- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062633499
感想・レビュー・書評
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題名どおり、探偵小説だが、幻想小説でもあって、作者の本格推理小説への郷愁と現時点での訣別の想いが感じられる作品。
作家が図書館で不思議な体験をする序章に始まり、第一章では、暮礼路市に案内されて、記念館の地下室で盗掘されたものを取り戻すことを市長から依頼される。
第二章では密室殺人、第三章では人間消失、第四章では館の連続殺人と、本格推理小説でお約束の謎が示されるが、いずれにおいても、探偵天下一は鋭い推理を披露する。
第一の事件における「壁に寄せられた家具の謎」、第二の事件における「凶器の状態から導かれる推理の論理性とその真相の意外性」、第三の事件における「実行可能性からの犯人特定と動機のユニークさ」など、いずれもよくできている。
「そして誰もいなくなった」、「Xの悲劇」等のパロディーと思われる遊び心も感じられる。
さらに、この作品には次のような謎も盛り込まれている。
「盗掘されたものは何であったか。また、それが象徴するものは?」
「市長が天下一に依頼した本当の目的は?」
「クリエイターとは誰のことか?」
「ミイラの正体は?」
本格推理小説として見ても良作だが、さらに本格推理小説に対する作者の想いが感じられる作品であった。 -
不思議な世界に作家が迷い込み、名探偵に。
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「天下一探偵シリーズ」の長編作品。
しかし全くと言っていいほど、雰囲気が違う。テイストが。コメディタッチじゃない。普通…とも違うけど、まあ推理小説。
印象としては「東野さんは強い思い入れ、あるいはメッセージをこめたけど、こっちには伝わらない」ってな感じ。 -
今は書かなくなった、本格推理小説への著者の熱い思い。
物語の世界に迷い込んだ小説家が天下一探偵として事件を次々に解明していくが…。 -
3.5
作者が自分が以前書いた本格推理小説の世界の中に探偵役自身になって迷い込む。前作と合わせて、本格推理小説への想い、社会問題などを主題にした現在の作品への想いなどが込められてる感じで面白い。
本格推理小説には戻るつもりはないけど懐かしいと思っているよう。本格推理小説を読むときに、前作で作者が求めているような姿勢の読者ではなく、なんとなく読んでしまうので、今の東野圭吾の作風の方が面白いと感じるのは確か。 -
不思議な作品だった
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著者の本格推理小説に対する愛が感じられて良かった