」
     「あき」のようでありたかった。わたしは、まったくのところ佐吉の最初の女房そのものだった。
     短編なのにつまずきつまずきのろのろぐずぐずと読んだ。酔わない酒をずるずると飲んでいるみたいだった。それでも、「つくろう、こしらえよう、調えよう」にならって、「つくらなきゃ、こしらえなきゃ、調えなきゃ」、とやってきて、数年たってもう一度読んでみた。今度は、少しだけ気持ちよく酔えた。うまい日本酒を飲ル気分だった。
     料理好きの料理上手なお母さん(私にとって)と知り合いになった。(まさに、おふくろの味!!) 料理の話を聴いているうちに、、「つくろう、こしらえよう、調えよう」のこころが芽吹いてきた。
     病で寝ている佐吉は、台所に立つ女房「あき」のたてる音に慰められる。佐吉は「あき」が台所でたてる様々な音を、何がどう料られているのか、聞き分ける。「あき」は角の立たないやさしい音をたてる。生まれ持った性分がそれを作る。料理人の佐吉がそれを伸ばす。
     「あき」にはなれない。私は。が、やはり身につけたいものだと思う。艶のあるやさしい音を。


    これは、佐吉とあきが主人公の物語
    私は、私が主人公の人生を生きる。それでいいのだ。
    もう、落ち込まないぞ。

  • 清潔感と色気が同居しているような文章がとにかくすばらしい。本人の性質によるものだろうが、女性らしいのに嫌味が無く、いつまでも読んでいたくなる。特に表題作などは音に伴う描写を通して情景が目に浮かぶ。映像を観ているというよりは現場をふわりと俯瞰しているような気にさせられて、心地よい。

  • どこまでも静粛で上品な短編集。味わい深いです。

  • 濃紺、はいつか教科書か何かで読んだ。柾目、という言葉を気に入ったのだ。すんなりとした柾目。それを左見右見する、粋好みの下駄が似合う娘と無骨な職人の出会い。背筋の伸びた婦人がたは実に良い手本となる。重苦しさもまた見え隠れする、大人の本。

  • 幸田文初心者の方、幸田文の他の本は読んだことがない方、大変お奨めです。なぜなら、幸田文の短編小説がたくさんつまった、本当に捨て所のない短編集だからです。
    繰り返し読む度に、そのときどきの自分の感情でいいと思うところが違う、別の言葉で言えば、良さが再発見できる短編集といっていいでしょう。

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著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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