- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062630276
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
綺麗な日本語を読みたいならこれ!とのレビューを見、購入した。
静謐で淡々とした文章。旧字体で読めなかったり、知らない単語がでてくるたびに高鳴る。ころころとしたアクセサリーのような女性作家の文章が多いように思えるが、心がすとんと落ち着くような、そういう感覚を覚える文章は改めて好きだなぁと思った。 -
とても好きな本です。
-
読んでいて気持ちの良い文章を書く。
表題作の『台所のおと』、それから『祝辞』『ひとり暮し』がよかった。
どの短編も病と不幸の気配がして、あるいはずばり病を得て、ひとの思惑のぶつかり合いが切ない。
家庭というもののわずらわしさ、難しさがぐさぐさと描かれる中で、『祝辞』は「それでも支え合って生きてゆくあたたかさ」が前に出ていて救われる思いがした。 -
清潔感と色気が同居しているような文章がとにかくすばらしい。本人の性質によるものだろうが、女性らしいのに嫌味が無く、いつまでも読んでいたくなる。特に表題作などは音に伴う描写を通して情景が目に浮かぶ。映像を観ているというよりは現場をふわりと俯瞰しているような気にさせられて、心地よい。
-
どこまでも静粛で上品な短編集。味わい深いです。
-
濃紺、はいつか教科書か何かで読んだ。柾目、という言葉を気に入ったのだ。すんなりとした柾目。それを左見右見する、粋好みの下駄が似合う娘と無骨な職人の出会い。背筋の伸びた婦人がたは実に良い手本となる。重苦しさもまた見え隠れする、大人の本。
-
幸田文初心者の方、幸田文の他の本は読んだことがない方、大変お奨めです。なぜなら、幸田文の短編小説がたくさんつまった、本当に捨て所のない短編集だからです。
繰り返し読む度に、そのときどきの自分の感情でいいと思うところが違う、別の言葉で言えば、良さが再発見できる短編集といっていいでしょう。